「見逃してしまうかも」恐怖に駆られるICO投資家の心理

E&Y社によるICO(Initial Coin Offering)の現状に関するレポートを紹介したい。ICOはIPO(Initial Public Offering; 新規株式公開)をもじって付けられた名称で、株式の代わりに新規の仮想通貨を発行する行為をいう。このレポートは、372例のICOのデータを淡々と分析したものだが、ICOを「Valuations based on FOMO」と描写している部分が特に面白い。

FOMOとは、“Fear of missing out”の頭文字。 この場合は、「好機を見逃してしまうことへの恐怖」を意味する。IPOの場合、販売している製品も売上げもあり、評価モデルを構築可能なのに比べ、ICOの場合は判断材料がホワイトペーパーしかなく、客観的な評価が不可能だ。それでもICOに応募する投資家がいるのは、「見逃すと好機を逸してしまう」という恐怖に駆られた心理によるものだという説明である。そのような心理に基づく評価はとても危険で投機的だと書かれているが、私もまったく同感だ。

もう一つ、昨年6月には90%に達していたICOの目標到達率が、11月には25%に下がっているとの指摘も注目に値する。4回のうち3回は、応募額が目標に達せず、ICOが失敗に終わるようになったということだ。さすがに、超強気だったICO投資家も、少しずつ冷静になってきているということだろう。

E&Y社のレポート本文は、以下のサイトで公開されている。

http://www.ey.com/…/ey-research-initial-coin-offerings-icos…

http://www.ey.com/gl/en/newsroom/news-releases/news-ey-big-risks-in-ico-market-flawed-token-valuations-unclear-regulations-heightened-hacker-attention-and-congested-networks