ザポリージャ原発攻撃はロシアかウクライナか!? ロシアは一貫してIAEA調査受け入れを表明! 結局、査察は実現したが砲撃止まず! そして原発完全停止! 原子炉冷却の非常用電源燃料は10日分のみの危機! 2022.9.13
(文・IWJ編集部 文責・岩上安身 2022年9月11日時点で加筆・アップ)
2022年8月23日、共同通信が「ロシア軍がザポリージャ原発に近い火力発電所を攻撃」と報じた。原発のバックアップ電源をロシア軍が攻撃したことを意味するが、この記事はどの程度信用できるのか?
ザポリージャ原発への攻撃が続く中、ロシア、ウクライナ双方が、相手方の攻撃だと非難しあっている。
8月中旬、マクロン仏大統領はIAEAの原発査察の早期実現を支持、グテーレス国連事務総長は、原発からのロシアの撤退と非武装化を提案した。
しかしロシア外務省のイワン・ネチャエフ報道官は、「IAEAの訪問は6月に調整されていたが、国連事務局が妨害」「非武装化は原発を脆弱にする」と反論した。さらに、ロシアはIAEAと連絡を取り合っており、査察は実施されるだろうが、ウクライナは原発に「猛烈な勢いで軍事攻撃を加えて」おり、その「犯罪の痕跡」を隠すために、「すべてを焼き払う覚悟でいる」と非難した。
また同報道官は、「NATOの弾丸の破片」を原発で多数発見したとし、西側諸国はウクライナの原発攻撃に加担しているため、「IAEA派遣を中止させることに熱心」と主張した。在日ロシア大使館が公表した「ザポリージャ原発への砲弾の部品」とする写真には、米メーカー名が記されている。
8月19日、プーチン大統領は、IAEA派遣に関し、ウクライナと国連が合意した条件に同意。一方、ロシアメディア『RIAノーボスチ』は、ザポリージャ原発職員による、ゼレンスキー政権に原発砲撃中止を求めるビデオメッセージや署名を報じた。
こうした経緯から、ロシアは一貫してIAEAの査察受け入れを表明していたことになる。
結局、9月1日からIAEAの査察は実現された。しかしIAEA職員常駐後も砲撃は止まず、火災が発生し、外部電源喪失の事態にまで至る。
9月6日公表されたIAEAの査察報告書では、核燃料貯蔵施設の屋根の穴の写真が公開されたが、砲撃がウクライナかロシアかは言及していない。
そして9月11日、外部電力復旧を理由に、原発が完全停止された。「最も安全な状態である冷温停止状態にする」という。しかし、再び砲撃で外部電力が失われれば、原子炉を冷却する非常用電源の燃料は10日分のみしか貯蔵されていないとされる。
原発攻撃は、「脅し」ではなく、現実に未曽有の核惨事を引き起こす段階まで、差し迫ってきたのである。
詳しくは、ぜひ、記事本文を御覧いただきたい!
「ロシア軍がザポリージャ原発に近い火力発電所を攻撃」との共同通信の記事は本当か!?
ロシア軍が占拠するウクライナ南部のザポリージャ(ザポロジエ)原発について、2022年8月23日付け共同通信は「ウクライナ原子力規制監督局は22日、欧州最大のザポロジエ原発に近い火力発電所を同日ロシア軍が砲撃したと発表した」と報じた。
原発の近くに火力発電所が置かれるのは、ひとつのセットであり、バックアップ電源として用いられることは、3・11を経験したあとの日本国民にとっては、常識のことである。火力発電所を攻撃することは、原発の付帯設備に攻撃するようなものだ。
記事によると「原発との間の通信が4時間にわたって途絶えた」とのことである。
また、この攻撃について、ロシア側は、ウクライナが攻撃したと主張しているとのことだ。共同通信は、ロシア軍が砲撃したと報じているが、この記事はどの程度信用できるのだろうか?
ザポリージャ原発をめぐっては、ロシア、ウクライナ双方が、相手方による攻撃だとして非難している。
マクロン仏大統領が、IAEAの原発査察の早期実現を支持!
核施設への攻撃という緊迫した状況が続く中、国連、トルコ、フランス、ドイツ、米、英などの動きが活発化した。
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