アジアの敬老精神

仙台の中央通りアーケードが東五番町に出た脇に、人気の鯛焼き屋さんがあります。いつも人が並んでいます。私は並んでまで鯛焼きを買おうとは思いませんが、あれだけ人気なのですから、きっと美味しいのでしょう。



ところでさっき私がその脇を通り過ぎようとした時、一人の杖を突いた老婆が鯛焼きの匂いにつられたのかふと立ち止まりました。お孫さんらしき女性が一緒です。お婆さんはしばらく中の様子を見ていましたが、客が立て込んでいる様子を見て諦めたのか、やがて立ち去っていきました。



こういうとき、私が知っているタイとか、中国とか、韓国の街角なら、若い人が争って高齢者を列の前に入れ、あるいは自分で代わりに注文を訊いて買ってきてあげようとします。日本人は、そういうことをしませんね。皆知らん顔です。かくいう私も、何も出来なかったのですが。



中国や韓国の悪口を言う日本人は多いですが、敬老精神に関する限り、彼らの方が断然徹底しています。混んでいる地下鉄に高齢者が乗ってくれば誰もがさっと席を立ち、手を貸して座らせます。タイもそうです。タイの地下鉄はバンコクに1路線しかないですが、バスで高齢者が乗ってくれば誰もが席を立ち、手招きしたり声を掛けたりして座らせてあげます。正直、日本とは違うなあと思います。日本では年寄りは「お荷物」扱いですからね。



甘い鯛焼きの匂いが、ちょっとほろ苦く感じました。

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