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甘い静かな時間 10

夕方、家でご飯の用意をしている。
さっきまできらくんに会っていたなんて嘘みたいだ。

そういえば初めて見たな
きらくんの私服

彼は黒のTシャツに黒のセルロースのパンツ、白いセルロースのシャツを羽織っていた。

柔らかいセルロースをゆらゆらさせながら歩くきらくんは、雰囲気がかなり変わる。

柔らかい感じが素敵だったな
と思い返すと、
またドキドキしてきた
早くご飯の用意しなくちゃ

彼は、必ずお昼にメッセージを送ってくる。
夫がいないのがお昼だろうと思っている。
この気の使いようは、ほんとに感心する。

そして時々、あの白いカフェで少しの時間を過ごしている。
短い時間だけど、心地いい時間。

彼は色んな話をしてくれる。
将来の夢があるらしい。

紅茶専門店の店を持ちたいらしい
だから、今のお店でフレーバーティーを自分でブレンドしたりして、勉強していると言っていた。

そういえば私にも私にあった紅茶、ブレンドしてくれてたなと思い出した。

「僕はそのために、勉強してます
ハーブティーのブレンド 、専門店を出すオーナーの勉強
資格試験があって、まずはその資格を取ろうと思って」

なんてしっかりしているんだ
わたしなんて、結局夫がいないと何もできないのに

「すごいね
きらくんのその夢、絶対叶うよ」
「そうかなー
あやさんが応援してくれるなら、俺頑張る」

「もちろん応援するわよ」

彼が夢を語る時は、目がキラキラ輝いている。
純粋に応援したいと思った。

いつものように、WHITE SWEETで待ち合わせ。

最近は、私はパソコンで仕事。
彼は横で、難しそうな分厚い問題集を解いている。

お互い集中している間は会話もしないが、同じ空間にいると思うだけで十分だと思う。

そしてその横顔がとっても真剣で、さらに彼の魅力を引き出してると思った。
そんな横顔を見ているだけで幸せな気分になる。

「あやさん、見すぎです
そんなに俺のこと好き?」
言われた言葉にドキッとした。

パソコンの手が止まり、ボーッと彼を見ているとそれに気づいたらしい。

「もう、そんなんじゃなくて、真剣な顔が素敵だなーって見惚れてた」

「やっぱりそれは俺の事好きなんじゃないですか」
といたずらっ子のような笑顔で言われ、墓穴をほった自分が恥ずかしくて、顔が赤くなるのがわかった。

するといきなり近寄って、
「あやさんのそういうところが好き
本当は今すぐキスしたい」
と言われ、胸が張り裂けそうになり、彼とのキスを思い出してドキドキしてきた。

「もう、何言ってるのよ」
と精一杯冷静を装ったが、そんな言葉は彼には通用しない。

「ここでは無理なんで……
また、今度ね、キス」

と言われ、動揺が隠せなかった。

「あやさん、今度ご飯食べに行かない?」

「え、でも……」
と戸惑ってると

「大丈夫ですよ
お昼のランチです」
「それに、お店も実は友達がイタリアンのお店してて、全会員制だから」

「そうなの?
じゃあ行ってみようかな」

「やった!あやさんとランチ楽しみだな」

無邪気に喜ぶ彼がすごく愛おしく思えた。

to be continued・・・







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