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あるご夫婦からご相談【相続実例①】実際にあった相談事例をご紹介

相続の相談会から個別相談で承りました。
賃貸物件の管理から、家族信託。
また遺言書の作成や土地に関する相続準備のお手伝いも行いました。


【相談の概要】


今は二人でお店を営業されていて、夫は80歳、奥様は75歳になられるとのこと。ご主人の脚が悪く、店頭に出るのもしんどくなってきた。
そろそろ廃業して引退したいと考えている。

幸いにも貸家が8件あって、こちらの賃料収入が月に35万円ほど入ってくるので生活には困らない。
ただ、ご主人まだまだお元気なんですが、心臓を悪くされていて、認知機能にも少し衰えが出てきているようで、このままお元気でいてほしいんですが、賃貸の入退去があった時にオーナーとして対応できるかが不安。

相続の勉強会では認知症になってしまうと、賃貸借の契約ができなくなると紹介していましたから、奥様が不安に思われて今回のご相談に至ったということです。
それで、ご主人が元気なうちに、長男さんに家族信託で貸家の管理を任せて、長男さんを受託者として、契約は長男さんが締結できるようにしておけば安心だろうということでした。
ご主人は賃料収入を受益者として受け取る。そんな信託の組成ができないかという話になりました。
提携している司法書士にもその方針でいこう、ということになっていたんですが、相続も含めて、不動産にやや問題があったので、こちらを解決してからということになりました。

不動産は土地の単位を筆(ふで)で数えます。

【不動産について】

不動産の整理をしますと、ご夫婦がお住まい兼店舗、長男さんのお住まいの家、貸家が8件。自宅2軒は問題ないんですが、この貸家8軒がすこし問題。まず、2軒の家が連棟になっていて、登記が1つ。見た目は連棟の2軒の家ですが、登記が分かれていない。
残りの6軒は1筆の土地の上に建っており、建物の登記が3つだけ。連棟が3棟建っていて、3件の登記になっている。
将来的には、自宅と貸家は子供たちにある程度均等に相続させたいと考えていたということでした。

ですので、このままにしておくとちょっと手続きがしづらい、2軒だけのほうはいいとして、6軒の借家の土地が1筆になっているのは、扱いにくい。
ということで、今のうちに筆界確認を取って、分筆をしておこうということになりました。
さすがに既存の建物、しかも借家にしている建物の分筆は入居者さんにも協力いただかないといけないので、こちらは断念。

3軒の建物に沿って3筆に分筆することになりました。
住宅地の建物が6棟建っている土地の筆界確認ですので、確認先が多くて、筆界確認が取れるまで、約半年、分筆まで入れると10か月ぐらいかかりました。


【相続準備】

その間にお店は廃業されて、ご主人も体調を悪くされてしまって、信託で活用していこうというよりも、遺言書を作成して、奥様や子供たちにしっかり引き継いでいこうということになりました。

ご主人は自分が亡くなった後、貸家は子供二人に相続させるつもりでいましたが、賃料は奥様に渡したいとお考えでした。
そこが遺言で担保できるのかということでしたが、遺言書で取り決めるのは難しい。

もちろん仲の良いご家族なので、お母さまが困るようなことになるとは思えませんが、ご主人に安心していただけるように、遺言書には付言事項を設けて受け取った賃料はお母さんが生活できるように有効に使ってくださいとか、入れていただくように、また、遺言書が作成できたら、家族全員にその内容を伝えようということで提案して、実際にそのとおり行いました。


【遺言を生前のうちに伝える】

自分の遺言内容を生前のうちに伝える。どの程度のかたがされているか分かりませんが、引き継ぐ側も直接自分の親から遺産の内容が聞けるので、納得して引き継ぐことができると思います。

実際、遺言の内容には偏りがあって、自宅兼店舗は母、長男宅と貸家4つが長男、貸家4つが長女、実はそのうちの一つに長女さんが住んでいる状況です。

額面的には長男宅と貸家では長男宅のほうが大分高額でしたから。


【さいごに】

その後、遺言の執行をおこない、相続税が少しかかりそうでしたので、税理士さんを紹介し、相続を期に、長男さんと長女さんから借家の管理もお任せいただくことになりました。
すべて整理できた後に奥様から言われたんですが、ずっと相続のことが心配になっていて、お父さんが亡くなってしまうとどうなるかと思っていたと。相談する先も分からなかったし、たまたま新聞折り込みに入っていた、相続の勉強会のチラシでセミナーに参加して、こうやって相談することできて本当に良かったです。
 

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