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漁村で、なくなったものを数える。
新年になってからまた、何日か経った。
あっという間に時間は過ぎる。
かわいそうなくらいに早いものだ。
冬は水に濡れると、冷たい。
手が凍えると作業に支障が出るから、
濡れないために長い手袋を使っている。
完全に身体のサイクルが朝方になった。
21時以降、眠くて仕方がない。
特段やることがないなら、眠気に逆らわずに夢のなかへ。
この前友達が遊びに来てくれたのに、
晩酌に付き合えなかった。
その代わり、朝は早く目が覚める。
もちろん、二度寝の誘惑は尽きない。
僕はだいたい、
起きてから16時間後くらいに眠くなる。
つまり、8時間睡眠が理想的な身体だと思ってる。
自分の身体に素直に生きるのだ。
寝るときは寝る。
焚き火で暖をとる。
カモメは漁村のシンボル。
いつも通るルートからみえる、赤い屋根の小屋。
これがボラ小屋と言って、
ナブラなんかが発生するとサイレンを鳴らして、
ボラ網漁が始まる。
そんな時代があった。
ここ阿曽浦のボラ網漁は、昭和30年代を最後に終わりを告げる。
他にもこの小屋は、
真珠を盗みにくる輩の監視も担っていた。
真珠小屋の風景。
かつての写真なんかをみると、
湾内にびっしりと真珠筏が並んでいた。
そんな時代もあったんだろう。
今やボロボロになっている小屋なんかでも、
昔の物語に耳を傾けると、特別なものにみえる。
そうやって漁村にあるものに目を凝らしてみると、
キラリと光るもので溢れてる。
阿曽浦漁港。
巻き網も大敷網もあった時代は、
市場に並びきらないブリが道沿いにズラリと並んで、
そんな日は集落内で放送が流れて、
組合員にタダでブリを配給したそうだ。
いまは大きな船はひとつもないから、
小漁師や養殖業者が獲れた魚をここに運んでくる。
重りで目方を計って、
売れた値段に応じて後から、
漁師が必ず持っている組合の通帳に振り込まれる。
新年、海上安全祈願で、
青峯山にご祈祷してもらった。
早速、旗を船に飾る。
神さまのことをするときは決まって、
御神酒と米・小豆を蒔く。
危険な海で働くということ。
神さまの力が必要なんだ。
今年一年も無事、海の上で働けますように。
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