S.Iwabuki

田舎住みアラサーバイト主婦。かつてサブカル女子だったもの。ロキノン好き。

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最近の記事

供養

歩いて帰るには1枚羽織りたい。 この季節になると、とっくの昔に終わった恋のことなどを思い出してしまったりする。 秋と雨の日を好きなのは、きっと彼のせいだったと思う。 「秋ってあんまり好きじゃないんだよね。暑くもないし、寒くもない、人間関係がシャッフルされる春みたいな刺激もないし、いちばん特徴がない感じ」 などとのたまった私に、 「俺は好きですね。自分が生まれた季節だし」 と年下の彼は言った。 卑屈を煮詰めて八方美人の皮で包んで生きていたような当時の私にとって、「自分の生ま

    • 3月は卒業したくなる。今もずっと。

      3月っていいよね。 前向きにも後ろ向きにも、色々な人が色々な場所に行き交うこの時期ならではの、なんとも言えない浮足立ち。 父はそれを苦手と言ったと思う。 心の底から3月が待ち遠しかったのは、すべてをリセットしたかったのは15歳のあの1年ぐらいのもので、それ以降はそう簡単にはリセットしたくないもの・人・場所に囲まれてきたような気がする。 それでも、やっぱりこのままここに居てはいけないような、固定化されるのが怖いような、尻を叩かれているような。 雪深い土地で暮らしていた頃

      • 早めに目が覚めて、子供が欲しいのか転職したいのかよく分からなくなる。転職するなら子供産む前?少しでも若いほうが有利?それは自然妊娠の可能性が低いけど子供が欲しい女でも言えること?でも、私子どもを産むために生まれてきたわけじゃないし。正解が見えない。

        • Webは大好きだけど、最近はそれだけじゃ物足りなくて、その向こう側の人と話したり仕事したりしたいなあという衝動。在宅勤務向いてないんかな。寒いのは嫌だけど。

        • 3月は卒業したくなる。今もずっと。

        • 早めに目が覚めて、子供が欲しいのか転職したいのかよく分からなくなる。転職するなら子供産む前?少しでも若いほうが有利?それは自然妊娠の可能性が低いけど子供が欲しい女でも言えること?でも、私子どもを産むために生まれてきたわけじゃないし。正解が見えない。

        • Webは大好きだけど、最近はそれだけじゃ物足りなくて、その向こう側の人と話したり仕事したりしたいなあという衝動。在宅勤務向いてないんかな。寒いのは嫌だけど。

          もどかしくて贅沢な時間 「不妊」がくれた第2のモラトリアム

          今日も一歩も外に出ないまま夜になった。 会話を交わす相手も夫ひとり、という日がほとんどなのだけれど、今日は夫も出張で帰らないので、まったく言葉を発さないまま眠るかもしれない。 そのこと自体は苦痛ではない。 高校・大学で放送部界隈のファンキーでフレンドリーな仲間に感化されさえしなければ、私は元来ひとりぼっちで充実したライフを満喫する、ソロ充であったに違いないのだ。 そんな人間だが、縁あって数年前に伴侶を得た。 そして今、30歳、不妊治療の真っ最中である。 不妊治療は、自然排

          もどかしくて贅沢な時間 「不妊」がくれた第2のモラトリアム

          令和の時代の始まりに、Awesome City Clubを聴いていた

          平成と令和を跨いだ5月の大型連休に、Awesome City Clubを聴き始めた。 きっかけは、埼玉のビバラロックのチケットを取ったこと。元々、アジカン目当てで行くことを決めたフェスだった。人生の中で音楽を一番聞いていた高校時代からアジカンが好きで、初めて生で聴く機会を掴んだことに感激していた。 さらに幸福なことに、ビバラロックは新たにのめり込めるアーティストを沢山知る良い機会になった。その中の一組が、Awesome City Clubだった。 平成の終わりに、会社を辞め

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          住んでない町は美しい

          酒は感情を凝縮する。 だから、ほどほどにしなければならない。 一人自宅で飲むならば、何も歯止めになるものがない分、より一層危険である。 酒が入り、ふるさとを思ってこっそり泣く人は多いんだろう。 不本意ながら、そういう感情に襲われるとき、私はいつも思い出す景色がある。 川辺の道を、父と二人、歩いている。 歩いている途中で、空は夕方の名残の色が消え完全な夜になっていく。 道の両脇には青い草が生い茂り、道幅は狭い。 1.5人分の幅である。 私は父の右斜め後ろに着いて歩いた。 高

          住んでない町は美しい

          書きたいことは、もうあまりない。

          大学卒業までの22年を過ごした町の駅ビルの2階、10年前から変わらずにあるタリーズから、バスのロータリーを見下ろしていた。 地元では名の通ったミニコミ誌に、文芸部の後輩の活躍が掲載されている。 私だって、と思う。 私だって、かつては書きたい物事が湧き水のようにあふれていたのだ。 というよりも、書くことでしか世界に触れられないくらいに弱っていて、文章にすることでようやく自分の形を保っていたように思う。 高校1年のときに高校生向けのコンクールに出した小説で、ちょっとした

          書きたいことは、もうあまりない。