コロナ禍で祖父が他界して思った事#自分にとって大切なこと

タイトル通り、祖父が他界した。
私の家族ったら、いつも連絡が遅い。

あの、美味しいみかん、送ったやつ届いた？

うん、ありがと。1つ食べたよ。

よかった！そいえば今朝病院から連絡あってな、じいちゃん調子悪いけぇ呼び出されたんよ、ほんで今から病院行くんよー。

え！え！流れで言うそれ？！

コロナなんじゃけどな、会っていいんだって。

え！もうそれ最期じゃん！

もう、ほんとにナチュラルに言うから。いつも。
はよ知りたいよ。なんですぐ言わんのや。心配させんよーに。分かるけどな、心配したいんよ、私は。

そしてこの電話をしている最中に祖父は亡くなっていた。まったく。
電話できるもんなら声だって聞きたかった、これまでの感謝も、懐かしい思い出も話せず仕舞い。私の事が分からなくとも、一方通行でも、伝えたかったのにな。

踏ん切りが、つかんじゃないか。

つい最近まで、祖父の元気な様子を写真でみていた。
コロナが始まって、私は限界集落の出身で、関東から帰省するなんて、とてもとてもできなかった。
皆の噂になるから。連休になるとお互い探り合い、静かに警戒を強め、何か起きればもしかしてと黒い内緒話が行き交う世界だ。どこどこの娘さん帰ってくるらしいよ、まだ聞いてもないのにそんな言葉が耳に残って離れない。

だからこそ、親族との連絡は今まで以上に蜜に、安否確認していた。母方の祖母の施設でのクラスターが起き、父方の祖母が高熱で倒れ救急車で運ばれた時も。事後報告だったけど。こらー。
幸い、二人共感染してなかった。今はもうすっかり元気なのだけれど、この冬に2度も、祖母たちが危うくて最悪のシナリオを思って心が凍った。世界はコンパクトになったと言われて久しいのに、物理的な距離はどう祈っても縮まらない。その事実を思い知らされた様に思う。

でもさ、じいちゃんは元気でおるよって言ってたじゃん。町内会の新聞載っとったじゃん、ピースしてさ。施設に入ってはいるけれど、肉付きもよくて、今にもアサヒの瓶ビールとピスタチオぽりぽりしそうなさ。子供の頃あの薄緑の豆はなんじゃろと謎だったけど。最近ピスタチオ味ってお菓子が沢山出てて、あぁこれかじぃちゃんが好きだったやつは！私も好きじゃわ！って過去と通信してたわ。

この冬に3度目。3度目はあまりにも突然で、あっけなく、心を凍らす間もなかった。

帰っちゃ…いけんよね？

そりゃあそうよ、親族いうても皆が怖がるし年寄りばっりじゃし、何やかんや、うんたらかんたら…。わかっとる、わかっとるよ。あぁ随分遠いところに来てしまった。旅人の台詞のよう。コロナになって、やっぱり大事にしたいモノや人が確かに見えて、手繰り寄せようとして、そんなもの最初からなかったみたいに霞んでいった。

1週間くらいぼーっとしてた。

私の左手の中指には、実は叔父の結婚指輪がある。婚約破棄して渡し損ねた曰く付きのやつ…。誰にも譲れないし貰ってくれと母から渡された。「S to J」と刻印されている。

おいおい。

ローマ字かすりもしねぇ。

と思ったけど、確かに行き場がないこの指輪は私が引き取るのが最良の案だった。ただ、おいおいだよ。何となく着ける気がしなくてずっと仕舞っていた。

でもある時ジュエリーを整理している時に、これは…？！と閃いた。その指輪はコンビになっていて、半分が18金、半分がプラチナという珍しいデザインだった。閃いたのは、家系図！半分が母方、半分が父方、私は両家の長女！私の所にきたのは運命なのだ！

すご。このストーリーを思いついた私に拍手を。

それから、私は毎日一生この指輪を着けると決めた。どちらが表とか裏でもなく、半分ずつ、見える位置で。曰く付きの指輪はわたしのお気に入りになった。アイデンティティそのものだ。

祖父が亡くなり、改めて指輪を見て思った。亡くなってしまったけれど、今度はこの指でくるりと私を守ってくれている。そう思うと、急に踏ん切りがつかなかった思いが晴れた。身に着けるジュエリーには全て意味があると思っている。巡り会った事も、デザインも、毎日着けられる上質な素材も、自分の一部だと。

そしてこのnoteを書いた今、再び確かに大事なモノが見えてきた気がする。ありがとうじいちゃん。
多分、書かないと次に行けないと思ったんだ。あぁお線香あげるのいつになるかなって。待っててもしょうがないと思ったんだ。ぼーっとしてたままで新年度行けないし。書いてその言葉通り”成仏“させるしかなくて。もう暖かくなってきたし、新しい年度を私と一緒に歩んでほしいと思った。その為には指輪が示す方向へ、私が変わらないと。

なんかさ、どこにも遊びに行かないから、noteが家族の話ばっかりになっちゃうなぁ…。

今日をもって、喪に服す日は終わりにする。
春だ。暖かい。
明日から、階段を一段上がった景色を見るのだ。大丈夫、きっと。私が楽しくいる事が一番良いのだ。

さ、指輪を磨いてピカピカにしよう！

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