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君たちはどう生きるか | 新米ママの読書感想文③

君たちはどう生きるか
原作:吉野源三郎 漫画:羽賀翔一
マガジンハウス、2017年

根津駅すぐ近くの名物カレー屋さん「根津カレー・ラッキー」で、漫画家の羽賀翔一さんが描いたオリジナル漫画やマスターの似顔絵に出会った。どれもこれも、登場人物の個性が生きている。それからというもの、夫婦で「君たちはどう生きるか」の大ファンに。なお、既にお気づきだろうが、わたしのアイコンは羽賀さんが書いてくださったものである。

【あらすじ】
約80年前に出版された、吉野源三郎の小説「君たちはどういきるか」をかきおろした漫画。ひとりの少年と、彼のあだ名を「コペル」と名付けた叔父さんが、生き方について考える物語。少年は叔父さんとの対話を通じて、貧しさ、弱者と強者、同調圧力など、学校生活や友人との結びつきの中で体験することについて、本気で考えはじめる。

【感想】
主人公コペルくんが何かを決心したような表情の表紙。叔父さんに何か問いかけられたのかな。コペルくんの決意の表情をみる度に、叔父さんの問いかけが聞こえてくるようで、身が引き締まる。わたしはこの本をいつも、表紙が見えるように目につくところに置いている。
本書は、一度のみならず、二度、三度と繰り返し読みたい本。とくに、コペルくんの「油揚げ事件」と「真実の経験」の学びは、これから何度でも読み返したい。

子どもが生まれてすぐ、ときどき発作のような呼吸をするので不安になった。すぐにネットで調べると、新生児によくあることで、問題ないとのこと。本当にその通りで、すぐになくなった。その後も、不安なことがあると調べ、ほとんどはネットやSNSに答えが載っていた。

まっさらな新生児が人間らしく成長するには身につけるべきことがたくさんある。食事、排泄、歩行…。いやその前に細かいことを言えば、色を発見して、手を発見して、物を掴んで、笑いながら声を出して…。その階段の多さといったら、果てしない。そして、この果てしない学びのほとんどに、How toがある。いつごろどんなふうに手を発見するのかについて調べれば、無数の解説が存在する。子どもが生まれてから、そんな記事ばかり検索して読むようになった。

でも、本書には、賢人が教えてくれない大事なことがあると書いてある。掴んだものの感触や、食べたものの味は、掴んだことや食べたことがなければ分りっこない。ましてや、自分らしく生きていくことについては、賢人の知恵から学ぶことはできるけど、自分が本当に心動かされたことからスタートして、意味を考えていくことが肝心。他人に立派に思われることを重視して自分らしさは何かということをおろそかにしては、思想や価値観は形成されない。

今まさに、首が座り始めた子どもが泣いている。いつ首が座るのか、どうしたら泣き止むのか、調べれば無数の情報があるけれど。一緒にとことん、考えたい。これから経験する、たくさんの喜びや、悲しみの意味を。

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