一本の麦、一筋の草
そろそろ、一本の麦、一筋の草の話をしたい。
リクルートを創業した江副浩正氏の本を献本いただき、読んでいる。
日本の高度経済成長の最中、「日本株式会社の人事部」と称されるリクルートの創業期の話は熱量がとてつもない。読んでるだけで体温が上がる。
「利用者に適切な情報が与えられてない」と情報の非対称性にいち早く着目し、人と企業を繋ぐ、人と不動産を繋ぐ、などなどライフプランの岐路でためになる情報提供を今でも提供し拡大し続けているようにみえる。1960年台からそんな構想を描いていたことがとんでもない。
本から得たことはまた後で吐き出すとして、この本に出てきた引用が印象に残ったので共有したい。江副氏はドラッカーの経営指南書のなかにあるガリバー旅行記の一節を大切にしていたらしい。
今よりもっと「実」が収穫できるようにすることにこそ、価値があると。
まさに実業家。
既得権益が守っていた情報の非対称性を正すことで新進気鋭の実業家になった江副氏はビジネスが拡大していくなかで自身も既得権益の側にまわっていき、考え方が変化していく様子がこの本では伺い知れる。
自分に置き換えてみても、一本の麦、一筋の草を増やしていくうちに一本の麦、一筋の草の大切さを見失ってしまう気がする。
「増やし方はだいたい分かったから、誰かにお願いしたり自動化したい」とか。
ガリバー旅行記は初版1726年なので出版から約300年経つ。
産業構造は著しく変わり、なにを麦や草とするかも多様な世の中になったけど一本の麦、一筋の草を増やすことを忘れてはいけないのかもしれない。
なにとぞ。
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