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1人称の問いとって、どんな問い?

1人称の問いは自分に対しての問いです。“自分に対しての問い”というと、なんだか不思議に感じるかもしれませんね。

しかし、意識していないかもしれませんが、私たちは日々問いを自分に投げかけています。例えば、街で行列を見たら「あれは何の行列だろう?」と気になりませんか? あるいは、お昼が近くなって「今日は何を食べようかなぁ?」と思うことはありませんか? それらは立派な1人称の問いです。このように、1人称の問いは、人がさまざまなことを考えたり、判断したりする状況で常に使われているのです。

こんな使い方:自己分析

さらに、「あの頃、何してたっけ?」と過去の自分に思いを馳せたり、「最近、自分がワクワクすることって何だろう?」と自己分析したりする時にも、1人称の問いは活躍します。

こんな使い方:探求するためのリサーチクエスチョン

また、論文を書く時などには、“リサーチクエスチョン”という探究のための問いが重要視されます。例えば同じ少子化をテーマにするとしても「少子化は日本の未来にどんな影響を及ぼすのか?」という問いを立てるのと、「OECD諸国と比較して、日本の少子化の要因にはどんな特殊性があるのか?」という問いを立てるのとでは、探究の方向性は全く異なるものとなるでしょう。

こんな使い方:課題を解決

あるいは、課題解決を進めようとする時に、最初に「今、実際は何が起きているのか?」 次に「関係者は、本当はどうしたいのか?」 そして「どんな選択肢があるのか?」 最後に「まず何から始めたらよいのか?」と考えを進めるという問いの組み立て方を知っているだけで、ずいぶんコトがスムーズに運べるでしょう。

まとめ

このように、探究やロジカルシンキングの領域でも、思考や行動、判断の精度を上げるために、問いは大きな役割を果たします。
整理してみると、1人称の問いの効果は下記の4点にまとめられます。

■1人称の問いの効果
思考や判断
内省や振り返り
探究やロジカルシンキング
→思考の精度を上げる

現代の教育にも大きな影響を及ぼしている、1900年代の哲学者デューイはその著書である“How We Think”(人はいかに思考しているのか)で、やみくもに行動してはいけない、今日起きていることが、明日の何を示唆しているのか、注意深く考えることで賢い未来を選択できるのだから、という主旨のことを述べています。このように、問いは私たちの思考の精度を高めることで、よりよい未来をもたらしてくれる、頼もしい相棒なのです。
つまり、人は、考えたり、判断したり、行動したりするときに、常に問いを必要としているともいえるのです。
もちろん、行き当たりばったり、あるいは、何か物事が起きてから、反応的に行動する、ということでも生きていけるでしょう。しかし、主体的に自分らしい生き方をしようと思ったら、問いの力に頼るのは非常に合理的な選択です。

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