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知っていることを、あえて問おう

人との対話をするときに、あなたは何を目的としていますか?

カウンセラーやコンサルタントなどを、対話をうまく行っている人たちは、「知っていることを、あえて問う」というテクニックをうまく使って、相手との関係をよいものにしています!

多く会うと、好きになる

“ザイアンスの単純接触効果”という、心理学の実験結果があります。これはシンプルに説明すると、“人は、多く会えば会うほど、相手に好意をいだく”というものです。

そもそも、“好意”あるいは“敵意”というのは、相手が安全で味方であるかを見定める過程で生まれます。ですから、よく分からない相手には警戒して敵意をいだき、相手のことがよくわかってくるにしたがって、安心し好意をいだくようになるというのは、自然のことです。

単純接触効果は、会話ではどうなる?

これを会話に置き換えると、会話の量が増えれば、信頼関係が増す可能性が高まるということになります。

ただし会話の量と言っても、どちらが一方的に話すというのではありません。お互いに同じくらい話すか、できることなら少しだけ相手が多く話すくらいの心持ちで、情報交換が行われるというのが理想的です。相手に多く話してもらうには、問いかけるということが効果的ですね。

しかし、すでに説明した通り、どんなことでも問いかければよいというわけではありません。自己開示に抵抗のない、しかも相手が話しやすい話題が最初はよいでしょう。

相手が話しやすい話題について問う

ところが、初対面や、それほど親しい間柄でない場合、何が“自己開示に抵抗のない、しかも相手が話しやすい話題”なのかは、見定めにくいものです。

ここで活用できるのが“自分がすでに知っていることに関しての問い”なのです。

例えば、その人と共通の知り合いから「あの人は高校の時、吹奏楽部で一緒だった」という情報を得ていたら「〇〇さんとは同じ高校だったと伺っていますが、部活は何をやられていたのですか?」というのが、“自分がすでに知っていることに関しての問い”です。

よほどのことがない限り「ああ、吹奏楽部だったんですよ、〇〇さんと一緒にコンクール金賞を目指してました」などと答えが返ってくるでしょう(もちろん、吹奏楽部でイヤな目にあって話したくないというリスクがないか、共通の知り合いとの話から察する必要はありますが)。

その答えを聞いてからさらに「楽器は何を吹かれていたのですか?」という、まだ知らない情報についての問いを続けたり、それほど音楽には詳しくないということなら「どんなきっかけで吹奏楽部に入られたのですか?」という問いに展開したりすることもできるでしょう。

また、営業活動での初期訪問などでも、事前に会社情報を調べておいて、その会社が最近△△というサービスをスタートさせて好評だという情報を得ていたら、「最近始められた△△の立ち上がり具合はいかがですか?」などと問うことができます。もちろん答えは「おかげさまで、なかなか好評ですよ」ということになるでしょう。

問わずに話題にした場合

ここで、「高校時代、〇〇さんと吹奏楽部でご一緒だったそうですね」あるいは「△△の立ち上がりは好評だと聞いていますよ」と単に伝えることもできますが、そうするとその返事は「はい」で終わってしまうかもしれません。これでは自分だけが話して、相手は全然話していないことになりますね。

このように、自分の知っていることを問いの形で相手に投げかけることにより、会話の量を安全に増やすことができます。

ぜひ相手について知っていることを、問いにして、会話のきっかけにしてください。

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