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「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」シーズン3の9話〜16話を振り返り

2008年から始まった「クローン・ウォーズ」から続くクローン達の物語の最終章となる「バッド・バッチ」ファイナルシーズン後半の9話から最終回までを振り返ってみます。

なるべくサプライズやストーリーの結末などは「見てのお楽しみ」とするよう心がけていますが、完全なネタバレ回避にはなっていませんので未視聴の方はご注意下さい。



第9話〜第10話

フェネックを通じてアサージ・ヴェントレスが登場。トレーラーに登場して話題になりました。

正史では2015年出版の「ダーク・ディサイプル」(Dark Disciple)でクローン戦争末期における活動とその最期が描かれました。「ダーク・ディサイプル」は小説化された「クローン・ウォーズ」の(シーズン5で放送終了になったためお蔵入りになった)未公開エピソードです。

彼女の復活に賛否両論が起こりましたが、制作サイドは以下のようにコメントしています。今後、復活の経緯が明かされるかもしれません。

「ネタバレは避けたいが、ヴェントレスが登場する新たな物語は『ダーク・ディサイプル』の出来事に沿ったものになることをファンには知っておいてもらいたい。」


ヴェントレスはオメガの事をテストしますが、オメガ自身はフォース感応者センシティブでは無いことがわかります。


オメガ逃走を手助けしたことで再び独房送りにされたナラ・セに変わり、エメリーがネクロマンサー計画の主任科学者になります。
保管庫の奥にあった被検体とは誘拐されてきたフォース感応者センシティブの子供でした。

「クローン・ウォーズ」でもシスがキャド・ベインにジェダイ聖堂からホロクロンを強奪させ、その情報を元にフォース感応者センシティブの子供の誘拐を企てたエピソードがありましたが、オーダー滅亡のビジョンを視たジェダイ・マスターのイーノ・コルドヴァは銀河各地のこうした潜在的にジェダイの素質を持つ子供たちの情報をホロクロンに納めて隠してしまいました。(ゲーム「ジェダイ:フォールン・オーダー」)
それでも銀河各地で自然発生的に生まれ出るフォース感応者を捜索するためシス=帝国は賞金稼ぎや尋問官を使って誘拐行為を行います。

子供達との交流でエメリーの心に変化が生じはじめます。


第11話〜第13話

ヴェントレスの警告どおり、オメガとバッド・バッチがパブーにいることがヘムロックに知られてしまいます。島の占拠とオメガ拉致はあくまでヘムロック指揮下の作戦であり手柄を奪われないためターキンや軍の上層部には恐らく内密、かつオメガの特性については検証が済んでいないので皇帝にもこの行動については秘密裏に行われたと考えられます。

今度こそオメガを救い出すためハンターたちはエレバスへ。収容所に収監中のランパートを連れ出します。

登場するジャガーノートは「エピソード3 シスの復讐」のキャッシークの戦いに登場したクローン・タンクの亜種ですが、クローン・タンクは「エピソード5 帝国の逆襲」に登場のAT-AT(スノーウォーカー)の原案スケッチの一つが元ネタになっています。新共和国軍と帝国軍が使うジャガーノートは複数種類があるのですが、運転席が前後にあるため運用方法が作品ごとに異なり、紹介される設定画ではあたかも大きく2種あるように見えますが基本構造は1種です。詳しくはこちらのXのスレッドを参考ください。

ランパートの情報からタンティスに向かう科学船に取り付いてウェイランドへ。バレそうに見えますが、テクノロジー盲信の帝国軍は基本的にセンサー頼りで視認はほとんどしませんね。


第14話〜最終話

「正しいことがしたい」はこの10年の映像作品で度々登場するワード。

タンティスを警護するクローン・コマンダーのスコーチは「クローン・ウォーズ」のダソミアの魔女編のあるシーンに登場したクローン・コマンドーでした。コマンダーとコマンドーがややこしいですね。

そしてバッド・バッチ最後の戦いへ。
長きにわたるクローン達の戦いが一応の終結に至ります。

スコーチも含め、劇中の主なクローン・キャラクターは17人。このまとめを作る際に流し見していたのですが画面を見ていなくても誰を演じているのかが解るので本当に感心しました。日本語版は俳優の金田明夫さん、英語版はディー・ブラッドリー・ベイカーさんがそれぞれ17人以外のモブを含む全てのクローンを演じました。D・B・ベイカーさんはバッチャーも演じています。

バッド・バッチの主なキャラだけでこの数。

「エピソード2 クローンの攻撃」から22年に渡って数多のクローンを演じてきた金田明夫さんへのファンレターは円企画まで。来年のセレブレーションにもぜひ登壇してディー・ブラッドリー・ベイカーさんとセッションしていただきたいです。



ネクロマンサー計画

「エピソード9 スカイウォーカーの夜明け」から遡って推察すると、皇帝パルパティーンの目標は自身の新たな肉体=器となる「フォース感応者センシティブのクローン」を作ることです。

タンティスにあった謎の部屋。
クローンXのチャンバーがあった部屋とは別。

クローンの元となる人間オリジナルに豊富な「ミディ=クロリアン(=Mカウント)」が備わっていても、複製されたクローンはその性質を継承することができないことが「バッド・バッチ」で明らかになりました。
クローントルーパー個々人の性格が違うようにクローンのミディ=クロリアンもまた異なるのです。(関連して「アコライト」ではメイとオーシャの双子が全く同じミディ=クロリアン値だった事が驚異として描かれました)

そのため「Mカウント移植」という方法がタンティスでは研究されていました。しかし発生源ソースから移植したミディ=クロリアンの劣化が大きな課題に。

一方でナラ・セは過去、純粋にカミーノ経済を支えるビジネスの一環でフォース感応者のクローン研究を進めていた可能性があり、ナラ・セと面識のあったヘムロックは当時からその事に勘づいていたのかもしれません。

※翻訳は原語をもとに独自に行ったものです。

移植された「Mカウント」の量を維持する「結合剤」としての特性がオメガの血液にはありましたが、この事実はラマ・スーにさえ隠されていました。

パルパティーンは自らのクローンにミディ=クロリアンを移植して
肉体を失った後に乗り移るための完璧な器を作成しようとしていたのかも。

パルパティーンはタンティスの研究施設を建設してヘムロックに管轄させます。ヘムロックはナラ・セに協力を求めますが彼女はこれを拒否。そのせいで仕事を強要させるための人質としてオメガが施設に連行されてきてしまったのはナラ・セにとって想定外の事でした。

ちなみにシーズン3 第3話終盤のエメリーの台詞、字幕では「クローンのサンプルにM値反応が」吹替では「クローンのサンプルにMカウントの陽性反応が出ています」と訳されていてあたかもオメガがフォース感応者のようになっていますが、正しくは「クローンのサンプルからMカウント移植の成功が実証されました」といった感じだと思います。


オメガの秘密は隠された

オメガの血液の特性は元々ナラ・セのみが知る事実でした。
タンティス基地では保管庫の被検体も極秘。オメガが脱出する際にエメリーがオメガの血液の「Mカウント移植」の適正を確認します。保管庫にいたスカルダーを含めると秘密を知っていたのはこの4人です。

ヘムロックは危険性(計画を乗っ取られかねない)を察してネクロマンサー計画自体ターキンには秘密にしていました。

最終回ではランパートがデータを奪おうとしますが死に際のナラ・セに道連れにされ、スカルダーは子供達を逃がしたために処刑されます。ヘムロックはハンターとクロスヘアーに倒され、エメリーはオメガとともにパブーへ逃れました。

これによりオメガの血液の秘密は帝国に知られる事が無くなり、追われることもパブーが再び襲撃される事もなかったと考えることができます。


その後、エクセゴルでは独自に、そして遅れて帝国軍残党でもドクター・パーシングが「規格にあわせてDNAを合成する『ストランド・キャスト』」という方法に辿り着きます。

これまで明らかになっている「ネクロマンサー計画」に関する情報をまとめた図です。

カミーノから続く帝国軍のクローン研究は全て失敗に終わりましたが(ギデオンは成功したがマンダロリアンによって無に帰された)エクセゴルではカルト組織シス・エターナルによってストランド・キャストの研究が継続しています。

そして行方不明だったスローンがペリディアから3人の魔女を伴って帰還したことにより、この段階ではおそらく亡霊状態のパルパティーン復活に何かしらの働きがあるのではと予想しています。

2017年の「エピソード8 最後のジェダイ」公開翌年「マンダロリアン」が発表されます。2019年の「マンダロリアン」シーズン1にはドクター・パーシングが初登場しており、準備期間を考慮すると当初から続3部作シークエル・トリロジーにおけるパルパティーン復活に関わるクローン研究の関連性が製作の上でも検討されていたのではないでしょうか。


これまでの記事で紹介したシーズン1〜3のあらすじと補足情報をまとめたガイダンスはこちらです。


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