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マ.psd vol.001

アーティストの作品と生活の間にあるzineにターゲットを絞って、その作家のzineの遍歴や個人の記憶にについて雑談をしながら探っていく企画。
今回は今回はフォトグラファー、デザイナーの『マ.psd』に写真と生活について話を聞いていきます!

マ.psd
Twitter:@ma__psd
Instagram : @ma_psd
1996年生まれ。撮影を軸に展開し、制作を行う。2019年よりフリーで活動中。近年の展覧会に「エクメネ」(BLOCK HOUSE/2020)

ー今まで何冊のzineを作ってきましたか?

今改めて見返してみたら、在学中から写真のzineだけで6冊作っていて、自分でびっくりしました(笑)。写真を撮り貯めておいて、しばらくして見返す中で再編集して作品を作ることが多いですね。

自分が、この時これに興味があった、こういう見方をしていた、とか、生活をしていく中での自分の気持ちの変化を感じとりながら制作しています。

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ー別の記事で一つ一つの詳細を聞いていくとして、今までの制作の変遷を教えてください。

1作目の『CAMERA ROLL』(2017)は、本当に名前の通りスマホのカメラロールの写真をそのまままとめた、と言う感じですね。そこから2作目『Reaction』(2018)と3作目の『Look at』(2019)は、撮り貯めた写真を編集し直すことにチャレンジした作品です。


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4作目の『Never Ending Items』(2019)は自分の身の回りものを、プロップとして構成して撮影することに挑戦した作品です。

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ー常に新しい工夫を取り入れながら、それだからこそマ.psdさんのものを捉える眼差しの核となる部分がクリアになっている気がします。

5作目の『MA Island』(2019)は瀬戸内海の島で一ヶ月ほど住み込みでの島での生活を経て、自分の生活圏内を島と捉え直そうとした作品です。みんなあると思うんですけど、自分の中の地元のあるある、ある生活圏で過ごすことでわかる共通認識を大切にする感覚を作品に込めました。この作品にキーホルダーとステッカーを付属したのは、島のお土産感を出したかったからですね。

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一番新しい『There』(2020)という作品は、生活が様変わりしてしい、人と全然会いたくなくなってしまった、初期の頃のコロナ禍で制作しました。構成としては家と外を行ったり来たりする形になっています。自分では意識していなかったのですが、読んでくれた人が「日常の小さな嬉しさを集めているんですね。」と言ってくれたことがすごく嬉しかったです。

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ー今の制作に繋がるような幼少期の思い出があれば教えてください。

おそらく小学生の頃ですが、家の近くのレンタルビデオ屋さんに親と一緒にいって、CDを一枚だけレンタルさせてくれることになって。今でもその当時めちゃくちゃ悩んだことを覚えているんですが『モーニング娘。のひょっこりひょうたん島』のCDとテツandトモのCDでありえないくらい葛藤した挙句、テツandトモを選びとりました。そのデータはMDにダビングして今でも残っています。

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テツandトモへの思い

そういった経験から、自分が選んだものを大切に聴く精神が染み付いてしまっています。そういった意味では、サブスクリプションサービスでは熱量が分散してしまう。思い出の密度が新しい形に変わってしまうのではないかと思っています。もちろん良いことも多いんですけどね。

ー確かになけなしのお金で買ったCDはどれだけ期待外れでも、失敗だと思いたくないから聞き続ける。そうしているうちに染み込むように良い曲に変わる。みたいな体験は別の形に変わっているのかもしれないですね。

体験は変わっていると思います。自分は高校生の頃は手帳にびっしり好きなアーティストのフラゲ日を書き込んでいましたね。手に入れて聴く前の、タワレコに買いに行くその助走から楽しい。

他にもインストアライブやサイン会に行きまくってました。あとはラジオもよく聞いていてJ-WAVEで2010年から2014年に放送されていた『RADIPEDIA』でハマオカモトさんと星野源さんの日を熱心に聞いていました。あと自慢ですけど3回くらいハガキ読まれました(笑)。

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かつての活動の痕跡

ー在学中から制作の方法が少しずつ変化しているように見受けられるのですが、現在の写真を使った表現について、どういった考え方で制作をしているのか教えてください。

表現として写真のアウトプットの仕方がフィットしていると感じるようになったのが大学2年で。それまでもスマホで写真を撮ったりはしていたのですが、表現としてより身近になったのがそのタイミングです。

それ以前から自分は保存欲というか、目の前で起きていることを保存したい欲があって、昔から、許可をとって友人との会話を録音して、あとで一人で聞き返したりもしていました。


ー写真を誰かに見せるために撮るわけではなく、常に自分の小さな楽しみから出発しているということですかね。

そうかもしれません。写真はあくまで個人の視点なので、被写体によっては人の日記を読んでるように感じるくらい、近すぎてしまう。なので作品にするときには個人的になりすぎるようにはしない、フラットな気持ちで制作することを心がけています。



ーありがとうございました。


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インタビュー/文/編集:aoikaida


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