《Vol.9》外国人に響く!中小企業ならではのCXの可能性
心地よく涼しいドイツより、こんにちは!
Izumi Insightsのいづみです。
前回のVol.8の記事では
「CXは大企業だけのためじゃない!」
ということを熱く語りましたが、
自分の身の回りに存在するお店や様々なサービスでも、
「こーすればもっと良いのになー」
って、思うことはありませんか?
今回のVol.9は、今年の春に一年ぶりに日本に帰国した時に改めて感じた
「中小企業ならではのCXの可能性」
を実感したエピソードについてご紹介したいと思います。
私は数年前にドイツ人の夫と結婚しまして
それ以降、日本に帰国する度にドイツの家族に「日本土産」を持ち帰ることが習慣となっています。
日本のお土産文化は世界でも有名で、海外からの旅行客はスーツケースを丸ごと1個追加してお土産を詰めて帰るというのも当たり前になってるくらい(笑)
特に今は円安で「行くなら今!」という勢いで観光客の数はすごいですよね。
私も春に日本へ帰国した時、いつものように日本の美味しいお菓子を中心に「ドイツ人でも好んでもらえるもの」と思って、「チョコ」や「クッキー」などの「ハズレの無い定番商品」をいくつか購入。(日本はハズレはめったにありませんが。。。)
でも、この時は、「私の両親から、夫の両親への手土産」も預かってきました。
私の両親はすでに何度かドイツに遊びに来ていて、義理の両親とも2度ほど会ったこともあったので面識はありましたが、日本に来たことのない義理の両親へ「日本の味」を届けらないかと、デパート食品売り場に行って片っ端からベストなお土産を探したそうです。
その商品購入に向けたポイントは:
日本を代表する料理・数種類を探す
美味しい事!
商品のパッケージデザインが優れている事
外国の人にも訴求力のあるデザインである事
賞味期限が長い事
その条件をクリアして選ばれたのが、「赤坂松葉屋」の「お惣菜セット」でした。
このお惣菜セットには、日本人なら誰でも知ってる素敵なお惣菜が5点含まれていました。
松茸土瓶蒸し
すき焼き牛肉そぼろ
ごぼう牛肉巻き
豚の角煮
胡麻豆腐
むしろ、「私の分は??」とそのままもらって帰りたかったくらい、ピンポイントで美味しそうな品揃え。
でも、預かるまでは良かったのですが、一つ大きな問題が浮き彫りに。
プレゼントしても、そもそも「おかず」であることや「冷やして食べるのか、温めて食べるのか」もわからないだろうなぁ
ということ。
せっかくの日本の美味しい「料亭の味」。
料理名だけ翻訳してシールでも貼ろうかと思って考えていたら、ドイツには存在しない料理法や食材ばかり。
「土瓶蒸しはどう訳せばいいの?」
「松茸やごぼうってドイツ語に訳してもそのままMatsutakeとGoboだしなぁ」
と悩んだ挙げ句、ドイツ語の「お惣菜の紹介&食べ方の説明書」ができあがっていたのです(笑)
それがこちら:
私の義理の両親は旅行好きで、また二人ともお料理がとても得意なご夫婦です。
しかし、義父は現在癌の治療中で旅行ができず
今回のプレゼントを渡した時、
「日本にはきっともう行けないけど、家にいながら日本旅行ができた気分!」と
大喜び!!
今までの「定番スイーツ」よりもはるかに感動したらしく、ずっとそのお惣菜の話題でいっぱいでした。
ドイツや他の欧米諸国には日本のような「手土産文化」はありません。
しかも、こんな美味しそうなお惣菜セットが綺麗にパッケージされ、ギフトとしてそのままプレゼントできるという事自体にも感動。
そのため、日本に来る観光客の多くは「デパ地下やスーパーめぐり」を一つの大きな目的として旅行に組み込んでいます。
実際、Facebookなどの「Japan Travel Tips」系のコミュニティでも
「オススメの日本土産は?」
とか
「珍しいお土産は?」
という投稿に対して、
いろんな情報をシェアしあっています。
また「海外駐在員」系や「国際結婚」系のコミュニティでも
「日本語のできない家族や友達への日本からのお土産はみなさんどうしてますか??」
とか
「日本から持ち帰る手土産で喜ばれるものでオススメは?」
などといった投稿もよく見かけます。
でも、ほとんどのオススメは「定番物のスイーツ系」だったり、余計な説明が不要な「見た目でわかりやすいもの」。
私も今までは「見た目でわかりやすいお土産」を中心に選んできましたが、今回の「日本のお惣菜」に自宅のパソコン(ワード)で簡単に作った「ドイツ語版:お惣菜のご紹介カタログ」を添えただけでド偉く感動してもらえたのを見て、
「作って良かった!」
そして
「インバウンド需要もあるはずじゃ?」
と、思いました。
後日「海外駐在員のFBコミュニティ」にも嬉しくて投稿したら、
「私も食べたくなった」
「心がこもってて素晴らしい」
とか
「日本料理を知らない、受け取る人のことを考えたとても良いアイデア!」
といったような嬉しいコメントも。
大手の食品メーカーならきっとマーケティング部門が必要に応じて英語版の本格的な販促物を準備しているかもしれませんが、こういった販促物や同梱物は本格的なものでなくても、買う人、もらう人、にとっては大変意味のあるもの。
印刷コストを抑えたいなら、QRコードにウェブページやPDFへのリンクを埋め込むとか、いろんな方法もあります。
赤坂松葉屋さんは「料亭の味」でお惣菜セットの見た目も味もお墨付き。
でも、奥の深い日本料理や和菓子は見た目だけではその歴史や価値もなかなか伝わりません。
似てるようで決して同じではないお土産を販売しているビジネスも大小問わずたくさんあるのも日本の良さ。
もし企業側からの簡単な「英文紹介」ページやツールがあれば、間違いなく外国人観光客にも認知が上がるきっかけになるLow-hanging fruit(労力をさほどかけなくても成果を出せること)だとつくづく思いました。
せっかく日本文化を知ってもらう機会をキットカットに奪われている!と思っているのは私だけではないはず(笑)
そんなlow-hanging fruitsは日本中にゴロゴロ転がっているのでは?
あたり前のようでそうではなかった、そんなインバウンド需要に合わせたCX戦略も今後さらに必要性が高まる予感がしています!
「でも・・・どこから始めればいいのかわからない・・・」という方、ドイツ在住で時差はありますが、ご連絡いただければご相談にのりますので遠慮なくお声がけください。
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