再起なるか、大宮アルディージャ

2023年3月25日、第5節ロアッソ熊本戦で東京ヴェルディは3-0で快勝。昇格に向けて好調の波が始まっていました。サポーターとしてうれしいやらワクワクするやら、そんな気持ちになっていました。
試合の後はいつもノートに印象に残ったことや、思いついたことを簡単に書いています。この試合の時は、こんな文で締めくくっています。
次は大宮戦、近いからきっといっぱいサポーター来るんじゃないかな。こっちが少なかったらダメだよね、絶対応援しに行かなきゃ。

4月1日15時キックオフで大宮アルディージャとの試合が始まりました。
試合の内容はここでは省きますが、1-0で東京ヴェルディの勝利で幕を閉じました。
連勝でうれしい一方、大宮側のサポーターの数が予想よりずっと少ないことが意外でした。前々節に対戦したヴァンフォーレ甲府や、前節ロアッソ熊本のほうが多くのサポーターが来ていたので、隣県の大宮ならもっと来るだろうと思っていました。
帰りの京王線の中に親子連れがいて、７、８歳くらいと思える男の子が呆けたような表情になっているのが目に留まりました。応援で疲れたのかもしれないし、遠くまで来て早く家に帰りたくなったのかわかりません。
でもせっかくサッカーを見に来たのに、楽しかったとかはしゃいだ雰囲気はあまり感じられませんでした。
負けたしなあ、そりゃつらいよなあとも思いました。リュックサックを抱えてじっと目を閉じている隣のお父さんらしき男性と、言葉も交わさず放心したようになっている子どもの姿は印象に残って今でもよく覚えています。

それから２か月くらいたってから、味の素スタジアムで聞こえてきた会話。
「大宮ってさ、やばいんでしょ？」
「うん」
「どうして？」
「フロントとかいろいろダメすぎるらしいよ。よく知らないけど。」

その頃DAZNで大宮の試合を見て、思わず口をあんぐりと開けました。
あまりに守備がザル。
相手がドリブルで攻め込んできているのに、ボールウォッチャーになっている選手が数人。
プレスに行こうともしない。
連携が取れず浮いたボランチ。
あれがプロのサッカー？
衝撃でした。

気になってほんの少し調べてみると、聞こえてきた言葉はこんなものでした。

ずさんな経営
場当たり的なチームスタイルの変更
豊富な資金力に頼った甘え
サポーターの声に耳をかさないクラブ

大宮アルディージャはなぜ凋落したのか 恵まれた環境とずさんなマネジメント (2ページ目)

やがて相馬直樹監督が解任されました。
引き継いだのはそれまでコーチを務めていた原崎政人でした。
新監督になって展望が開けると思える要素はなく、ぬるい経営感覚に染まった場当たり人事としか映らないものでした。

2023シーズンが佳境に入ってくると、自分がサポーターをしている東京ヴェルディにとって、J1昇格という大きなそして絶対果たさなければならない目標がさしせまったものとなり、他のチームに気を配っている余裕はなくなりました。
それでもJ3降格に向かって打つ手のない大宮が、泥沼の様相となっていったことは耳に入ってきました。サポーターの怒りは当然のものに見えました。

最終的に２１位の順位で大宮アルディージャのJ3降格が決まりました。

「走れない闘えない努力もしない口先だけは立派な史上最低イレブン」刺激的な横断幕と大ブーイング。異様な雰囲気に包まれた大宮アルディージャの最終戦セレモニー 【2023総集編】 | サッカーダイジェストWeb

「（再）NTT様弱さよりも強くなる情熱が感じられないことに失望しています」
「目標未設定 不十分な編成 Jリーグ舐めるな」
「恥を知れ」
「俺たちは情熱、信念のある経営者と共に戦いたい」
「走れない闘えない努力もしない口先だけは立派な史上最低イレブン」
「J２ 21位は結果よりも居心地の良さを求めた者が招いた必然の結果」
横断幕の痛烈な言葉はサポーターの慟哭だと理解しています。

さて、つい先週。
2024年4月6日。
Nack5スタジアム、対戦相手はFC大阪へ行ってきました。
スタジアム周辺には広い公園や神社があり、桜が満開でした。
Jリーグの試合で、東京ヴェルディではない試合を見に行くのはこれが初めてでした。
Nack5は同じ週の水曜日に湘南ベルマーレ戦で行ってきたレモンガススタジアムや、去年行ったジュビロ磐田戦でのヤマハスタジアムと似ています。
ピッチと観客席が近く、試合が見やすいようになっています。
味の素スタジアムや国立競技場に慣れた私にはちょっと違和感があります。

大宮公園の満開の桜。がんばって見上げなくても目の前に花がありました。

スタジアム入口すぐにあるよくわからない建物。昔偉い人が何かをどうかしたらしい。

前回ここに来たのは去年の１１月だったなあ。
2023シーズン最終節、東京ヴェルディはアウェイで大宮アルディージャと対戦だった、死に物狂いで勝ち点３を取りに行ったなあ。
数か月前の思い出です。

バックスタンドに席を取り、入間産の豚肉を使ったブタ丼をほおばりました。
おいしい！！！
試合が始まったすぐあと、６０歳過ぎくらいの男性が声をかけてきました。
「そこいいですか？」
「もちろん！」
男性は私の横の席に座りました。
「いつもここなんですよ」
わかるなあ。
観戦場所てだいたいいつも同じにするもんね。

男性「ここに来たのは初めて？」
私「ううん。あのね、私東京ヴェルディのサポーターなのよ。だから去年の１１月はあそこにいたよ。」アウェイFC大阪のサポーターがいる場所を指さしました。
男性「ああ、だからか。緑の服着てるの。」
私「うん。でもさ、さすがにユニフォームは着ないよね。大宮に失礼になっちゃう。」
男性「敵情視察？」
私「そんなんじゃないよ。あのね、去年大宮はひどいことになったでしょ。去年だけじゃないか。」
男性「もう数年経つよ。」
私「去年の４月に味スタで試合あったでしょ。あの時サポーターの数少ないなって思ったの。ロアッソ熊本遠いのに結構来てたから。」
男性はしみじみとした表情になりました。

私「ほんとにひどいなあって。クラブはさ、ちゃんとサポーターに向き合って話すればいいと思うんだよね。していい苦労と、しちゃいけない苦労があると思うんだけど、これはやっちゃダメなほうだなって。正直じゃないように見えて。」
男性「うん。」
私「他のクラブのことってよくわからないから言っていいかわからないけどさ、フットボール文化って言うでしょ。そういうの傷つけられた気がするんだよね。違うチームだからいいやなんて思えない。そういうの悲しいのね。それで見に来たんだよね。」

フォワード杉本健勇、ディフェンス植田悠太、ミッドフィールダー小島幹敏などが活躍を見せていました。

気づくと歌っていました。
行け行け大宮～～～
俺らの大宮～～～
攻めあがれオレンジ　ランランララララ～～～

昇格へ向かって今年最後まで攻めあがれ、大宮
J2へ絶対戻らなきゃいけない
相変わらず問題を抱えていたとしても、それでもね
そしてさらにJ1に戻ったらお互いバチバチやりあいたい

男性「いつもここあたりにいるから。」
私「うん、また来るよ。」

6月1日長野パルセイロ戦がある。
またNack5に行く。

帰り道で見つけた自動販売機。
味の素スタジアムのそばにはFC東京バージョンがあるよと言いたくなる。