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推しへの愛、今昔。〜後編〜

ここ最近の湿気と暑さに早くも負けそうな花ノ本以津輝です。
前回は、前編と表して「このテーマを書くに至ったきっかけ」(という名の最近以津輝がハマったもの紹介)を書きました。

本日は、いよいよ本編であります「江戸時代と現代の推し文化」についてを書いてみたいと思います!!!!

江戸時代の「推し」とは?

坂東巳之助坂東三津五郎

みなさんの「推し」はどういった方でしょう??(突然の問いかけスタイル)
アイドル、俳優、芸人...それとも同じ職場の人とかよく行くカフェの店員さんとか...様々だと思います。

江戸時代もそれはそれは様々でした!

なんといっても一番人気は歌舞伎役者
庶民から貴族まで、歌舞伎に夢中。

また、「会いに行けるアイドル」として人気だったのが茶屋娘たち。
中でも浮世絵師・鈴木春信に描かれたことで一躍有名アイドルとなったのが「笠森お仙」。

あんまりの人気にこのお仙ちゃんをモデルとした歌舞伎芝居や踊りも作られちゃったんですって。(日本舞踊にも「おせん」という演目があります)
また、”お仙すごろく"のようなファングッズ(?)まで作られたとか。
相当美人だったんだろうなあ...しかも、お茶屋に行ったら会えるっていう身近なところも良かったんでしょうね。
めっちゃ客増えたんでしょうね、お茶屋。
しかもグッズ売れるし。

そんな、現代にも通じる「推し文化」がたくさん。

ということで、江戸時代でも現代でもやっぱり変わらんなあと思ったことを挙げてみます。時代は変われど人の気持ちは変わらず。

共通点① ファンは推しのうちわを持ってる

画像2

浮世絵を見ても結構役者さんの描かれた団扇や推しの家紋団扇を持っているお姉さんいるんですよね。(扇子だったりもしますが)

これ私は一種の推しアピールなのでは?と常々思っています。個人的に。
例えば、町の名物茶屋娘とかが絵師さんに「君を描きたいんだ!描かせてくれ!」ってなった時に
「描くんだったら、うちわも一緒に描いて!推しへのアピールになるから!」みたいな。
実際のところどうなんですかね。教えて!知っている人!

うちわ1

この、役者絵入りうちわ。
現在で言ったら、アイドルさんのお顔がバーンとプリントされたあのうちわと一緒ですよね。コンサート会場で売ってるやつ!

実際江戸時代に芝居小屋で同じようにうちわが使われていたかどうかはわかりませんが、持ち物から推しをアピールするといった点では共通しているのではないかな〜と思います。

私の願望としては、現在の歌舞伎でもぜひ屋号や役者絵の入ったうちわ、公式で販売していただけないでしょうかね...
売れると思うんだけどなあ...いっそ作るか...

市村家橘うちわ

うちわを作る...といえば、そういえば作ったことありました。
これは2012年、四代目猿之助襲名の際にお友達とノリで作ったうちわです。

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若気の至りですかね。
もちろん劇場では使わず、確か渋谷のお練りの時に持っていったんじゃなかったかな...(記憶曖昧)

それでこのうちわはその後どうしたんだっけ...
もしかしたら御本人に差し上げたの...か...?(いやそうじゃないと信じたい)


共通点② ファンはやっぱり推しの概念を身につけたい

尾上菊五郎嵐こうろく

推しの家紋やよく身につけている柄を自分も身に纏いたい!ということで、人気役者が流行らせた模様は数知れず。
有名なところで言うと、


市川團十郎の家紋である三枡

東洲斎写楽 「二世市川高麗蔵の篠塚五郎貞綱」

街中でそのアイテムを身につけている人は、推している役者が一目瞭然ですね。
芝居小屋なんかでは、どのアイテムを身につけている人が多いかで今月は誰をお目当てにしている人が多いかがすぐわかったようですよ。
私も歌舞伎観に行く時に推しアイテム身につけて行こうかな...
四代目市川猿之助丈が贔屓の私は澤瀉柄の着物+猿と亀のアイテム...とかですかね?
あとはかかっている演目によってコーディネートしたりしている方を歌舞伎座などで見かけますと、粋だな〜と思います。

例えば、「夏祭浪花鑑」だったらギンガムチェック(団七縞)の着物とかね!
5月にシアターコクーンで丁度やっていますね。(初日はずれましたが開幕しました!めでたい!)
中村勘九郎さん率いる中村屋。


最近だと「鬼滅の刃」の影響で緑黒の市松模様とピンクの麻の葉がやたら流行っているといったところでしょうか。
(あ、市松模様の語源も江戸時代の歌舞伎役者で、初代佐野川市松という役者が当たり役を演じた時に身につけていた柄だったことから名付けられたんですって!)

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他にもドラマや映画で推しの役者さんが身につけたアイテムを揃える人がいたり、ドラマで使っていたアイテムと同じものが飛ぶように売れるなんてこともあるみたいですね。

共通点③ ファンは推しのプライベート情報が少しでも知りたい

役者いっぱい

まあいわゆる「ゴシップネタ」というやつですね...
これは行き過ぎるとかなり危ういですが、江戸時代もゴシップはやっぱり人気。

推しが使っている香水つけたいからあの手この手で必死に調べたり、衣装でなく私服ではいつも何を着ているとかをリサーチしたりというのは江戸時代も現代も一緒だったようです。
そのため歌舞伎役者さんは私服にもかなり気をつけていたようで、女形さんはイメージを崩さないために、そして自らの芸のためにも、私生活を女性として過ごしている方も多かったとか...大変や...
この様子は前編に記載の小説「化け者心中」の中で色濃く書かれています。

また、そんなゴシップ好きのファンたちの行動を逆手にとって商品の宣伝などビジネスに結びつけてた役者もいたらしい...?
例えば、宣伝のために「◯◯って役者が今使っているのはこの香水!」という噂を広めたりとか。(それで役者さんは金銭を受け取っていたのかしら?)※諸説あります
今でいうインフルエンサーマーケティングみたいなものなのかな...


共通点④ 人気作品は二次創作が流行る

おんぶ1

(※上記は二次創作ではありません)

これもどうやら江戸時代からあったようですね...
現代の状況については色々な事情により色々と濁しまして(笑)
江戸時代のことにフォーカスを充てたいと思います。

公式(?)の役者絵は皆さんご存知の通り、今でいうところの「写真集」や「ブロマイド」といったところでしょうけれど、それ以外にも役者をモチーフにした枕絵が存在していたんだそうですよ!!わお!!
(枕絵って何?と思った方は検索してみてくださいね。えへ。)

例えば舞台上であまりにも素敵なカップルを演じていた役者さんがいたとしたら、その二人の役者さんをモチーフとした妄想のめくるめく世界を描いた絵がたくさん出回っていたりしたんだそうです。
しかも何がすごいって公式的な浮世絵を描いている絵師さんが、二次創作を別のペンネームで描いていたり(別名でない人もいたかもしれないけど)ということもあったんだそうな。
そりゃクォリティ高いわ。
実際のものは見た事ないので、誰か見れるところを知っている方いたら是非教えてください!


いつの時代も推しは最強。

坂東巳之助坂東三津五郎

昨今テレビ番組でも頻繁に取り上げられている「推し活」
やはり、好きな人や応援している人がいると日々がキラキラ輝いたりするものですよね。
沼にハマりすぎると時には楽しいだけじゃないこともありますが、それでも応援している人が生き生きと活動している姿を見るとプラスのパワーをたくさんいただけます。

私も応援しているばっかりでなく、きちんと「推し」からのパワーを応援してくださる皆さんに還元できるように精進致します!

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本日も最後までお読みいただきありがとうございました!


[画像引用元]
パブリックドメインQ
Smithsonian
↑この記事を描くにあたって浮世絵を色々探すのがとても楽しかった。海外の美術館のコレクションがすごいの!
江戸好きの皆さん、ぜひ!

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