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Vtuberはまだリスナーの目線がヴァーチャルに向きすぎているという話

Vtuberの魂と肉体

 自分は仕事終わりにnoteを眺める習慣があるのですが、気になる記事がありました。
 Vtuber界隈でタブーとされている魂と肉体の話です。

2021年はVTuberが第四の壁を超えて魂の実写動画を公開する


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 にじさんじにおける「第4の壁の向こう側」問題

 Vtuberには魂と呼ばれる縁者が、綺麗な二次元のイラストをまとう配信者の事です。黎明期こそ3DのアバターこそVtuberと呼ばれていました。

 しかし、にじさんじ及びホロライブという大手の箱が台頭した影響でLive 2Dを使用した平面のアバターもVtuberとして周知され始め、去年、破格の勢いを見せたホロライブEN所属のGawr Guraは3Dのアバターを持っていないのに親分ことキズナ・アイに次ぐ登録者数となっています。

Gawr Gura

 今となっては現実世界に生きる魂が、仮想世界に存在する肉体をまとえばVtuberと誰でも名乗れる時代になってきました。

 そんな中、未だにタブー視されているのがヴァーチャルの肉体に隠れている魂を公の存在とする事です。それはライバー側だけでなくリスナー側も同様です。魂である演者とVtuberは別人であるという共通認識でした。

 キズナ・アイ分裂騒動はまさしく、そのタブーに触れたために起きた炎上だったでしょう。ゲーム部の問題はどちらかといえばパワハラ疑惑に端を発していた問題だった為、肉体と魂の問題は重要視されていなかったような気がします。(ただし運営がそれを黙殺して、あくまでも魂と肉体の問題ばかりを重要視した結果、騒動が大きくなったのだと自分は考えています)

現実世界からヴァーチャルへ、そしてヴァーチャルからの解放

 しかし、上で紹介した記事では2021年は魂がヴァーチャルの肉体と別に活動をする動きが大きくなる可能性がある事を示唆されていました。

 確かに漫画家、イラストレーターで活躍しているクリムゾンや伊東ライフ、飯田ぽち、佃煮のりおといったクリエイターが自分のチャンネルを立ち上げて、自分で描いてイラストを使ってVtuberとして配信活動をしてます。(一応、名目上佃煮のりおは犬山たまきとは別の存在となっていますがファンには同一人物として認識されています)

クリムゾン

伊東ライフ


ぽちまる

犬山たまき / 佃煮のりお

 個人勢のケリンやフェアリス、MonsterZ MATEのアンジョーとこーさかはVtuberとして別に、中の演者の存在をオープンにしています。おめがシスターズのおめがレイが出産して、顔は隠しながらもヴァーチャルではなく、実写の姿を赤ちゃんとともに動画上で見せて大きな話題になりました。

ケリン

フェアリス

MonsterZ MATE

おめがシスターズ

レイの出産報告

 にじさんじでも月ノ美兎委員長が、それまで企業勢のVtuberが中の存在をタブーとしていたのをいきなホラーじみた実写動画(通称謎ノ美兎)を配信して話題になりましたし、昨年、行われた百物語ではVtuberには中の人が存在するという前提の元でのギミックが用意された配信を行っていました。

月ノ美兎

始めての謎ノ美兎が登場した配信

謎ノ美兎

100個怖い話するまで帰れない2020

そもそもリスナー間で形成される共通認識

 Vtuberはそもそもキズナアイが登場した黎明期の頃はともかく、にじさんじの月ノ美兎委員長の女子高生というRPが剥がれたあたりで、ヴァーチャルの肉体と中の人の乖離をあえて楽しむリスナーも増えた気がします。

 ライバーは配信上のヴァーチャルの姿と、現実世界で生きているリアルの姿があるという認識は既に大半のVリスナーの中に浸透していると思っています。

 ライバー自身が配信外のライバーの日常生活を雑談配信で話す事もたくさんあります。ライバーと遊びに行った、食事に行った、コラボの舞台裏などVリスナーの間でVtuberがヴァーチャルの世界でしか存在していないという認識ならばその手の話って受け付けないのでは?と思っています。もちろんライバーのRPを完全に壊さない程度には配慮はしていますが。

 要は配信上を通して一定数のリスナーのコミュニティの共通認識として形成されるライバーのキャラ(月ノ美兎委員長ならば清楚な女子高生とは見た目とは裏腹のネットカルチャーに詳しくお酒が飲めるおもしろキャラ、鈴鹿詩子ならばBL大好き下ネタお姉さんなど)からズレなければ良いのです。

 それがRPに沿ってようが沿ってまいが、その共通認識が壊されなければリスナーからの反発は生まれにくいのではと思っています。

 現実世界でも異性向けコンテンツであるのAKB系、坂道系アイドルやジャニーズ系アイドルはアイドル活動をしている以上、恋愛はご法度とされています。異性ファンからの反感を買うからです。

 嵐の二宮和也が結婚を発表した時はファンからは賛否両論でした。ジャニーズの創設者ジャニー喜多川はアイドルの結婚に対して否定的でした。(アイドルとしての仕事を降りて適齢期を迎えた時、それは本人が決める事とも述べていますが)

ジャニーズの恋愛、結婚に関して

 異性向けアイドルは恋愛をしないというファンの中で根付いた共通認識が既にある以上、この不文律を破ったアイドルは当然、ファンから反感を持たれます。(ホロライブは恋愛禁止というより配信上での異性配信者との絡みがNGですが、異性のファンに対して形成した共通認識を壊さないようにするという意味ではほぼ同じでしょう)

 にじさんじでは去年、大騒動になった夢月ロアはファンに対して、にじさんじで珍しくRPを徹底していました。彼女のリスナーは彼女はRPを徹底しているライバーという共通認識を持っていました。その共通認識が壊れる可能性を夢月ロアが恐れた事が、あの騒動の発端になったのだと思います。

 話が逸れましたが、2021年はvの肉体を捨てるVtuberが増えるかもしれないという話でした。可能性は十分にあるでしょう。特に個人勢のVtuberやクリムゾンのように既にある程度、知名度がある人が顔出しを避けるためにVtuberとして配信活動をする流れは増えると思っています。

 しかし、未だにVtuberといえばにじさんじ、ホロライブを中心とした企業勢が大きな企業勢のライバーに対して、リスナー側で既に共通認識ががっちりと形成された以上、それを壊すような現実世界の姿をさらけ出す動きは難しいのではと思っています。運営との契約内容にもよると思いますが。

 しかし今後、他の箱に比べて活動の主体が運営よりライバーに主軸を置いているにじさんじでは、デビューするライバーによっては、現実世界を意識した活動をする可能性もなくはないと思っています。

 RPも外れて、vの肉体から離れた活動もするライバーという共通認識をリスナー間に形成されれば、リスナーからの反感も比較的少ないのではと考えています。

 既に形成された共通認識をリセットして新たな角度で物事を見るのはとても難しいです。既に活動をしているライバーも自身のファン層がどんな認識で見られているかはある程度、理解していると思うので中々、ヴァーチャル外の活動をするのは難しいと思います。

 しかし、ライバーがヴァーチャルという枷に囚われて、自らがしたい活動の幅が小さくなってしまうのはもったいないなと思っています

 少なくともこれからデビューするライバー(個人勢、企業勢問わず)に対しては、我々リスナー間でもVtuberという認識にとらわれる事なく、ヴァーチャル世界だけでなく、現実世界での活動も徐々に認めていく流れが出来ていけば良いなと思いました。

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