オィディプスとアンジェラ Ⅲ
オィディプス王はその夜夢を視た なんとその夢の始まりは崖から谷に飛び降り自死したスフィンクスが、緩やかな速さでその異形な形象が谷底から飛び上がってオイディプスの前に立ち・・・スフィンクスは笑っているのだった
スフ いいざまだと言いたいわけでは無い お前も皮肉な運命に翻弄さ
れて可哀想だと想っている・・・
王 私が答えを言ったら 君は間髪を入れずに崖から飛び降りた
どうしてだ?
スフ プライドを踏みにじられたからだと言う馬鹿もいるが・・・謎を
解かれた限り今まで解けぬ旅人を死に追いやった罪を償うにはこ
れしか無かったのだ
まだ他にも理由はあるが・・・それはまた・・・
王 なるほどいずれにせよ・・・君は私より遙かに潔い・・・
スフ いや そうとも言い切れぬ・・・一瞬で事を済ませる方が遙かに
簡単だお前は今まで生きた世界を<無>にして 尚新しく生を生
き正そうとする その意志は、燃えさかる太陽のように眩しい
王 そんなに褒められたものではない・・・只私は死を選ぶのは人間
として一番してはならないことだと想っているから・・・
スフ そうか・・・だが私はほんとうに死ぬことは赦されていない
霊的存在として生き続けなければならないのだ
王 ・・・・・・・
スフ 難しく考えなくても良い・・・ほら 私はこうしてお前と話をし
ている
王 夢・・・夢のなかで君はまた現れるのか?
スフ 君が呼べばいつでも・・・
王 呼べば?私は呼んではいない
スフ お前は盲いて、今まで眠っていた感覚が呼び覚まされているのだ
お前は確かに私を呼んだ・・・何かをはっきりさせたいのだろう
が・・・それは無理だと思う
王 どうして無理だと?
スフ 女の顔を持ち獅子の躰に翼もある私は神話的存在でこれ以上のこ
とは、現世に生きるお前には話せぬルールがある
お前の悲劇は何処かで踏み入れてはならない世界に一つの知性で
踏み込んだのだ・・・そして それはすべてお前が悪い訳ではな
い・・・お前も又神話的世界の物語を歩むことを余儀なくされた
・・・只それだけのことかも知れない
王 又謎をかけるか?・・・それが君の本質? (溜息をついて)
お願いだ今日はもうこの辺で・・・
スフ わかった では私は消えよう さらば・・・
Ⅳに続く
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