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IoT事業立ち上げ黎明期の敗者の記録

この記事は hacomono advent calendar 2023 の9日目の記事です


はじめに

hacomonoでIoT開発のマネージャーをしている岩貞です。hacomonoではさとちゃんと呼ばれています。
最近、2人目の子供が誕生し、人生で初めて育休を取らせて頂きました。育休を取らせて頂いた会社と、その間業務を回していくれたメンバーに感謝しつつ、毎日赤ちゃんに癒やされながら楽しく過ごしています。


いっぱいあった失敗

IoT事業立ち上げの話はちょこちょこと外部でもお話させていただいているのですが、今日はその中でも色々と積み重ねたいろんな壁や失敗の話をできればと思います。

IoT事業立ち上げ当初、PoCが成功と言えるような反応を頂き、hacomono始めてのIoTデバイスは順風満帆。
調子に乗って(?)広く提供しようと、量産に向けて動き出しますが日々色々なことがありました。多くは無知だったり実力不足なのですが、市況的なものや外乱的に偶発的に発生したものなどもあり避けることは困難だったトラブルもいっぱいあった気もします。いやースタートアップ楽しいですね。
それではいきましょう。


半導体不足

まずはこれですね。半導体不足は今でもありますが、量産に動きだした2021年から2022年は本当にひどかったです。特にラズパイが手に入らなかったのがとても辛かったです。(※ラズパイはRaspberryPiというシングルボードコンピュータの略称)
素早くお客様へ展開、かつ市場へ出したかったというのもあり、PoCから量産までラズパイをメインボードで構成して進めていました。実際に商業的にも有名なところでいくとくら寿司のオーダーシステムシン・テレワークシステムなどでも使われていて自社でも使ってみたい、というのもありました。

PoC始めた頃は普通に手に入ったラズパイなのですが、これが全く手に入らなくなります。原因は色々とあると思いますがメインは半導体不足。
量産品向けにラズパイは奇跡的に確保していたのですが、量産品を提供出来るまでにどうしても守りたい案件があり、凌ぐのに奔走しました。。

凌ぐためにあれやこれやしたものは、予想通り今は技術負債となっています。(仕方はないのですが…)

ラズベリーやらバナナやらオレンジやら、、IoTチームの日報にいつも美味しそうな名前が出てくると言われたのはこのためです。


プロトラブズJPの日本撤退

こちらも大変衝撃でした。量産向けの筐体(※製品の外側の箱です)を、射出成型・切り出し加工のオンデマンド製造サービス事業を手掛けているプロトラブズに発注していたのですが、初回の生産途中に急遽日本撤退報道が出たのです。(※当時の記事はプロトラブズ撤退などで検索頂くと色々と出てきます)

当時の状況としては、金型の製造を行い、初回50lotを打ち終えて、さぁ続きを打とうっといったタイミングで撤退報道があり報道とともに追加の受注がストップしました。
※金型とは筐体を大量生産するための金属の型です。金型は金属の塊なので素材にもよるのですが初期費用はとても高いです。その代わり一回作ると安く筐体を一杯作れます。

そうです。せっかく金型作ったのに50個打ってもうそれ以上打てないとなったのです。本当に文鎮化したと思いました。(金属だけに。)

量産品のリリース日は決まっていて案件もストックして行っていたのに50台しか用意できない…。当時はプロトラブズのその後の対応状況もわからないなか、おもーい空気が流れていました。
CTOまこさんも、半導体不足だけじゃなくて、そんなことも普通に起こるの? IoTやばいね。って話をしてたのを思い出しますw

USB延長問題

現地で実際に投入しないとわからない問題はたくさんあります。当時付属していたUSBケーブルの長さが足りなくて、現場で仕方なくケーブル延長をしてしまうケースなどがありました。
その一瞬的には使えるのですがある日突然使えなくなり、解析のためにデバイスログを見るとUSBエラーが延々と…。

まぁ完全にこれはダメパターンですが、しっかり品質担保された、自身で評価したケーブルを使いましょう。本当に悩まされます。


静電気で無反応問題

そうです。冬のパンデミックです。
静電気ってデジタルデバイスには天敵なのです。特に、QRリーダーはQRを読ませるために手が比較的触れやすく、冬に多く発生する静電気の影響で人感センサー(IRセンサー)部分が機能しなくなる問題が市場で多く発生しました。
これは発生状態が外部から検知ができず、また人感センサーが機能しなくなるので全く無反応状態のQRリーダーが出来上がります。はい、文鎮化です。

静電気試験、念入りにしましょう。


学び

  • 調達は命。信頼できるサプライヤーと繋がる。(これ大事)

  • ちゃんと製品試験する(これは当然)

  • 製品試験通ってても市場では何かが起きる(現地運用でようやくわかるものもある)

  • 10年に一度くらいは撤退業社も出てくる(これは運だ…仕方ない)


さいごに

ちょっと振り返るだけでも一杯ありますね。細かいものを書き出すとキリがないのでこの程度で勘弁してください…。
ちなみにあまり今回は細かく解決策を記載してませんがしっかりと一つ一つ多くの協力を得ながら解決して乗り越えて行っています。
IoT事業立ち上げの道のりは波乱に富んでいて、いくつも想像を超えた課題に直面しましたが、総じて不謹慎ながら楽しく、これらの課題は日々次のステップへと進んでいくためのエンジンになっていたような気がします。

こんな日々困難と一緒に戦ってくれる愉快な仲間を募集していますので興味が湧いた方はご連絡ください。(^^


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