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「クローン・ウォーズ」シーズン5の見所紹介(前編)

「スター・ウォーズ」ファンの間でも難所となっている「クローン・ウォーズ」をシーズンごとに、私なりの見所や楽しみ方と合わせて紹介しています。

昨今、ドラマシリーズでもクロスオーバーの機会が増え、より深くドラマ作品を楽しみたいという方には特にお薦めしたい傑作アニメシリーズです。

なるべく「結末は見てのお楽しみ」という形で物語のさわりを紹介していますが、完全なネタバレ回避にはなっていませんのでその点ご注意ください。

シーズン5とそれ以降の展開は、映画「エピソード3シスの復讐」への関連性はもちろん、昨今のスピンオフ作品にも影響を及ぼす出来事が多く登場。とりわけシーズン5ではのちの「反乱者たち」での展開に関わる事件が展開します。

前後編に分けて省略無しで全ストーリーアークを紹介したいと思います。

本シーズンも前半はストーリーアーク単位でどこから見ても楽しめるので、紹介する見所を参考に気になったアークからでもぜひ。

1話の見所

1話》はシーズン4フィナーレからの続きで、復活したモールは海賊を配下にしようと企みます。

モールはサヴァージを弟子として、ダース・シディアスとダース・ティラナス(ドゥークー伯爵)のシスとは別派としての「シス卿」を名乗ります。この時期に限り銀河には4人のシス卿(2組のマスターと弟子)が存在することになります。当然、ダース・シディアスがそんな事を許すはずもなく・・・。

時系列的にはこのエピソードの後は《14話》になります。続きが気になる方は途中を後回しにして《14話》〜《16話》に飛んでも良いでしょう。

2話から5話の見所

2話》からのオンダロン篇はシーズン5前半の注目ストーリーアークです。「クローン・ウォーズ」シリーズ全体でも非常に重要なお話です。

中立派から分離主義者に転向した国家で内乱が起こり、現地の反乱軍が共和国に支援を求めます。ジェダイ評議会は内政干渉に加えテロ支援になりかねず介入できないとしますが、アナキンが武器と軍事訓練の提供を立案・実行します。

テク「君はソウ・ゲレラか?キャプテン・レックスとスカイウォーカー将軍に鍛えられた兵士・・・」

「バッド・バッチ」《1話》「余波」
「ローグ・ワン」のソウ・ゲレラ登場は「アニメキャラ実写化」だけの話に収まらない。

この出来事やゲレラの活動は帝国樹立後に銀河各地での反乱に飛び火し、反乱同盟軍の勃興に繋がります。

昨今のスピンオフで後づけされた設定ではなく、ソウ・ゲレラの反乱軍のマークが後の反乱同盟軍のマークの一部に似ている点からも、ソウがアナキンの良心の残滓のごとく将来の反乱者たちに希望をもたらすキャラクターとなる事を当時の時点から構想していた事が見て取れるのです。

アソーカは監視役として現地に残りますが、戦いが泥沼化してもオビ=ワン(ジェダイ評議会)は最後まで直接的な手助けを許可しませんでした。

ソウ・ゲレラは「ローグ・ワン」登場後にはアニメやゲームにも登場しました。今後配信が予定されているドラマ「アソーカ」や「アンドー」でもこのオンダロンの事件や反乱軍の成り立ちは何かしらの形で言及があるのではないかと予想します。

6話から10話までの見所

ヒュイヤン教授はジェダイ全盛期を描くハイ・リパブリックシリーズにも登場。

重くシリアスな展開が連続するシーズン5ですが《6話》からは箸休め的なストーリーアークです。

「スター・ウォーズ」(特にジェダイ)に興味を持ったお子さんには、いきなりこのストーリーアークを見せてもとても楽しめるのではないかと思います。

「ジェダイの試練/儀式」や「ライトセーバーはどうやって作られるのか」といった事が描かれ、設定として「カイバークリスタル」と「ライトセーバー」が紐付けられたのもこのアーク(《7話》)からとなります。

注目のポイントはドロイドがライトセーバーの設計を任されていることです。
「教授」という敬称からも長きに渡ってジェダイの伝統の一部を担ってきたヒュイヤンへの信頼と尊敬が感じられますが、彼はジェダイがクローン戦争で敵として戦っている「ドロイド」でもあるのです。ドロイドがイコール悪ではなく彼らとも対等な関係を築き共存が可能であることを示しています。

加えてこれは2003年のカートゥーン版「クローン大戦」における「バリスが儀式の一部としてライトセーバーを組み立てていた描写」からは大きな改変点でした。(カートゥーン版では「カイバークリスタル」ではなく単に「クリスタル」でした。)

旧設定では現地でマスターの前で組み立てていた。
この頃はジェダイの描き方は僧より兵の側面が強かった。

フォースの研究を本道とする僧徒であり共和国に仕える調停者たるジェダイにとってライトセーバーとは基本的に護身用の道具でしかなく「ジェダイと武器との精神的な結びつきを必要最低限に留めるための改変」のようにも感じました。

武器を得る事よりもクリスタルを入手する過程で得る神秘体験のほうが儀礼として大切であることを描いていて、ライトセーバー獲得はこの儀式では副次的なものでした。ジェダイにとってライトセーバーは密教法具のような意味合いが近いようにも感じます。(ライトセーバー自体を否定しているわけではありません。単純にビジュアルとして格好いいですし私も4本持ってます。)

賛否分かれる「TLJ」については近々記事を書きたいと思ってます。

「エピソード6ジェダイの帰還」クライマックスや「エピソード8最後のジェダイ」冒頭でルークが見せた態度もそうした志向に基づいていて良い演出でした。
このストーリーアークでも候補生たちはライトセーバーを奪われているにも関わらずアソーカの救出に向かいます。

一方、力を崇めライトセーバーでの戦いはジェダイより長けているシスや、武器を信仰の一部とするマンダロリアンはその反定立になっていると考えます。
特に「クローン・ウォーズ」以降の「スター・ウォーズ」における「武士」的な組織は(部族としての)マンダロリアンに移されたようにも見えるのです。

ですから「スター・ウォーズ・ビジョンズ」でライトセーバーをジェダイの象徴として珍重したり、武士の哲学や振る舞いをジェダイにそのまま与えるのは理解が浅く、上っ面だけのオマージュのように私は感じてしまうのです。余談です。


noteの仕様のせいかリンクの貼付が出来なかったので画像を転載。
DEVIANT ART のサイトで「Star Wars Rebels Concept - Young Pirates」で検索してみて下さい。

こちらは『候補生たちがもし「反乱者たち」の時代に海賊として生きていたら』というブライアン・スヌークさんのファンアートです。
私が知る限りでは、彼らのその後は今現在もスピンオフ作品で描かれたことはなく不明のままです。大粛清や尋問官の追跡を逃れ、何とか無事にたくましく生き延びていて欲しいなと思ってしまいます。

《11話》から《20話》までの見所紹介は引き続き「後編」で。