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traditional humming

アルバムを作っている。
2008年に「明日の出来事」というアルバムを作って以来なので
15年ぶりになる。おおお。。
補足するが2ndミニアルバムだと9年前に「象になった君の夢」を
出してる。  わあ。。。
どちらにしても
ずいぶん時間は経ってる。
なぜそんなに間が空いてしまったかと言うと
子育て真っ最中だからである。
言い訳みたいだけど本当にそうなのだ。
2009年に長男が産まれて僕の人生はそこから
大きく波打つことになる。
それまでまだ多く残る印税と飽くなき音楽への探究心で
僕は悠々自適を絵に描いたような日々を過ごしていた。
日が沈めば仲間を頼って呑みに出かけ
朝まで語らい昼まで眠る毎日で
たまに思いついた様に生活を見直すが特にしっくりくるものも無く
めざましテレビを観てから寝るという日を繰り返す。

学生時から連れそう妻と一緒になった事で
子供を持つ事へと現実という足音がドシドシと音をたてて
僕に近づいて来た。
それはとても不安な足音で、どうにか現実というそれらの不安を取り除くべく
僕は考えた。
産まれた長男の成長を見つめながら僕は考えに考えた。
歌を歌いCDを作りツアーを繰り返し子供を成人させる?
とてもじゃないが非現実的だ。
そう思い、作曲家、作詞家、今からでもギタリストで遅くないのではないか?
僕は考えに考えた挙句
歌を歌いツアーをしCDを売り子供を成人させる方を
選んだ訳である。
高い家賃ともおさらばする為に不動産を周り
どうにか古い中古の家を買うことが出来てローンと共に
実家というものを3人の子供達に残すことに(どうにか)辿り着いた。
余談だが、フリーランスに銀行様は本当に厳しい。
自分の仕事を仕事とも思えてもらっていないのが手に取るように伝わる。
銀行が優しくならない限り世界は平和にならないと僕は思う。

家族5人で未知なる現実に立ち向かうにはお金がかかる。
槍という名の鋭いお金が毎日の様にいるのだ。
ずっと印税の影に隠れ自分のためだけに音楽を作って来た僕だったが
たかが中古の家に残りのお金は吸い取られ
身包み剥がされた僕は即席の矢尻でどうにか現実を突っついて行く日々で、
矢先が壊れたらまたどうにか工面しそして戦いに明け暮れる
そんな日々が続いた頃、
スウィンギングポプシクル平田博信氏から声をかけてもらい
お仕事をご一緒させてもらった。
以前から知り合いだったけど、これがきっかけでもうひとつ必要だった
ピース「CDを制作する」がはまり、ノロッストリオ結成きっかけとなった
「象になった君の夢」を2014年にリリースすることが出来た。
確か仙台で先行販売し、リリース日は岡山公演だったはずだ。
長きに渡り9年間も僕の生活そのものを支えて来てくれた。
その間に4千枚、残りは300枚程だけど
この作品を作れて感謝といい思い出しか浮かばない。

そしてもうゾウさんだけじゃご飯が食べられなくなってきたこの頃。
少し時間は遡るが、コロナ禍の少し前、今のバンド編成になり
地に足がついて来た頃メンバーでアルバムに向けての話を始めた。
4人で制作するのだからお互いをもっと知るべきだと思い
先にあるレコーディングを目指しライブを多く重ねていこうという
話になった。
近年バンドワンマンが年末2回以上あったのもそう言った意味が絡む。
その中で新曲も試して、確信を増やしながらようやく今年の
レコーディングへと足がけることが出来たのである。

遠回りの様に感じる人も少なくないと思うが
遠回りしてよかったと思えるレコーディングになっている。
サウンドは、特にタケちゃん、小島剛広がベーシストとして積んだ経験を
惜しげもなく多く還元してくれている。
彼も会社から独立し、ひとまわり大きくなったタイミングと
僕の制作がうまく重なったのだろう。

ハジさん、ヤマグチユキヒコ(ハックルベリーフィン)とはノロッストリオでもう10年近く長い長い旅を一緒に歩いてくれているので
呼吸は同じ。同じ景色を眺めて同じことを思い浮かべて一緒に泣ける仲だ。

シゲちゃん、サンノヘシゲカズ(クライフインザベッドルーム)のギターをどうしても僕の作品に鳴り響かせたかった。
やはりギタリストは花形だ。いいも悪いもよく目立つ。
シューゲイズギターから解き放たれる七色の音像、感情を
僕のアルバムに入れたかった。
ようやく夢が叶う。
シゲちゃんのギターはまだ録音中。彼もまた生活の環境が大きく変わり
より音の粒が細かくなった様にライブ中に僕は感じる。

15年ぶりのアルバム「traditional  humming」。
誰のものでもない僕が繋いで来た鼻歌達を間も無く聴かせることが叶う。
昨夜歌とコーラスを全部録り終えることが出来た。
ありがとう。
そして15年ぶりのフルアルバムのエンジニアを担当するのは
平田博信さん。
彼以外ない。
確信を深めながら深めながら僕の録音は
完了した。

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