インドが仮想通貨を禁止する予定はない

最近、韓国の法務大臣が「ビットコイン取引はギャンブル化しているため、取引所を閉鎖する」と発言したため、「中国に続いて韓国もビットコインを禁止するのか」と受け止められ、韓国での仮想通貨相場が下落する騒ぎがあった。確かに、韓国における仮想通貨ブームは過熱しているようで、取引に使われる法定通貨も、JPY、USDに続いてKRWがランクインする日が増えている。しかし、韓国政府は関係省庁を集めて協議した結果、取引所を廃止するのではなく、取引に実名制を導入してマネロンを防止するという、日本と同様の対応をとることになったという。

2月1日、今度はインドの財務相がビットコインを禁止すると発言したと報じられ、その他の要因と相まって、2月2日の仮想通貨相場は大崩れになった。しかし、シェアした記事によれば、インドの財務相は「ビットコインを禁止する」とは言っていない。「仮想資産を使った非合法活動への資金調達を排除する」と言ったにすぎず、これはどの国でも普通に言われていることだ。

相場が上がっているときには、何でも上げ材料になり、下がっているときには何でも下げ材料にされてしまう。インドの財務相も迷惑な話だったことだろうが、報道全体を落ち着いてみてみれば、インドが仮想通貨を禁止する予定はないようだ。世界的に見ても、加熱した投機熱による金融秩序の危機を理由にビットコイン取引を禁止した中国と、投機性の高さがイスラム教の教義に反するとして同じくビットコイン取引を禁止したエジプトなどのイスラム諸国を除けば、国家が明示的に仮想通貨を禁止している国はあまりない。どんな政府も、個人が財産として保有しているものを無価値にしてしまうような政策は取りにくいものだ。

3月に予定されているG20では、フランスとドイツが仮想通貨の規制を提案すると報じられている。そのニュースが流れた当時は、仮想通貨の市況が過熱し、相場が高騰していたこともあり、「禁止」に近い「規制」が提案されるのでは、という観測がみられた。しかし現在、仮想通貨の相場は大きく崩れており、値上がり期待の行き過ぎを警戒する必要性は低下していると考えられる。欧州から仮想通貨の規制の提案が出るとしても、日本がすでに実施しているマネロン防止のための本人確認(KYC)の徹底のようなものになるのではないか。それ以外の「規制」にどのようなものがあるか、ちょっと想像しにくいからだ。まして、G20のような多様な国の集まりにおいて、「ビットコイン取引を各国が禁止する」などといった決定を行うことは難しいだろう。そう考えれば、今後、仮想通貨にかかる国際的な規制が提案されるとしても、すでに実施している日本の経験を基に検討されていくことになると考えるのが自然であろう。

https://jp.cointelegraph.com/news/india-bitcoin-prices-drop-as-media-misinterprets-govts-regulation-speech

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