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「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」シーズン2の1話〜8話を振り返り

今年最初のスター・ウォーズ映像作品として「バッド・バッチ」シーズン2が2023年1月3日より配信開始となっています。既に9話までが配信済みとなっていますが、前半の8話までの展開を振り返ってみます。

なるべくサプライズやストーリーの結末などは「見てのお楽しみ」とするよう心がけていますが、完全なネタバレ回避にはなっていませんので未視聴の方はご注意下さい。

シーズン1のおさらい

バッド・バッチは表向き帝国軍のカミーノ攻撃で全滅したことになっている。

シーズン1で描かれたのは映画作品「エピソード3 シスの復讐」で発生した「ジェダイ大粛清」と「銀河帝国成立」の直後の様子でした。

共和国と分離主義者との戦争が終結し、共和国から再編された帝国は軍備を再検討。コストの高いクローン兵を廃して徴兵制への方針転換を進めます。

クローン兵の継続を求めるカミーノ政府は特殊なクローンで構成された部隊 通称“バッド・バッチ”を投入しての再考課を要請。しかしその実戦任務を放棄した彼らは同じく特殊なクローンであるオメガを連れて帝国を離反します。

行く当てのない彼らはオード・マンテルの情報屋シドの世話になりつつ、彼女から得る仕事で生計を立てていくことに。

彼ら以外のクローンたちも本来生産の目的だった戦争が終結し、各々の選択を迫られます。

第1話〜第2話

冒頭では髪が伸び戦闘に関する知識と技を磨いたオメガが登場。バッド・バッチのアーマーにもペイントなどのカスタマイズが見られシーズン1からの時間経過が覗えます。

シドの店に戻ると今シーズンからの新キャラとなるフィーが登場。
オメガに対するバッド・バッチが少年ボバの周囲にいたキャド・ベインやボスク、オーラ・シングに対応する存在であるとするならフィーはホンドーに当たるキャラクターになるのではないかと思います。

こうした対照的なボバとオメガの境遇の違いは子供の人格形成が環境に影響されることの隠喩であるようにも見て取れます。

ストーリー本編では「テイルズ・オブ・ジェダイ」に続きドゥークーがクローズアップされます。生き残りのセレノー人ロマーはドゥークーについて、彼の「権力欲が街を壊滅させた」と語ります。軍事資金のために占領地の盗品だけではなく地元セレノーの民からも金品を巻き上げていたと証言。

ドゥークーがセレノーを根城としていた理由は、自身の力のためではないでしょうか。正史ではドゥークーは幼少期にそのフォース感応者の能力を親から恐れられ森に捨てられてしまうという生い立ちです。そうした背景がアナキンにとってのムスタファー(オビ=ワン・ケノービに重傷を負わされ、愛するパドメを喪失した忌むべき土地)と似たような意味を持つように思われるのです。自分を拒絶した故郷に復讐しながら、敢えて身を置くことで怒りを暗黒面の力の源泉としていたのではないかと想像します。


第3話

舞台となるデシックスはもと独立星系連合に属し、終戦後も帝国への併合を拒絶する惑星。総督トーニ・エイムズは初登場のキャラクターですが、彼女が名を挙げたミーナ・ボンテリは「クローン・ウォーズ」でパドメと共に交渉による和平を目指した分離主義者の政治家でした。結局は尊敬していたドゥークーの企みで交渉の機会を台無しにされ暗殺されてしまいます。
そのエピソード「分離主義者の友」(シーズン3 第10話)では戦争長期化を望み軍需への依存に染まる共和国の企業グループの暗躍も描かれていました。

派遣されたグロットンが拘束され、呼び出されたクロスヘアーが合流したのはトレーラーにも登場し話題になっていたコーディでした。

グロットンが引き連れた徴兵のストームトルーパーは全くの役立たずでしたが、巧みな戦術で敵陣に攻め込むコーディ率いる歴戦のクローントルーパーとの実力差も大きな見所でした。


第4話〜第6話

ここからは少し幕間的なエピソードが続きます。

第4話では「エピソード1 ファントム・メナス」のポッドレースを彷彿とさせるライオット・レースでは、テクが予想外の活躍を見せます。レース終盤にテクが武装をパージするという展開がありますが、彼らクローンが戦いの人生を捨てて各々の個性が活かせる第二の人生を歩み出すという物語の終着を予感させる演出だなと感じました。謎の多いシドの素性も気になります。

第5話は「レジスタンス」シーズン2の「埋もれた寺院」を彷彿とさせるものでしたが、一方でゲーム作品「ジェダイ・フォールン・オーダー」に登場した古代文明ゼフォの意匠も所々に感じられました。
このエピソードでキーアイテムとなる「山のハート」は同一かどうか不明ですが2015年に展開し2017年に単行本化された「スター・ウォーズ:ヨーダの知られざる戦い」に登場する生命を宿した鉱石として登場します。スピンオフ作品とのゆるいクロスオーバーに重きが置かれたエピソードでした。

トレーラーに姿を見せファンを歓喜させたグンジーが登場する第6話では、戦後のキャッシークの様子も。トランドーシャンが帝国と協力し、ウーキーを奴隷として扱う様子は映像作品ではLEGOスター・ウォーズ「フリーメーカーの冒険」のエピソードでも登場しました。正史での映像化はこれが初めてとなります。「ボバ・フェット」でブラック・クルルサンタンがトランドーシャン相手に暴れて腕をもぎ取る場面がありましたが、その理由の一端です。

このエピソードはかつて企画されてお蔵入りとなっていた「クローン・ウォーズ」のストーリーアークがひな形になっています。(時系列としてはオーダー66より前の事として描かれたものでした。)第3話やこの後展開する第7〜8話もそうですが「バッド・バッチ」が実質的に「クローン・ウォーズ」シーズン8の様相を呈してきます。

お蔵入りエピソードのサルベージは単に続く重要なエピソードにコストを割くための施策かもしれません。一方でジョージ・ルーカスがまだ制作の中心で舵取りをしていた頃に企画されたものであり、本エピソードのウーキーが木々と交信できるという設定もジョージ・ルーカスがかつてデイブ・フィローニに語っていた事でもあったそうです。こうした点から「バッド・バッチ」は「クローン・ウォーズ」の幻のエピソードや本来のシーズン8までの構想を蘇らせる事が目的としてあるのではないかとも勘ぐってしまいます。


第7話〜第8話

この2つのエピソードも「クローン・ウォーズ」の後日談的な意味会いの強い、かつクローン・トルーパーの運命が確定的なものとなる非常に重要な二編でした。特に第7話ではバッド・バッチの登場も無く完全に「クローン・ウォーズ」の1エピソードの様相でした。

人気キャラのチューチー議員が登場。ランパート中将の徴兵法案提出に対しクローンの権利と退役後の待遇を訴えますが、その活動のなかでカミーノ崩壊の秘密をめぐる陰謀に巻き込まれる形に。満を持してベイル・オーガナも登場し、彼女を影で支援します。

元老院では銀行ギルドや商業コマースギルドが徴兵制(軍の維持と反乱者との戦争の継続)に賛成の声を挙げます。企業の軍需依存は先述の「分離主義者の友」での姿と変わっていません。依然として世の中の腐敗はパルパティーンに有利に働きます。

ダロの施設とそこで行われているストームトルーパー養成を含むいわゆるウォー=マントル計画が元老院を通さずに遂行されていたことや、その資金源も明らかに。

レックスとバッド・バッチがカミーノ崩壊の真実を暴くためミッションを展開しますが・・・。エコーの決断にも注目です。


シーズン2は「クローン・ウォーズ」の直接の続編としての色味がより濃さを増してきます。クローン・トルーパー退役が確定的となり、この先待っているのは「いかにして銀河からクローン達が消えていったのか」という話になるのかも・・・。後半に続きます。


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