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ネタ→プロット→小説に仕立てるまで、の経緯で作者の脳で何が起こっていたのか。

昨日、予告通りに何とか小説をひとつ書き上げることができました。小説書くの久々過ぎて死ぬかと思った、10数年前同様の徹夜ノリで書いてたら疲れ目と頭痛がヤバかった。もう若くないって現実忘れてた…(切実)。楽しかったけども!!

今回たまたまネタ出し段階のメモとプロットをNOTEに残していたので(メモ帳扱い)、数年後の自分が見た時に何かの鍋のダシにでもなればいいよね~、みたいな魚肉の気持ちで「自分が執筆中に何を考えていたのか」のデータを残しておきたいと思います。

(※私のやり方なので他の方には参考にならなかったり「何やってんだコイツ」なことしたりしてるかもしれません。)


ネタ出し段階で考えていたこと。


さて、何を書こうかな。となった時にまず考えたことは「今回は無理せず、まず短編をひとつでも完成させることに集中しよう」でした。得意なのは長編の方だと既に過去の経験から認識しているのですが、初っぱなから長編だと絶対に体力気力が続かなくて途中で放り出す予感がありました。リハビリ目的ですし、まずは書き上げたい。どうせ後で細かい修正やエピソード付け加えるのは得意ですしね。

そして次に考えたことは「前々からぼんやり書きたいと思ってるホラー・ミステリ方面の話、ぶっちゃけ私に適正があるんだろうか?」でした。

読むのはね、好きなんです。夢野久作先生とか貴志祐介先生とか横溝正史先生とか江戸川乱歩先生とか赤川次郎先生とか東野圭吾先生とか、他にも呪いとか詐欺とか犯罪とか色々とその方面ネタのものが本棚にあるので。でも自分が書くってなるとどうなの?と。

なので、一度やってみることにしました。それで「ホラーの定番って何だっけ、幽霊あたりどうかな…?」と考え、そして「じゃあXが幽霊と思ってたら本当の幽霊はYだった、みたいな話は?」と思い至りました。

幽霊Aと、幽霊みたいな線が細い雰囲気なBの2人
学校で出会う、学園もの。A主人公目線でBは幽霊だ、と思わせて最初はBの見た目の幽霊っぽさを強調してAは生気あるように見える陽キャな口調・キャラに見せておいて、実はAの方が本物の幽霊でした。というオチ

これが私が最初に書き付けていたメモです。実はこの時点では明確に自分が「ミステリーの手法としての叙述トリックをやろうとしている」とは自覚していません。短編なら何かおっ、となる意外性ある展開ないときついなぁと考えた結果、実はこっちでした~展開にしよ!と思っていただけでした。ただ「ちゃんとバレないように詐欺んなきゃな~」とは思っていました。それが叙述トリックじゃねぇかよ。

プロット作りで考えていたこと。


方針は決まったので、次はプロットです。キャラの設定や幽霊の方向性、簡単なあらすじを考える必要があります。定番の幽霊ものとなると幽霊に襲われる話かな、などと考えます。

Aが男、Bが女。幽霊はその学校の怪談のひとつ、人好きする容姿で孤独で寂しそうな人を道連れにしようとしている。幽霊は元はこの学校の生徒で陰キャで苛められていたが、死ぬ前に見た目だけ陽キャに変えてから校舎の屋上から飛び降りて死んだ。だがAがBを襲おうとするとBの友人Cが現れてBを助ける。そもそもBは特に孤独な人ではなかったし、Bは見た目の繊細さに反して根っこの気はとても強かった。なぁんだ、なら君いらない、と言って去るA。私だって別に欲しくないと返すBと、それをたしなめるC。

大まかな方向性が決まったところで、やるべきことが決まってきます。と同時に、自分で挙げておいて突っ込みどころというか「うん?」と思うところがいくつか出てきます。

[解決すべき事案]
・キャラABC3人の名前を決める
・突然出てくるCの存在→唐突感の防止で冒頭にも出してBを救う理由も描かれてた方がいい
・BがAと違って孤独ではなかった、のならちゃんとBとCの関わりやお互いへの思いも描くべき
・Aは何故、生前は陰キャだったのに死後は一見騙せるくらいの陽キャの見た目なのか問題→生前に自力で見た目変えられるほどの勇気と行動力があったら死ぬほど追い詰められる精神状態には至っていないのでは?そもそも「さも陽キャっぽい見た目」ってどんなの?
・Aはどのタイミング、どういう経緯でBに幽霊の本性を現すのか→会話しているうちに→聞いているうちに「あれこいつ変だぞ?」と相手に対しての恐怖を感じる会話とは?
・そもそもAはどういう類いの幽霊なのか、どういう攻撃をして襲ってくるのか
・Cはどんな手段で幽霊であるAを撃退するのか
・Bの線の細さと幸が薄そうな見た目で幽霊に目をつけられるタイプの人間なら、そういう「侮られ感」で日々悩んで心が弱っている方がつけこみやすそう
・A目線でしつこく「今にも消えそうな線の細さと疲れた表情の陰鬱感」の表現や、「同じ学年のはずなのにこんな人いたっけ?見たことないな」とか、「ゾッとするほど綺麗な横顔~」みたいな分かりやすい「Bってすごい幽霊っぽいよね表現」をしておかないと話が成立しない

これらの問題をクリアにしなければならないので、そのためのキャラ設定を考えます。まずAの見た目問題の解決法に困ります。Aは親しみやすさもある上に過去いじめにあっていたので友情には色々と思うことがありそう、BとCは友達ってことにしよう、などと考えます。この辺りで「友情もの要素が入るんだな」と認識します。テーマ的なものが決まりました。

・A(男)
陽キャの見た目をしているが、実は幽霊。いじめの現場になった学校の屋上から飛び降りて自殺し地縛霊になった。Bとの会話で、これまでとり殺してきた人間が落としたアイテムを戦利品のようにその身に飾ったり、取り込まれたはずの相手の意思をいくらか残しているのか被害者の口調やスタイルを取り込んでいることが判明する。その結果現時点の容姿は一見陽キャに見えるため、ターゲットに警戒感を抱かせずによりつけこみやすくなっている。本人は戦利品を「友達がくれたもの」と言っている。どんなにターゲットを取り込んでも寂しさは収まらず、今回も新たにBと友達になろうと画策するが、Cによって撃退される。

・B(女)
線の細い容姿で侮ってくる人間が多いので内心では辟易している。しかし恋人が欲しい気持ちはあるので甘んじてそういう男に対応することが多い。毒舌を吐くほどの本音でつきあえるのはCだけ。しかし最近、ただの女友達のはずのCからの重めの好意や独占欲がLIKEなのかLOVEなのかいまいち分からずそわそわしてしまうのもあって、そんな自分は自意識過剰でおかしいと余計に焦って変な男にまで愛想をふることになり、更に男に侮られCに心配されると同時に拗ねられる。

・C(女)
口調は荒いが面倒見はいい姉御タイプ。Bがあんまり変な男にばかり引っ掛かるので心配で目が離せない。本人は特にBに対して恋愛感情があるとは認識していないが、毎度重めの友達的台詞を自然と口走る。Bが毎度たちの悪い彼氏を作ってのめり込むたびにクソ男優先で放置されるのがむかつくし、そんなことなら私とだけ楽しく遊んでればいいじゃん!私なら嫌なこと言わないし好きなことしかしないのに!とは思っている。「何よ、彼氏彼氏って、バカみたいに!」とキレて立ち去ったものの、謝りたいと戻ってきたところでAに襲われているBを助ける。

キャラ設定が決まったことでもうひとつ方向性が出ます。百合風味です。友情と恋愛の話。内容的には「幽霊Aに襲われているBをCが助ける話」と決まります。ただし「読者には途中までAでなくBを幽霊だと思わせなければならない」。よって主人公をA=幽霊と設定します。

ここまで決まりましたが、やはりまだ解決すべきところは残っています。

[ラストについて]
・どうやって幽霊を倒すのか→Cが退治できる能力持ちでないのならここでは完全に倒せない・短編としてはその場しのぎ的な方法でもいい
・友達がテーマ→BとCの友人関係に何かしら進歩が欲しいしギャップでAの停滞感も強調したい

[ジャンル:ホラーとしての描写の注意]
・幽霊の陽キャ見た目のキャラデザ(Aがこれまで取り込んできた人間数人分の趣味嗜好データ)
・襲ってくる時に霊としての怖さを最大限強調して出したい(血とか屋上からつき落とされそうになる描写とか、かつて取り込まれた「友達」が逃れたそうに苦しんでるのに離してもらえない描写)
・Aが幽霊とバレないまま主人公として進む冒頭のうちに、「かつて取り込んだ友達についての感情」をポジティブに語らせておく→ここでも俺友達いっぱい陽キャ~感を出す
・Cに「また変な男に引っ掛かって!霊だけど!」とキレさせたいので、「落ち込んでた時に出会った陽キャの男に悩み相談しているうちに新しい恋愛が始まりそう~弱ってる時に優しくされたらヨワい~」なBのダメ女感と恋愛もの感をAとBの会話に出しておきたい
・AはBを取り込みやすくするために「君とは仲良くなりたい」とか甘め発言多め・BはAとの恋の可能性に好感触ありつつもCのことがどうしても気になってるふうの描写も欲しい
・強めの男女恋愛もの偽装でホラーを読んでいることを一瞬忘れさせる、メリハリをつける

[偽装内容]
・AでなくBの方が見た目幽霊っぽく見える偽装
・ホラーなのに恋愛もの感偽装
・Bの見た目に反した内心のしたたかさを隠す


小説を書きながら考えていたこと。


以上のことについて、考えながら書き始めました。おおむねプロット通り…しかしプロットの最後の「なぁんだ、なら君いらない、と言って去るA。私だって別に欲しくないと返すBと、それをたしなめるC。」の部分は完全に吹き飛びました。

単純に友情ものとして少し救いがあるものにしたかったので、読後感は変更することにしました。あとは幽霊なりに友情を強く求めてる感じは欲しかったので、オタク要素もあるしと彼の好きな漫画についての展開も入れました。

夕陽については最初プロットの段階では考えていなかったんですが、放課後感と逢魔が時感は大事と思ったので少し強調しています。キャラそれぞれが思う「友達との特別なエピソードの記憶」と夕暮れの雰囲気を紐付けたい。

あと、最後まで「幽霊への攻撃方法」は決まりませんでした。いっそ異世界ものだったら聖女だからぶつけた魔法で霊を浄化!みたいにできたのかもしれません。でも現代日本ものにしちゃったからな…。もしくは霊能力があって、みたいな設定長々と付け加える?

それと書いていて気づいたことですが、NOTEだからと忖度して18禁要素(性的グロ的両方で)を封印していることは結構痛かったのと、短編に収まらなくなるからとゴソッと抜いた描写がある(=元々長編のが得意)、というのがモロに響いてる感じはあります。「いや、短編やぞ今回は。収拾がつかんくなる」と何度思ったことか。

題名については、一通り書き上がって「あ、そうだ題名どうしよか…」と思って、「幽霊と、友達…地縛霊…自縄自縛になってる幽霊みたいな子…友達…夕陽の、お友達…」などと呟いた結果、数分で「縛られ幽霊と夕陽のお友達」に決まりました。幽霊は地縛霊の主人公だけでなく香澄のこととも思わせたいわけなので。口走ってみたリズム感にハリポタかよ…とは呟きましたすみません。

今後と、もし修正・推敲するなら。


これをプロトタイプとして、もし修正・推敲を加えるなら、霊のグロさ襲い方の具体的描写・過去のいじめの具体的描写などで18禁を解禁して、恋愛表現をもう少し濃厚にして各友達とのエピソード大増量で文字数制限解除=中・長編にする方向性になると思います。

やっぱり短編は私のフィールドではないんだな…と理解しました。短距離適正がない。改めて読み直すともろもろ追加したいことが多すぎる。

「幽霊の攻撃方法」によっては↑の指摘の通り、ベースの設定自体を「異世界もの」か「現代日本の除霊もの」に大変更する必要が出てくると思います。でも例えばなろうに投稿となると異世界一択だろうし、貴族の学校描写やいじめた奴へのざまぁとか悪役令嬢令息みたいな「なろうらしいもの」もしっかり書く必要があると感じます。

疑問だった「ホラー・ミステリー適正」については、やれんこともないのかな…と感じています。少なくとも書いていて苦痛とか楽しくないみたいには思わなかったので。ただ得意と言えるほどでは全くなく、ここは今後の課題として修行がもっと必要だなと。好きな書き手さんの作品をもっと読んだりして研究したい…。詐欺楽しい。

ただ、自分では今回目論んだ詐欺の部分がきちんと成功していたのか、いまいち分からないのです。読まれた皆様、どうでした?意外性みたいなところ、きちんとできてましたかね…?あと単純に小説として大丈夫だったのだろうか。もし感想・反応とか頂けるとめちゃくちゃ助かります…!


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