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嗅いだり触ったり

先日、友人と感覚についての話をしました。

五感のなかでいちばん心に留まるものは?

視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚。
季節のうつろうさまを五感を通じて受け取ることの豊かさ。
冬から春へと向かう今はひときわ、そのことを感じずにはいられません。

とくに、いまのわたしの心に留まるのは触覚と嗅覚。
肌に触る軽くて柔らかい春物の衣服や毛布。
ひんやりとした猫の鼻先と肉球。
十数年ぶりに新調した指輪が中指にぎゅっとはまる感じ。
ぬるい湿度のなかでくゆらせる、練香と乾燥させた無花果の葉の組み合わせ。
朝帰りした日に、家のドアを開けると漂うコーヒーの匂い。
濡れた犬のお尻のくさみ。

春分の日に、好みの精油を混ぜてボディオイルをこしらえました。
須崎市でねっことそらというスタジオを運営するわかなちゃんは、高知県産のヒノキと柑橘で織りなす「実葉土」という香りのプロダクトの作者でもあります。

そんな彼女に教えてもらいながらボディオイルを作るのは、これが3度目でしょうか。
同じ香りの精油でも、その時の気分や気温や湿度によって全く違った感じがして、したがって出来上がりもまったく違うものになるのは当然といえば当然。それでも毎度不思議なきもちになります。
今回はマツやサンショウ、サワラといった日本でもなじみのある樹木の匂いをメインに据えつつ、樹脂や花や苔(苔!!!)を織り交ぜたオイルを2種類制作。

昼と夜の長さがちょうど同じ春分の日に作ったので、春分昼/春分夜という名前をそれぞれにつけました。
しばらく寝かせておいて、頃合いが来たらお風呂上りに使おう。

昔から、肌や髪の手入れをするのが好きです。
化粧品や美容のアイテムにものすごくお金と時間をつぎ込むわけではないけれど、肌や髪が健やかで触って気持ちがいいというのはわたしにとって結構だいじなこと。
最近は髪と身体を洗う石鹸を松脂の石鹸に代えたところ、これがなかなかいい感じ。

松脂のにおいに好みは分かれると思いますが、洗い上がりの感触が肌も髪も健やかな感じがします。

松脂の残り香と、ずっと愛用している香水との相性がいいのも嬉しい発見でした。

つくづく、匂いや感触は不思議ものだな、と思います。
古い思い出を呼び覚ましたり、未知の体験に通じる扉となっていたり。

そのものに匂いや感触は無くとも、文章や音楽に匂いや触れ心地を感じるのは、なんともいとおしい時間です。
そんな最近の一冊と一曲。


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