テロは一概に否定出来ない

私はテロを一概に否定しない、と言ったら多くの人は退くだろうか。


しかし辛亥革命を成功させ清朝を倒し中国に共和制を確立した孫文が最初に秘密会合を開いたとき、集まったのは僅か二十数名だった。当初彼は香港で武装蜂起の資金を集め、三合会という地域のならず者の集まり、日本で言えばヤクザと手を組んだ。しかしこの武装蜂起は清朝政府の知るところとなり、また三合会はならず者集団で革命の理念など理解していなかったので、清朝が摘発に乗り出すと忽ち逃げてしまった。孫文は危うく逃れたものの彼の頚には千元の賞金が掛けられた。この時点で、孫文は明らかにテロリストだった。


その後孫文は一旦海外に逃れ、世界各地を廻って中国革命の正当性を説きつつ資金を集め、何度も武装蜂起をくり返すがそのたびに失敗した。だが生来楽天家だった孫文は何度失敗しても望みを失わず、清朝の正規軍に同志を潜入させ、近代化された正規軍を革命側に引き入れることで偉大な辛亥革命を成功させたのだ。


今歴史を振り返って、辛亥革命と孫文を批判する人はいない。中華人民共和国でも中華民国でも孫文は英雄である。しかしその出発点は明らかにテロリズムであった。


要するに勝てば英雄、負ければテロリストなのである。いやそれどころか、あの9.11の大テロを敢行したビンラーディンは、欧米ではテロリストだが、今でも広くアラブ世界では偉大な英雄として讃えられている。辛亥革命の時も、孫文以外に何人ものテロリストが清朝に立ち向かっては殺されたが今彼らは偉大な英雄だ。だから私はテロを一概には否定しないのである。だからといってオウム真理教を賞賛するわけでは無いけれども。

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