見出し画像

さよならアポロベイス

2022/03/30

アポロベイスにさよならを告げてきた。最後のライブの日に、もうやれるだけのことはやったような気分でいて、「これでお別れでいいや」なんてことを考えていた。でもやっぱり、ちゃんとさよならを言える機会があるとするならば、それはそれで。

画像1

あんなに大好きで愛していたライブハウスはあっけらかんとしていて、もうそこには感動も悲しみもなかった。「夏草や兵どもが夢の跡」なんて有名な俳句があるけれど、それに似た感情を覚える。いろんなことが短い夢だったようだ。でも決して空虚な場所ではなくて、ここには沢山の愛があったのだなあ、ということが入ってすぐに伝わる。不思議な空間だった。

ちょうど行ったタイミングが良かったようで、アポロベイスでお世話になったスタッフの面々がいたりした。「次からこういうところで働く」とか、そんな話を聴いていると色んな人の歩く道が急に枝分かれしてしまったような気がした。でも、今まではその人たちと一緒の道を歩んでいる感覚がなかったなあ、と思う。アポロベイスで交わった人達だけれど、各々の人生を歩いているという感覚。でも、これからみんなそれぞれの道を歩むのだろうと思うと、「同じアポロベイスという道を歩いてきた人達がこれから違う道を歩くのだ」という感覚になる。卒業とか、別れというのはぼくらから色々なものを奪うけれど、唯一与えてくれるものがこれなのかもしれないと思った。

画像2

アポロベイスという場所は、ぼくにとって本当に特別だった。最初に出たのはBIGMAMAと対バンさせてもらった時。これがなければ今の自分達はない。そう言い切ってしまえるほど、バンドにとって思い入れ深い日だった。他にも沢山の好きなバンドと一緒にライブをしたし、何回もライブを見に行った。思い出話を語ろうとしたらキリがない。上手の段差の近くでWOMCADOLEを見ながらずっと泣いていたこと。トイレの近くでMAGIC OF LiFEを見てすごく嬉しかったこと。Bob is Sickの解散ライブでも泣いてしまったなあ。バズマザーズとビレッジマンズストアの対バン、あれほどカッコいいものはなかった。スロウハイツと太陽とT/ssueとスリーマンをした夜のことは一生忘れないだろうし。自主企画、夏休みパッカーンをやったことも。

ぼくの細胞の一部は確実にあの場所で作られていて、アポロベイスがなくなってしまったとしても自然とあの場所に足が向かってしまうのだろう。最後に、深々と頭を下げた。職場より、学校より、もしかしたら家よりも、自分にとって色々なことを教えてくれた場所。本当に、ありがとうございました。

画像3


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?