新型コロナを収束させる方法ver2

ハフポストのFBサイトである方から、「エビデンスに基づいた新型コロナの感染者拡大を減らす方法を教えて下さい」と言われましたので、ここに書きます。

まず最初に、私は元々高齢者医療と漢方を専門にする医師です。内科学会認定医の資格を有していますが、感染症を専門としているわけではありません。ただ現在精神病院に勤務するただ一人の内科医として新型コロナ対策を任されているので、色々情報を調べたり、ワクチンを打ったりしています。その立場での発言です。

さて、エビデンスに基づく新型コロナ感染拡大を減らす方法ですが、まず大前提は、オリンピック即時中止と、それを前提とした国民が信頼出来る政権による法規制、及びワクチンです。

根本策はワクチンです。日本のワクチン接種率は、この通り、この文章を作った時点より随分上がりました。しかしまだまだこれでは話になりません。まず2回接種完了者を国民の7割ぐらいにしなければならない。これが根本策です。

しかし現状からすれば、ワクチンが充分(つまり社会免疫効果が期待出来るおよそ全国民の7割)普及するまでには、相当の時間を要することは明らかです。従ってそれまで無策でいるわけには行きません。

その為にまずやるべきことは、五輪の中止です。そして五輪を中止してから、国民が信頼出来る政権の元で徹底的な法規制をしなければなりません。

何故五輪の中止が必要なのか。それは五輪を強行する限り、国民が政府を一切信用しないからです。

パンデミック対策の基本は、1.科学的根拠に基づき、2.政府が国民の信頼を得て、3.徹底的な法規制をやることに尽きます。

この3つなのです。科学的根拠に基づくこと、政府が国民の信頼を得ること、その上で徹底した法規制をやること。これだけです。

私が五輪を中止せよと主張するのは、五輪そのものが感染を拡げるかどうかより、五輪を強行することで政府が国民の信頼を失い、従って徹底した法規制も出来ないからです。もはや緊急事態宣言すら相手にされていません。その上国民から見放された政府が幾ら法律を作ったところで、それは相手にされないでしょう。だからまず、どれだけの経済的損失が出ようとも、五輪を中止する必要があるのです。巨大な経済的損失を覚悟してでも五輪を中止する、と政府が宣言すれば、国民が政府に目を向けます。それだけ本当に金には換えられない「緊急事態」なのだ、と理解が得られます。だからまず五輪を止めましょう。

そして国民が信頼出来る政府の元で、早急な法整備が必要です。よく中国は強権で、台湾は民主主義でコロナ対策をやったと言う人がいますが、台湾でデマをツイートしたら最高額1160万円の罰金であることをご存じないのでしょうか。また戸外でマスクしなければ5万7千円罰金です。タイではマスクしなければ初回は2万円(6000バーツ)、三回目は68000円(2万バーツ)罰金です。両国とも、罰金を払わなければ禁固刑が科されます。台湾は都市をまるごとロックダウン出来る法整備も整えています。

日本は憲法があるから私権を制限出来ないという人がいますが、それは嘘か勘違いです。すでに「感染症法」という法律が存在し、結核患者は隔離されます。だからコロナ立法と言っても、実際は感染症法を改正するだけで良いのです。

そもそも世界中で、新型コロナに法規制で対処していない国を探す方が難しいです。東アジアでは日本だけです。他には「コロナはデマだ」と言い続けたトランプ政権時代のアメリカぐらいです。ほぼ全ての国が、新型コロナには法規制で対応しています。

しかし法規制しても、肝心の国民が政府を相手にしてくれなければ、法律は紙切れです。イタリアとフランスが良い例です。イタリア人もフランス人も、「法律に縛られてハグやキスできないくらいならコロナで死んだ方がましだ」と考えたので、法律は機能しませんでした。ですから法規制には国民の納得が不可欠です。従って、国民の協力を得るためにも、まずあの馬鹿馬鹿しい運動会を止めましょう。

では新型コロナ拡大を止める法規制とは具体的にどういうものか。まず全国規模で大規模PCRをします。この目的は2つです。1.正確な感染状況を把握すること。2.調査結果に基づいて各地の感染リスクを判断し、リスクに応じたゾーニングを行って、ゾーン毎に明確な法規制と補償をセットにすること。3.感染者の完全隔離。もしゾーニングの結果必要と判断されたら都市のロックダウン。

ところで皆さんロックダウンってどういうものか知ってますか?私は上海に知り合いがおり、人口1100万人の武漢ロックダウン、2400万人の上海ロックダウンの時毎日状況を教えてもらいました。

上海地下鉄とググると、上海には網の目のように地下鉄が走っていることが分かります。ロックダウンというのは、まずこれを全部止めます。バスも止める。一般車両も走れないようにする。そして上海市民2400万人が言えに2週間家に籠もったのです。

日用必需品や食料は、毎日スマホで請求すると、その日の夕方には地区の集配場に届きます。各戸配布はしません。それやったらそこで感染しますから。全員が毎日健康状態(体温や血圧)をスマホアプリで報告します。異常があればすぐ当局から連絡が来ます。PCR陽性なら必ず施設隔離です。家庭に置いておくと家庭内感染が拡がります。だから隔離施設も確保しなければなりません。

私が驚いたのは、ある日の知人の昼飯でした。ちゃんとした中華料理です。知人もこれなら2週間耐えられると言っていました。スマホでメニューが選べるんだそうです。そうすると、きちんとした料理が届く。これは中国では凄く大事です。上海人は舌が肥えてますから、不味いものを食わせたらすぐ怒ります。日本なら散々業者が中抜きして届くのは豚の餌みたいな弁当でしょうが、上海でそれやったらロックダウン出来ません。ちゃんとした食料と届けたのです。これは感心しました。ほんとによくやったなと思いました。

ロックダウンとはそう言うものです。今の日本政府や東京都にやれると思いますか?

さて、話を戻して、勿論、PCRは感染後約1ヶ月陽性が続き、そのうち他に感染させる恐れがあるのは発症から5日程度ですので、PCR陽性者が全て感染リスクを持っているわけではありません。しかし今日本が行っている「クラスター追跡方式」では、すでに過半数が「感染経路不明」となっています。要するに感染経路が多すぎて、クラスター追跡が破綻したのです。ですから感染状況を把握するためには、大規模PCRしかありません。

しかしよく勘違いされているのですが、大規模PCRだけやったからと言って意味は無いのです。全体戦略が必要です。なんのための大規模検査なのかをはっきりさせる必要があります。

広島県が大規模PCRをやりましたが、見事に失敗しました。数百名の陽性者を見つけたのですが、広島県が失敗した理由は、そうやって調査して多くの陽性者を見つけて、ではどうするのかを何も考えていなかったからです。先ほどの繰り返しになりますが、大規模検査は2つの目的があります。1.陽性者の隔離。2.調査の結果に基づいたゾーニングとゾーン毎の法的規制の根拠とすること。この2つです。

つまり、大規模検査をやると大勢の陽性者が見つかります。沖縄を例で試算してみたのですが、おそらく沖縄県だけで数千人見つかるだろうと考えられました。ではその人達をどうするのか、これを考えておかねばなりません。陽性でした、気をつけて下さいね、では話になりません。全例隔離出来る施設は確保出来るのか、隔離した人たちへの水、食料、日用必需品の配備は整えられるのか、リスクレベルが異なるゾーンの間の移動を規制出来る法律は整備されているのか、関西みたいにお手上げ状態のところはロックダウンする立法措置を講じてあるのか、と言った準備が伴わなければ、検査だけやっても意味がありません。

ロックダウンと簡単に言いますが、例えば大阪神戸をロックダウンすると言うことは、大阪神戸に出入する交通ルートを全て遮断、つまり高速道路も一般道も許可車両を除いて通行止め、鉄道は全て通過、地下鉄などの都市交通は全面ストップ、市内には緊急車両と許可車量以外一切走らせない、戸外に出たら即拘束と言うことです。勿論家に閉じこもった人々に生活必需品を配布する体制、その人々の健康状態を日々確認する体制も整えなければなりません。容易な話では無いのです。そして、中国のみならず台湾もタイもヨーロッパ各国も、それをやったのです。
そうしたシステムを全て作って、当然立法無しでは出来ませんから法律でやって、それで初めて大規模調査が意味を持つのです。

中国人もヨーロッパ人も、日本人みたいにおとなしくありません。中国政府は強権体質だと言いますが、逆に中国人は本気で怒ったら大暴動起こしますから、政府がただ法律で抑え付けてもダメなのです。上に述べたような厳格な規制は、国民の政府に対する信頼無しでは絶対に不可能です。その為に、まずスパッと五輪を止めましょうと言っているのです。五輪はやります、自粛自粛とだらだらやりますでは話になりません。二兎を追う者は一兎をも得ずと言うでは無いですか。今の日本政府は、まさにそれです。

新型コロナは戦争です。ウィルスとの戦争です。

孫子という伝説的な(と言っても実在した人物らしいですが)兵法家が、「兵は拙速を聞くも、未だ巧久しきを賭ざるなり」といいました。戦争は多少の損失はあってっもさっさと終結させるに限る、長引かせて良いことは1つも無い」という意味です。しかしもう充分長引いています。孫子の言うとおり、長引けば長引くほど国民、すなわち兵の士気は落ち、将、すなわち政府の指揮は通じなくなっています。もう5回目の緊急事態宣言。それも五輪五輪とはしゃぎながらの緊急事態宣言。先日渋谷と東京駅周辺を歩きましたが、誰も相手になんかしていません。

すでにあまりにも遅きに失しましたが、でも作戦変えましょう。ついでに将も取り替えちゃいましょう。菅ではしょうもない。どんだけ莫大な経済損失を被ろうとも(大して変わらないって話もありますが)バシッと五輪を止め、まともな政権の元で強力な法整備、国民総掛かりで戦闘態勢を組んで、ワクチン普及まで堪える。勿論ワクチンは死に物狂いで打つ。副反応がどーたらこーたら言ってる場合じゃ無い。バンバン打つ。

エビデンスに基づいた新型コロナ対策とは、こういうことです。だから五輪は止めるべきなのです。

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