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「クローン・ウォーズ」シーズン3の見所紹介

「スター・ウォーズ」ファンの間でも難所となっている「クローン・ウォーズ」をシーズンごとに、私なりの見所や楽しみ方と合わせて紹介しています。

昨今、ドラマシリーズでもクロスオーバーの機会が増え、より深くドラマ作品を楽しみたいという方には特にお薦めしたい傑作アニメシリーズです。

なるべく「結末は見てのお楽しみ」という形で物語のさわりを紹介していますが、完全なネタバレ回避にはなっていませんのでその点ご注意ください。

シーズン3ではアニメ映画「クローン・ウォーズ」の顛末、マンダロアの凋落にも繋がるナイトシスターの暗躍、共和国元老院とジェダイ評議会の乖離の兆候といった展開に加えて名作「フォースの惑星編」が大きな見所です。

本シーズンもストーリーアーク単位でどこから見ても楽しめるので、紹介する見所を参考に気になったアークからでもぜひ。

1話から4話までの見所

1話》は時系列としてはシーズン1《1話》より以前です。うだつの上がらないドミノ分隊を励まし、勝利に導く雑用係の99号が登場します。シーズン1《5話》の前哨基地配属のお話を経て《2話》の状況に繋がります。
今年シーズン2が配信予定の「バッド・バッチ」の正式名称「クローン・フォース99」という分隊名は99号の活躍が由来となっています。

3話》はシーズン1《19話》からの「ライロスの戦い」と、ヨーダが中立派トイダリアとの同盟を掛けて勝負したシリーズ《1話》の前日譚です。

4話》もシーズン1の《15話》から続くパントラの議員のお話です。
抗争で命を落としたチー・チョーに代わって書記長についたパパノイダ男爵は、映画「エピソード3 シスの復讐」でジョージ・ルーカス自身がカメオ出演した際のキャラクターです。このエピソードで登場する3人の子供達もそれぞれルーカスの子供達がモデルになっており「〜シスの復讐」で同じくカメオ出演した次女ケイティ・ルーカスが脚本を担当しています。また「クローン・ウォーズ」で舞台として初めてタトゥイーンが登場するのもこのストーリーアークです。


5話から15話までの見所

人々の堕落はシスの付け入りやすい状況を生み出していた。

5話》と《6話》ではマンダロアでも共和国で起きているような政治腐敗が描かれます。マンダロア編のアークとしては重要度は割と低めですが、後の悲劇に繋がる国家分断の兆しが描かれます。

7話》《8話》は、映画「クローン・ウォーズ」の後日談です。投獄されたはずのズィロが檻の中から復讐を計画します。お話はシーズン1《22話》の脱獄劇に繋がり、映画から始まった一連のズィロの事件は《9話》で結末へ。

シーズン2《15話》の議員暗殺事件に繋がる、共和国軍の費用拡大についての議論が《10話》と《11話》で展開。映画作品では分離主義者側に見えるインターギャラクティック銀行グループや通商連合でしたが、表向きは中立の立場にあって戦争の利益に群がっています。
このストーリーアークではジェダイは不干渉でした。シスが裏できっかけを与え、民衆のエゴと恐怖によって戦争が助長される様子を描いています。

このエピソードからアソーカが少し成長した姿に変わります。

《10話》でパドメに同行するアソーカが初対面するミーナ・ボンテリ議員の息子ラックスとの関係は先々のエピソードで発展し、シーズン5における彼らの母星オンダロンでの出来事については「反乱者たち」「ローグ・ワン」と「エピソード4 新たなる希望」にまで一直線に繋がる重要ストーリーアークとなります。


12話から22話までの見所

総監督のデイブ・フィローニはプロ・クーンが推しキャラ。
ファン時代にはイベントでコスプレもしていた。

12話》からはアサージ・ヴェントレスの母星ダソミアが舞台に。ヴェントレスは幼少時に故郷を離れ、ジェダイに保護されたのちに師と死別、紆余曲折の末にドゥークーの弟子に。しかしドゥークーに裏切られ故郷の仲間の力を借りて復讐を企みます。このダソミアの動きは悪の連鎖となりマンダロアの問題にも波及します。

力の強さが絶対の「シス」はその性質上、裏切りや殺し合いが生じるため組織存続を目的として「シス卿は二人だけ」という掟があり、ドゥークーに対するダース・シディアスの命令はそのことを警戒してのものと考えられます。

15話》からの「フォースの惑星編」はシリーズでもかなり特殊なストーリーアークです。流出したとされるコリン・トレヴォロウ版の「エピソード9」のプロットにも引用がある事が知られています。ファン同士の議論でもこの神話的なエピソードの解釈は様々ですがルーカスが直接関わっている以上「フォースのバランス」や「選ばれし者」といったサーガの核心部分に触れるシリーズ全体においても非常に重要度の高いアークと言えます。

難攻不落の監獄に囚われた仲間の救出任務を描く《18話》からのアークではドミノ分隊出身のファイブスとエコーが、また共和国軍においても強烈な存在感を見せるターキン提督が登場。多くの犠牲者を出しながら奪還した機密情報を巡っては元老院とジェダイのお互いの不信が更に高まる様子も。

クライマックスとなる《21話》《22話》ではアソーカが狩りの獲物に。凶悪なトランドーシャンも国家としては共和国に属しています。戦時下でこうした犯罪が野放しになっている状況も共和国の機能不全を表していると言えます。
アソーカは追い詰められ絶望的な状況に陥りますが希望を捨てず、サプライズとして思わぬキャラが現れてアソーカたちに救いを与えることになります。


シーズン3のタイトルは「暴かれた秘密」

人々が欲望や恐怖に支配され戦争収束の道を自ら閉ざし、泥沼の状態へ突き進む共和国の実態が明らかとなりました。

平和の使者であるはずのジェダイも政治犯罪には干渉せず、また民事へも介入しません。ドロイド軍を倒す事だけを目標に共和国軍の機能の一部(兵)として戦地での任務=分離主義者との戦いに明け暮れています。シーズン4以降ではジェダイ騎士団の没落を予感したり、組織に失望して裏切るジェダイも現れます。

シーズン1〜2よりもクローン戦争の本質に迫る展開なのですが、アニメという時点で敬遠した大人のファンが多かったことや、放送当時は日本でのテレビ放映はNHKBSのみ(シーズン1〜2はNHK教育(Eテレ)で地上波放映)だったせいかファンの間でもその辺りの事情で視聴を断念して離れた人々も多かった印象です。

「ピープルVSジョージ・ルーカス」公開前後年。
まだまだ新三部作バッシングの最中。



シーズン3 放映は東日本大震災の時期とも被っているので、エンタメ自体にとっても厳しい時代ではありました。現在も現実世界では様々な問題が生じていますが、こんな時代だからこそ改めて見てみると学びの多い作品だと思います。

シーズン4では戦争が更に激化。主人公達の状況も徐々に変化していきます。