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思いがけず小学校の教室で夢叶う


以前、飛び入りでZOOMミーティングに参加させてもらった時がありました。そこには発展途上国で活動している方や任期を終えた方、運営やサポートしている方々が集結。

ただ、堅苦しいものではなく、ざっくばらんな情報交換的な場所でした。

私が参加した目的はもちろん、絵本の紹介。
海外で活動している方々に興味を持ってもらい、現地での活動に活かしてもらいたいと思っていました。



そして、いざ紹介を始めると悲惨。なんともグダグダで目も当てられない話だったことか…
ZOOMでの作品紹介っていうか、営業っていうか、興味を持ってもらうことって難しい。こんなにも対面と違うものなのかと愕然としました。

まず、絵本を手に取ってもらえないから雰囲気が全然伝わらない。カメラに絵本を近づけても無理なものは無理。

そして、人の顔や場の雰囲気もよくわからない。興味持ってくれてるのか鼻ほじるくらいつまんないのか、真剣な顔して脳内では異世界転生してても伝わってこない。


「何度も絵本の紹介してるし、余裕っしょ」
って胡座かいて鼻ほじってた自分を引っ叩いてやりたい。もしくは人差し指を奥まで入れてやりたい。


完全なる準備不足

・絵本の画像を用意し共有する
・話す内容のまとめておく(台本)
・誰が来るのか知っておいてニーズの把握
・チラシ(PDF)やこのnoteのURLを貼る
・そもそもパソコンの用意。スマホが固定されず何度もずり落ちたわ

ざっとこんな感じの反省。
まぁたくさん反省が見つかったからいいさ。今回は諦めて、次回に活かそう…







って思っていたら、メールをくれた方が3名いて、絵本を欲しいと言ってくれました。ありがてぇー!


2名は発展途上国で活動している方。1名は日本の小学校で国際協力について授業などをされている方でした。

メールでやりとりをして、外国語の絵本を追加発注したり、国際郵送について調べたりと、海外組は遅くなりました。ただ、日本の方は日本語版だし、国内便なのでスイスイでした。


そして、この時とんだ思い違いをしていまして。


発展途上国に届けることずーっと目標にしてきたので日本国内に届けることを甘く見てました。

“欲しいならもちろんあげますが” 的な感覚ですね。“が” ってなんだよ “が” って。

お金も手間も海外の方が大変なので、日本にはスイーっと届けて、すぐに切り替えて別のことを考えてました。



そんな時に届いた、1通のメール

本日、子供たちに読み聞かせすることができました。

読んだ後、子供たちに感想を聞くと、

「いろんな国のいろんな洋服があって、楽しかった。」
「その国のお天気にちょうどいい洋服なんだな、と思った。」
小学校2年生という小さな子供たちなので、
あまり深い思いを言葉で表現できなかったんだろうと思いますが、
いつもはワチャワチャ賑やかなクラスなのに、
ずっと集中して注目してお話を聞いてくれました。

私のほうから
「世界にはいろんな国があり、そこにはみんなのようなかわいい子供たちが住んでるよね。
 見た目は違っても、それぞれみんなステキなところがあるよね。
 この絵本は、世界中の子供たちがみんなお互いのことをよくわかって、
 みんながお友達になれたらいいな、という思いで作られたんだろうね。」
と話しました。(趣旨が違ってたらごめんなさい!)

そのあと、ある子が
「そうだよ、今ロシアとウクライナが戦争してるから、子供たちはかわいそうだよ。」
と言ってくれました。

いわとさんの狙う結果になったかどうかはわからないのですが、
ちょうど今、2年生は国語の授業で
「友達のステキなところをさがそう。」という単元を勉強しているので、
クラスのお友達のステキなところを見つけてそれぞれの良さを認め合うという
単元の趣旨にもピッタリの絵本だったと思います。
良い機会を与えていただき、本当にありがとうございました。
来年度からも、もし違う学校の子供たちと出会う機会があったら、
この絵本を読んで聞かせたいと思っています。

ありがとうございました。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

数点省略もありますが、ほぼ原文です。


このメールを読ませてもらった時、

“あれ…夢1つ叶ったな”

って思いました。

………夢が叶ったら「やったー!」って涙が出るくらい喜ぶかと思ったが、徐々に喜びを噛みしめるパターンでした。


絵本を通じて、海外に興味を持って欲しい。
“面白い!”って感じて欲しい。
絵本を読んでくれた子ども同士で異文化の民族衣装の話をして欲しかったんです。

「かわいいー!」「へんなのー!」って言葉が飛び交って、笑って、ちょっと興味を持つんです。

それで、テレビなんかでチラッと民族衣装がでたら“あれ、これ知ってるな…”って思うんです。

もう夢っていうか、かなり妄想も入ってるんですが、、、ステキでしょ?



今まで「小学生に読んでもらいたい」とか「授業の教材として使ってもらいたい」とはこれっぽっちも考えていなかった。

でも、表面的なことではなく、深い部分として。メール文を見て、これって私が叶えたかったことだよなって感じました。


いろんな国のいろんな洋服があって、楽しかった

それなら本当に良かった。

色んな国の洋服って面白いよね。

おじさんも色んな民族衣装着てみたいって思ってるんだ


その国のお天気にちょうどいい洋服なんだな、と思った

よくわかったね!
その国の気候に合わせて全然違うんだよね。

日本の夏より暑くて、日本の冬より寒い国がいっぱいある。

いつか行ってみたいよね。


ずっと集中して注目してお話を聞いてくれました

みんな集中して読んでくれたんだね。
胸がいっぱいになるくらい嬉しいよ。
絵本ってやっぱり不思議な力を持ってるよね。




そして、読んでくださった先生の解釈。
思いがけずロシアとウクライナの戦争の話への転換。

作者の私達は思いや願いを込めて作っています。


でも、読んでくださった方々の解釈や方向性が違うこともある。


でも、それでいい。

だから、絵本って面白い。


読む人によって色んな顔を見せてくれる。

年齢によって、立場によって、心境によって。

同じ絵本でもしばらく時間を置いて読むと感じる部分や感想が違うから不思議。


これは私の妄想なんですが、小学校では読み聞かせをした後、絵本の感想を聞いたと思うんです。
大勢の子どもたちが挙手をして「〇〇だと思います!」とか言ってくれたんだろうな。(あかん、ニヤニヤしてまう)


ちなみに、保育の現場では絵本を読んだ後、基本的には自分の感想を言わないし、子どもたちにも聞かない。
子どもが何を感じているのかそっとしておく。だから、読んだ後に必要なのは余韻に浸る空白だったりする。


読み終わった後、意見を話して聞いて欲しいと発表を大事にする小学校の現場。

読み終わった後、自分の感じたことを深めて欲しいと空白を大事にする保育の現場。


なんと真逆で、なんと素晴らしいことなんだろう。
どっちが良いとか悪いとかそんな低レベルなことではない。

どちらも子どもの成長を願って作られてきた教育者の思いの結晶。
その結果が真逆になったなんて。教育って面白い。
自分もそんな教育を無自覚に受けてきたわけなんですけど、発展途上国の現場を見てきたからこそ、こんな教育を受けられるって羨ましい。





今回のエピソードを通して

発展途上国に届けよう!とか
幼稚園や保育園に!とか
まだ絵本を見たことがない子へ!とか

自分の了見の狭くなっていたことを知りました。


子どもがいるところに届けます。


欲しいと言ってくださる方に思いを込めて届けます。

熱心な先生がいてくれたら最高だよ。


子どもたちの世界を広げようと活動しています。
でも、この活動を通して自分の世界が一段とクリアに広くなったのを感じます。


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