【'18/19 🇮🇹セリエA1女子】 RS② Filottrano vs Monza

こんにちは。戸隠です。
思いつきで始めた試合レビュー、これが自身2つ目となります。
色々と拙さが目立つ部分もありますが、どうぞ最後までお付き合いください。

今回は🇮🇹イタリアセリエA1女子。🇯🇵V.LEAGUEの上尾メディックス所属、🇯🇵冨永こよみ選手が期限付きのレンタル移籍をした🇮🇹Lardini Filottrano(フィロットラーノ)の試合を振り返ってみます。

対戦相手は現在リーグで4位につけるSaugella Team Monza(モンツァ)。
🇺🇸アメリカ代表の主力、Sハンコック・MBアダムス、元🇮🇹イタリア代表オルトラーニら、有力選手を擁する強豪です。
個人的に🇺🇸アメリカ代表がいるので気になったというのもありますが（笑）。代表では🇺🇸ハンコックも🇯🇵冨永も「ひくはやセット」を強いられてますが、果たしてクラブではどうなんだろう？この両者がぶつかったらどうなるんだろう？という興味もありました。

※🇮🇹Filottranoのチーム公式HP ⇨ https://www.pallavolofilottrano.it
※🇮🇹Monzaのチーム公式HP ⇨ http://www.verovolley.com

前置きはこのくらいにして早速試合に入って行きましょう。まずはスタメン。太字はセッターです。

🇮🇹Monza S3スタート　(L #3 🇮🇹アルカンジェリ)

#12 🇩🇪オルトマン　 #1 🇮🇹オルトラーニ　 #19 🇮🇹メランドリ
#8 🇺🇸アダムス　　 #9 🇺🇸ハンコック　　 #10 🇧🇦べジッチ　
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#1 🇬🇷ｳﾞｧｼﾞﾗﾝﾄﾅｷ　　 #14 🇺🇸ウィットニー　 #3 🇮🇹ガルツァロ
#13 🇮🇹コリアンドロ　　　　   #7 🇯🇵冨永　　　 #4 🇮🇹パルテニオ

🇮🇹Filottrano S6スタート　(L #10 🇮🇹カルドゥッロ)

実は私、バレーにおける各ローテごとの「このローテから始める意図（定石）」というのがまだよくわかっていません。ググってもよくわからないし...。低いSを長めに後衛に置くとか、誰々に多くサーブを打たせるとか、MBを相手の大砲に多くぶつけるとか、色々聞きますが今回もよくわからずでした...orz。要勉強ですね...___φ(≧。≦)

とりあえず、試合はFilottranoの🇮🇹パルテニオのサーブから。

《第１set》

ここまでのシーズン、ながら見＆たまにしかFilottranoというチームを観ていなかったのでそれほど期待していたわけではなかったのですが、このset、端的に言って見事でした。
🇯🇵冨永のセットが終始低くなることなく（数箇所だけあったけどこれは後で）、アタッカーのお膳立てに徹する良セットを連発していました。特にトランジションの場面でのセットはサイドまでよく伸びていたと思います。例え後ろに倒れそうになりながらも「レフト（アンテナ）まで、届け〜！それ〜！」みたいに精一杯飛ばしていましたね。
そして、たとえ🇯🇵日本代表にの久光の選手に標準搭載されているような低い軌道の1stパスがやってきたときでも、できるだけ白帯よりも高めの位置からセットすることを徹底できていた。相手セッターの🇺🇸ハンコックが、Monzaのインシステム下（Aパス時）でも白帯ギリギリの位置でセットを上げていた場面が多かったのを見ても、🇯🇵冨永の方が高い位置でセットをしていたように見えました。そのため、なかなかMonzaのブロッカーがきちっと2枚揃う場面がなく、Filottranoアタッカーもやりやすかったでしょう。
当のFilottranoアタッカー陣も相手ブロッカーの指先ワンタッチを狙って吹っ飛ばすプレーが随所に見られてトランジションでの決定率が高かった。被ブロック0本。これはお見事。
などなどFilottranoのプレーに色々惹かれてしまいましたが、このsetの1番の見どころは両チームのサーブだったと思っています。

「え？　女子バレー？」と思ってしまうほどのジャンプサーブ合戦。高〜いトスを上げーの、思いっきり踏み切りーの、どりゃ〜！！って思いっきりサーブを打っていく選手が多かったです。私はもともとパワフルなサーブで吹っ飛ばす系のサーバーが結構好きなので、この試合、別の意味でも楽しませてもらいました（笑）。
が、それ以上に面白かったのは両チームではお互いにサーブの狙いが異なっていた点でした。

Monzaの狙いは基本的に人でした。威力のあるサーブでレシーバーを転ばせ攻撃参加をさせないもしくは直接エースをとる、という意図だったと思いますが、これは残念ながらリベロの🇮🇹カルドゥッロにカバーされ＆🇯🇵冨永のセットにやられてなかなかブレイクに繋げられませんでした。逆にZ5の後ろから対角線上に伸びる端っこを狙ったジャンフロ（by🇺🇸アダムス）でエース取りましたが、それ以外の端狙いサーブはネットやアウトでミスとなり、サーブの効果が低かった。
一方のFilottranoは終始徹底して選手と選手の間、もしくは選手とサイドラインの間を狙っていました。スピードの出るジャンプサーブで間を狙うことで最低片方の選手を転ばせる。乱したりエースをとったりして相手が対応＝変化が起こると見ると今度はサイドライン際を狙って端の1人にプレッシャーをかける。この先手の仕掛けがセットを通して見られました。
最高の一撃は、MonzaがS3時、Lと後衛OHの間＝OP🇮🇹オルトラーニのステイ位置に向かって、一度自陣ライト側に曲がりかけてからまたレフト戻ってLを吹っ飛ばしたサーブです。あのエースは気持ちよかった！！その後、相手がレシーバー1人当たりの守備範囲を少し広げた＝3人がちょっとだけ中央寄りに構えたと見るや次はさっきと反対側にサーブを打った🇮🇹パルテニオ。やりますね〜〜(｡-∀-)
最終的にこのサーブ合戦はFilottranoに軍配が上がりました。Monza側がレセプションでの守りをリベロ🇮🇹アルカンジェリに背負わせすぎた＝相手リベロの広い守備範囲を突いていくFilottranoのサーブ戦術が見事にはまったゆえのset奪取だったのではないかと思います。

ただ敢えて1つ追加注文するのなら、セットポイントを握った場面でのFilottranoのサーブ。MonzaのS5でそれまでのサーブによりやや中央寄りにレシーバー3人が構えてたのに、リベロの正面に打ってしまったんですよね。そこは前衛OHと左側サイドラインとの隙間狙って攻めるべきだろ！と思いました。
まあ点差があって余裕持ってたんだと思いますが、そこは最後までサーブで攻めること貫かんと！と思って見ていました。細かいとこですが。

このセット気になった点としては、先ほど挙げた冨永のトスが低くなった場面＝ライトへのブロードのトスですね。冨永は1stパス軌道が低くなったとき、あるいはバックトスでライトに振ろうとするときにセットが速く低くなる傾向がありますが（私の知る限りは）、ライト側へのOPに対するセットではやや克服しつつあったものの、ここではまたブロードに対して白帯下から上げるようになっていました。
結果的にその時は相手ブロッカーが割れていたため運よく得点にはなりましたが、試合が進んでブロードを使いたくなった場面であの速いトスの頻度が上がるとちょっと厳しいかも、っと心配をしていたのですが.....

《第２set》

第1setを落としたMonzaはローテを3つ回して、サーブの効果率が高かったと思われる🇧🇦べジッチを1stサーバーにしてきました。これが的中。相手レシーバーを正確に狙う強力なジャンプサーブでオーバーパスを量産。そしてリードされたことで焦ったか、🇯🇵冨永がサイドに"伸びすぎた"セットをしてしまうミス。これで一気に序盤走り、Filottrano無得点のままTOを取らせます。

このsetを通してみると、直接的にはfilottranoのサーブが甘くなった＝狙いの精度が落ちてレシーバーの正面に行ってしまっていたことがsetを落とした要因かなと。第1setは間を正確に突けていたり、やや真ん中寄りにレシーバーが構えているのを利用してサイドライン際を狙っていたのに、なんだか素直〜なサーブになってしまって....。一応ノーブロで上げるとか守備面でおっ、となるような場面はちらほらありましたが、それでもサイドアウト力で上回る相手に劣勢を跳ね返すには至らず。序盤のリードを追いつけぬまま最後まで行ってしまいました。
一方のMonzaは序盤リードした段階からFilottranoの両OHに狙いを分散させるようにしていた印象を受けました。特に印象的だったのがサウスポーS🇺🇸ハンコックのジャンプサーブ。
彼女はZ5後方からサイドラインのギリギリから相手コート対角線にえぐい角度でスライドしていく速いジャンプサーブが持ち味ですが（イメージは🇯🇵長岡のジャンサーがもっと角度鋭くなった感じ）、そのスライドする角度をうまく調整する器用さも持っているんですね。
問題のシーンはFilottranoのS2。
1本目🇺🇸ハンコックは第1setも打ってきたのと同じコースで左端の🇮🇹パルテニオを狙ってきますが、ここでOP🇺🇸ウィットニーが早く動き出しすぎてポジショナルフォルト。浮き足立ったFilottranoの対して🇺🇸ハンコックは2本目、真ん中を守っていた🇬🇷ヴァジラントナキとL🇮🇹カルドゥッロの間を狙ってきます。ここで🇬🇷ヴァジラントナキはさっきと同じコースにくると踏んで少し🇮🇹パルテニオ側に寄ってしまったのですが、サーブが伯太井上に当たってコースが微妙に変わり、逆に空いたL🇮🇹カルドゥッロとの間に落ちるという（笑）。メンタルやられるやつですね〜。更に3本目、🇺🇸ハンコックはミスった🇬🇷ヴァジラントナキに続けてぶつけに行きます。これをなんとか上げて🇯🇵冨永はネットギリギリの位置でBクイックにセットしますが、しっかりと目の前で構えてた🇮🇹メランドリにドシャットされると。勝負あったなという瞬間でした。
🇺🇸ハンコック流石のサーブ力！

《第３set》

さて。setカウントはイーブン。ここまではサーブでしっかりと攻めることができた方がsetを取ってるんだから次はどっちに転ぶのかな！と思ってましたが...。

結果はサーブではMonzaの圧勝でした（笑）。またえぐいえぐいジャンプサーブの嵐。特に🇧🇦べジッチのZ1後方からの自陣レフト側への強力スライダー。あれは強かったな〜。
このset、Monzaはまたサーブ順を第1setと同じに戻してきました。多分🇺🇸ハンコックのサーブが効果的だったから多めに打たせたかったのかな？と思いましたが1stサーバーは🇺🇸アダムス......。ちょっと意図はよくわかりませんでした。

Filottranoは残念ながら2setに弱気になってしまったサーブでまた攻め直すことができませんでしたね。守備では粘りはしたものの、強打ができずに逃げのフェイントをして相手にチャンスボールを献上したり。ややトスが低くなって味方のアウトスパイクが目立ってしまったり。被ドシャット数も増えてしまいました。
ブロックアウトをしっかり取ったり、遥か後方からの🇯🇵冨永の2段を決めたりで盛り上がるプレーも出はしたのですが、次から次へとやってくるMonzaの猛攻サーブをはね返すことはできませんでした。

《第４set》

ミスの数の多さ、被ドシャット数で相手を上回り、サーブも弱くなってしまったFilottrano。こうなってしまったらもう強メンタルを発揮して立て直すしかないわけですが...

このsetについては進むにつれてどんどん両チームのミスの応酬になっていきました。🇺🇸ハンコックも🇯🇵冨永もトスが低く短くなっていくし、ダブルコンタクト、キャッチが増えたし、おまけにチャレンジが多発して試合が結構中断されてしまったんですね。なので観ているこちらも集中が削がれてしまい......あんまり印象に残ってるプレーがありません。あ、FilottranoのMBが🦀カニカニダッシュでちょっと手を出してMonzaのダイレクトブロックしたのは面白かったな。

サーブはなんかFilottranoは相変わらずでMonzaは攻めてはいたけど効果は...という感じでした。Filottrano側のレシーバー陣が対応してたとも取れるかな。Monzaは第2set同様に🇧🇦べジッチのサーブから始まるようにしてきたました。これは第3setでの効果率を見てのことだと思いますがそこまで有利に運べてた/何かいい変化をもたらせたかというと、「？？」でした。

展開についてちょっとだけ触れておくと、Monzaはこのset序盤にMBのクイックを連発してからサイド、時折バックアタックという、ここまでのsetには見られなかった組立をしてきました。ベンチに「もっとMBの速攻使ってこう」とか何とか言われたんだと想像してます。これがうまくはまって序盤は先行。中盤以降にミスでイマイチ乗り切れない場面もありましたが🇺🇸ハンコック-🇺🇸アダムスの🇺🇸USA代表ホットライン。ここは比較的安定してて何よりです。

このsetでもっとも明暗を分けたのはブロックでしょうね。Monzaは🇯🇵冨永の低くなってしまったセットからの攻撃にほとんどワンタッチをかけていました（特に🇺🇸アダムスが）。一方のMonzaの攻撃に対してFilottanoはほとんどレシーバー頼み。2枚揃った場面ほとんどなかったかもしれません。
序盤のリードをされた段階でのバックアタックをドシャットしてきたのも🇺🇸アダムス、ラリー中のドタバタで低くなったブロードを高確率でワンタッチ取ってきたのも🇺🇸アダムス。マッチポイントの場面で最後Filottranoのレフト攻撃をドシャットして試合を決めたのも🇺🇸アダムスでした。
試合が進むにつれて徐々に精度/高さが無くなっていく相手の隙を逃さず、最後の瞬間まで立ちはだかるMB。さすがですね。

《総じて》

試合結果は1 - 3でMonzaの勝ちでした。

🇮🇹Lardini Filottrano １　-　３　🇮🇹Saugella Team Monza

勝負を分けたのはやはりますサーブ。サーブを最後まで攻める集中力と言った方がいいかな。
もう1つはブロッカーの実力差だと思います。この試合で私が一番、やっぱり優秀だなと思ったMBは🇺🇸アダムスでした。リード徹底、相手アタッカーの動きを予め把握する＆きちんと見る＆処理をして反応する。遅れてもワンチかける。自分が前衛のローテでは駆け回って相手ブロックを分断する。後衛でもBAのディグをきちんと上げる。メダリストってすごいです。ほんとに。

🇯🇵冨永については、🇮🇹イタリアSerie A1に移籍してきた当初に比べたらそれはもう！良くはなってると思います。11月に見たときなんてもうひくはやひくはや......早く目覚まして！！って思ってましたから。
ただ、やっぱり東京五輪のメンバー入りを目指すのであれば、劣勢時に落ち着いてチームを立て直せるということができないと厳しいのかなとは思います。冨永は攻撃面ではいいと思うのですが（この試合でも1setに1点ツー決めてたし）、まだ守備面とサーブにいやらしさがないような...。これがあれば有利なのに！ってところがまだ光らないなという印象です。メンバー変われば違うのかな？

このチームにおいての課題としては、チャンスボールが返ってきた時のライトへのバックセットが合わないことですね〜。劣勢時に巡ってきたチャンスをミスって一気にムードダウンしてしまうことかな。この試合では、あれが合わなくてフェイントのような返球になってしまって切り返された後、修正したセットで今度はアウトになり、そこからレフトへのトスも短く、という🇯🇵火の鳥NIPPONであったような負のスパイラルで完全に流れを失ってしまいました。これを乗り越えるにはまだ時間を要するのでしょうが、これ克服しないと大事なところで使えないセッターということになってしまいます。
組立面では中央からのバックアタックを積極的に使ったりといった"真ん中の抉じ開け"は忘れてないし、MBも攻撃には混ぜはしている（まだ低くなるけど）のですが、まだ足りないかな〜。誰を使うかと同時にどの場面で使うか、どの位置で打たせるか、をきちんと組み立てられるレベルではまだないかなって印象でいます。

🇮🇹Serie A1のレギュラーシーズンの試合は残り2試合。
冨永にとっては初の海外シーズンですが、何か1つでも多く、女子バレーの本場🇮🇹イタリアで得られるものがあるといいなと思います。

その成果はぜひ、代表で見せてもらいましょう！

さて。またダラダラと長々と取り留めもなく書いてしまいました。
今回はこの辺でお別れしたいと思います。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました！(*ᴗ ˬ ᴗ)⁾⁾

〜　とがくしメモ　Vol.2〜

Monzaのリベロ🇮🇹アルカンジェリ。レセプションの体勢に入るとき、一旦しゃがんで相手を見るんですよね。
で、相手が助走に入ると腰を上げて、クラウティングスタートでも切るかのような姿勢になり、トスの瞬間にスッと立ち上がって構えます。
相手のスクリーンかいくぐって隙間からサーバーの状態を見るためかな？と思いましたが、バリバリ間空いてる時も同じクラウティングの姿勢を貫いてたので、きっと本人のルーティーンなんでしょうね。

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