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「クローン・ウォーズ」シーズン1の見所紹介

1話約22分、全133話というボリュームで「スター・ウォーズ」ファンの間でも難所となっている「クローン・ウォーズ」をシーズンごとに、私なりの見所や楽しみ方と合わせて紹介したいと思います。

昨今、ドラマシリーズでもクロスオーバーの機会が増え、より深くドラマ作品を楽しみたいという方には特にお薦めしたい傑作アニメシリーズです。
原作者のジョージ・ルーカスが直接製作に関与した最後の「スター・ウォーズ」であり、続くアニメシリーズや「マンダロリアン」で製作総指揮を務めるファン出身のデイブ・フィローニの出世作という点でも重要度の高い作品になっています。

なるべく「結末は見てのお楽しみ」という形で物語のさわりを紹介していますが、完全なネタバレ回避にはなっていませんのでその点ご注意ください。

「クローン・ウォーズ」は主に映画「エピソード2」と「エピソード3」の間の出来事
「クローン・ウォーズ」開始時点でアナキンはパダワンからナイトに
オビ=ワンはナイトからマスターにそれぞれ昇格している

このアニメシリーズは映画作品「エピソード2 クローンの攻撃」直後、映画版「クローン・ウォーズ」の前後から始まり「エピソード3 シスの復讐」と並走する形でフィナーレとなる約3年間の「クローン戦争」を描いています。
3つの映画作品を鑑賞をすると世界観の理解がスムーズです。

意外と難しい共和国と分離主義者の対立構図
シスは千年前に討伐され、絶えたと思われていた

1話から10話までの見所

1話》はシリーズ全体に渡る「クローン戦争」を説明する内容になっています。

両勢力の目的は『戦略的な要所となる銀河各地の惑星国家を引き入れる事』です。
開戦時の戦力差は大きく、共和国軍より分離主義勢力が優勢でしたが、ジェダイが指揮を担いクローン兵を指導し育てる事で徐々に戦局が変化していきます。

ヨーダがクローン兵の個性を尊重するところも重要なポイントです。愛称で呼び合ったりアーマーへのペイントなどでも象徴的に表現されていますが、のちの帝国軍のストームトルーパー(無個性で名前は番号)とは全く異なる性質の組織であり、また強みであることを示しています。

アナキンを自分の店で奴隷として働かせていたワトーと同じトイダリアン種族の優しくて気品のある王が登場します。こうした『過去の登場要素の異なった側面を見せる』のもシリーズの特徴です。あらゆる物事の二面性を描くことも「スター・ウォーズ」のテーマなのです。

単発エピソードの《5話》ではその成長過程がシリーズで描かれるドミノ分隊が初登場。隊員のエコーは続編『バッド・バッチ』でも主役の一人として活躍中です。同じくシリーズを通して重要な役割を演じるレックスとコーディも登場。一人の声優がほぼ全ての登場人物を演じるという前代未聞のクローン劇場は衝撃的でした。日本語吹替版では「金八先生」の北先生役や「科捜研の女」の藤倉刑事部長役など日本のドラマや映画で活躍する金田明夫さんがジャンゴ・フェットと全てのクローントルーパー(とボバ・フェットも)を演じています。

8話》からのストーリーアークではガンレイ総督が再登場。ガンレイの行方を追ってジェダイが辿り着いた先は「グリーヴァスのアジト」でした。
この10話は「クローン・ウォーズ」にデザイナーとして参加されていたメカデザイナー竹内敦志さんが監督を務めています。日本人が初めてスター・ウォーズを監督した記念的作品となっています。

クローン・ウォーズの制作にはポリゴン・ピクチュアズが参加している事も知られていますが、クレジットや同社公式サイトによるとシーズン5以降のようです。

11話から16話までの見所

11話》には憎めない悪役でファンからの人気も高いホンドー・オナカーが初登場。アナキンとオビ=ワンのコンビがドゥークーとの協力を迫られる成り行きは愉快でした。ホンドーも策士ですが、ジェダイやシスが決して無敵では無いことが示されます。

13話》からのアークでは、アソーカとアナキンの師弟コンビが再登場。二人の絆がより強くなっている様子が見られます。彼らの師弟を超えた深い友情と兄妹的な関係性が深まっていくこともシリーズを通しての注目ポイントです。先々の二人の運命を踏まえて見ると台詞の一つ一つに大きな意味を感じてしまいます。

16話》は映画「クローン・ウォーズ」に繋がるエピソードで、こちらの記事でも紹介しています。

17話から22話までの見所

17話》からのウィルス爆弾編も非常に面白いアークです。「クローン・ウォーズ」では映画では描き切れなかった登場人物たちのキャラクターの深掘りも魅力ですが、このアークではアナキンのパドメに対する愛情(あるいは執着)の深さを映画「エピソード1 ファントム・メナス」に縁のある場所を舞台に描いています。

そして《19話》から展開する実質的なシーズン1のクライマックスが、続くアニメシリーズ「反乱者たち」や「バッド・バッチ」にも繋がるライロスの戦いです。旧3部作オリジナル・トリロジーではジャバ宮殿の奴隷や召使いとして描かれたトワイレックという種族の母星であり、彼ら種族の勇敢で荒々しい様が描かれます。
ライロスにおいては、堕落した共和国元老院議員ターに反発するシンドゥーラの過激派がいわば分離主義勢力のような存在であり、ドロイド軍と戦うため彼らに共闘を求めるのが共和国軍という「入れ子構造」の状態から物語が展開します。

勝ち気で突っ走る性格のアソーカはアナキンそのもので、彼女からパダワン時代のアナキンもイメージできます。オビ=ワンもさぞや手を焼いたことでしょう。
また、二人はたびたび情や直感で動いて命令無視をするところも似ています。評議会の命に従順で任務以外には干渉せず、無情にも見える他のジェダイ達との大きな違いです。上司・同僚たちになかなか理解されないアナキンだからこそ、彼女に強く共感し心を許しあう友になっていきます。

シーズン最終話の《22話》では賞金稼ぎキャド・ベインが初登場します。
このエピソードは映画「クローン・ウォーズ」の後日談であり、時系列的にはかなり先の出来事で、シーズン3ではその前後が描かれるのでシーズン3の記事で改めて紹介したいと思います。


ビジュアルが馴染めない?

2D(セル)アニメに親しみ深い日本人からすると最初はビジュアルに抵抗があるかと思います。私も初見時は正直戸惑いました。アニメというより「サンダーバード」や「サンダーボルト・ファンタジー」のようなマリオネット劇として見ると良いと思います。

実際にキャラクターデザインはジェリー・アンダーソン作品の影響を受けており、加えて古いスター・ウォーズフィギュアの頭身に寄せて造形されています。また、やや細長い顔の造形は2003年のカートゥーン版「クローン大戦」のキャラデザインを意識しているのだと考えられます。

「スター・ウォーズ」シリーズ全般にも言える事として「スター・ウォーズ」は「スター・トレック」や「ガンダム」のようなSF(空想科学)ではありません。「指輪物語」や「ナルニア国物語」のようなファンタジーを「SF風」にビジュアライズした映像作品です。野暮な科学考証はせず、おとぎ話として楽しんで下さい。


1話から通しで見なくても大丈夫

他のシーズンと比べても派手さに欠けるエピソードがやや多いため脱落者が多いと語られがちなシーズン1ですが、全22話のストーリーは連続していないのでストーリーアーク単位で興味を感じたところから見ていくと良いと思います。
シーズン1のお薦め3選は以下のアークです。

  • 《1話 ルゴサの戦い》

  • 《13話〜14話 マリダンの戦い》

  • 《17話〜18話 ウィルス爆弾編》

今回紹介した見所にぜひ注目して見てみて下さい。
引き続きシーズンごとに見所を紹介してきたいと思います。