コロナ禍で全国の「こども食堂」の運営が困難に 私たちができることは…

新型コロナウイルスへの感染拡大を受けて「こどものいる貧困家庭」を支援し、こどもたちに「地域の居場所」を提供している全国の「こども食堂」の運営が厳しくなっている。NPO法人 全国こども食堂支援センター・むすびえ、こども食堂ネットワークが6月15 日~25 日に37 都道府県238 団体を対象に行った「こども食堂の現状と困りごと」に関してのアンケートを紹介する。

○“居場所”としての「こども食堂」開催状況
6月までは、居場所としての「こども食堂」の開催は約3割と難しかったが、7月以降、5割以上のこども食堂が居場所としての「こども食堂」の開催を予定している。居場所としての「こども食堂」が開催できない際には、弁当や食材等の配布、宅配をしているところが多かった。若干の減少は見られるが7月以降もこうした活動を継続するところが多い。6月のアンケート調査で分かったことは「こども食堂」は徐々に再開しているといういことだ。4月に行った調査では今年3月は1割程度にまで落ち込んだが、今回の調査では、すでに再開が16.8%、7月から再開予定が16.0%、8月から再開予定が10.1%、9月以降再開予定が14.3%と徐々に増え、約6割が今年中の再開を目指している。一方で約4割はまだ予定が立てられずにいるという。

○今、こども食堂で困っていることは…
一番はやはり「感染防止の対策が難しい」、次いで「資金の不足」「会場が使用できない」など。こども食堂の良さは、おしゃべりをしながら一緒に食事をすること。いわば3密にあり、現在励行されているソーシャルディスタンスという考え方に反する。コロナ禍が「こども食堂」の本質に打撃を与えている。つまり、食事の提供だけでない「こども食堂」の存在意義が改めて認識されたという。もう一つ、「全国こども食堂支援センター・むすびえ」理事の釜池雄高(かまいけゆたか)さんは「資金の不足」で困るというのが2番目にあることを重視している。4月の調査では「会場が使用できない」が最も多く、次いで「食材などの不安」「感染拡大への恐怖」そして「資金の不足」だった。これまでは資金はないなりに、やれる範囲でやればいいというのが「こども食堂」の考え方だった。しかし、ここにきて弁当やフードパントリー(食料の提供)という貧困家庭への支援という側面での比重が増えてきた。7月以降は「こども食堂」と「弁当や食材等の配布、宅配」の活動を両立して行うところが全体の約3割に上っている。6割程度が持ち出しで運営していると言われる「こども食堂」だけに、その資金を捻出することが困難になっているのだ。一部では自治体からの支援もあり、寄付も募って入るが資金の問題は今後の大きな課題になる。また「こども食堂」のスタッフには大学生のボランティアが多かったがオンライン授業になったことで定期券を持たないため交通費がかかる。生活が苦しくなりバイトに時間を費やすため大学生のボランティアが減るなど、人員の確保にも問題が出ている。

○私たちができることは…
釜池さんは「まず自分の住む地域にどんな“こどの食堂”があるのか知ってほしい」と訴える。HPやSNSで情報を発信している「こども食堂」も多く、実情を知って関心を持ってもらいたいという。私たちにできることは、この機会にまずは「こども食堂」に関心を持つこと。それが何より支援につながるのだと思う。       

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