見出し画像

一人目のエンジニア(CTO候補)に求める4つのこと

先日、エンジニア採用の方法とか、技術組織の作り方とかという記事を公開したところ、思いがけず色んな方から参考になった、との声をいただきました。
記事を書いたあと、とある起業家の方と話していたところ「一人目のエンジニア(CTO候補)に何を求めるか」という話へと発展しました。
この話はよく「CTOは万能でなければいけない」的な着地をしてしまい、結局どうしたら採用できるねん、となりがちだと思います。
実際ある程度万能でなければいけないのも正しいと思いますが、そうは言っても現実的にCTO候補の採用ができるよう、なるべく少ない要素にフォーカスしたいな、と思いながら書き始めています。

以下、僕が「CTO」と書いているところは"初期のエンジニアチームを支えるリーダー"と置き換えていただいても結構です。厳密にはCTOである必要も、一人目である必要もないです。

旗を立てられること

一つ目に、リーダーとして「どういう組織を作りたい」という旗を立てられること。
そしてそれが会社全体の経営方針ともマッチしていること。

ここでは技術部門の代表として他の経営陣と方向性が擦り合わないといけませんから、経営陣とフラットなディスカッションができること(上下関係が基本的にはないこと)が大事です。

具体的には、例えばグローバルにサービスを展開していきたい。エンジニアも国内のエンジニアに問わずインターナショナルなチームを作っていきたい。いずれは海外のトップ企業のように自社で新しい技術を開発して世の中に広く公開していくような企業にしたい。
そういった、主に技術目線での「向かいたい先」の話ができること。

これは採用をしていく上でも非常に大事な要素ですし、欠かせない要素だなと思って一番目に持ってきました。

見極めにおいてはフランクに「どういう組織を作りたいか」という話をすると良いと思います。あなたの方針と沿っていて、かつワクワクするような話が出てくるかという感じになるかなと思います。逆にここで「こいつ凄いな」と思えなかったら、技術組織を引っ張るような存在として今後も信頼し、任せていくのは難しいかと思います。

人を動かすのが得意であること

旗を立てても誰もついてこなかったら何の意味もないですよね。なので二番目に「人を動かせること」を持ってきました。

うちの会社はエンジニアの採用過程でCEOが一切面接に出ません。もちろんCEOが出ても良いんですが、技術部門を引っ張る立場として、採用責任はCTOが持った方が良いと思っています。

そのぶん、CTOは人を見極められて、かつ動かせる人である必要があります。これは採用に限った話ではなく、

・ユーザーに「使いたい」と思ってもらえるサービスを作ること
・一流の候補者に「一緒に働きたい」と思ってもらうこと
・重要な局面において「今が頑張るべき瞬間だ」と社内のメンバーのエネルギーを沸き立たせること

など、多くの場面で重要な能力です。

この能力に秀でた人は、細かい一つ一つの所作が丁寧で、配慮が行き届いています。
読み手のことを考えた文章が書けるのでメールが非常に綺麗で読みやすかったり、相手の理解レベルに合わせた話ができるので話に過不足がなかったり、わからないことを誤魔化さず素直に聞けたりと、自然と出やすいものかなと思います。

自分でプロダクトを作れること

三番目に、ようやくエンジニアらしい要素です。
企業によっては一番目の要素にもなり得ると思うんですが、自分でプロダクトを作れること。

プロダクトを作るには、様々な専門知識が必要です。人数が少ない間はCTOがほとんど一人で作ることになるので、プロダクト開発全体の流れを経験していることが大切です。
自分の不足している領域は経験するまでなかなか気がつかないこともあるため、学習能力があるだけでは不足しており、やはり一定の経験が求められる領域です。
ここは求めようと思えば正直いくらでも求められてしまう部分なのですが、特に重要な領域を挙げるとするのであれば「要件を理解して」「早く、安全なものを作れること」でしょうか。

・要件理解: PRD(Product Requirements Document)で書くような内容
 ・データ構造への落とし込み(RDBにしろNoSQLにしろ)
 ・機能要件/非機能要件への落とし込み
・実装能力
 ・とにかく早く。時としてプログラムを書かずに検証できる能力も大事
 ・セキュリティ周りきっちりしてること

ここの見極めは難しいので、可能であれば熟練のエンジニアに手伝ってもらえると良いと思います。例えば次のような質問をしたりします。

こんなプロダクトを作るとして、
・あなたは、どのような技術を選びますか
・データベースはどのように設計しますか
・このプロダクトにはどういったセキュリティが求められますか
・このプロダクトの中核となるユーザーストーリーはXXXなんですが、これを実現するプロトタイプの作成にどのぐらい時間がかかりますか

また知識量と実装速度はまた別だったりするので、実際にペアプロとかをして実装速度を見る機会が設けられればより良いです。

粘り強く、柔軟であること

リーダーとして旗を立てられて、人を動かせて、プロダクトが作れる。それだけでも大変な価値だと思いますが、最後に「粘り強く、柔軟であること」を挙げたいです。

特にITの世界は変化が早いですから、向かう先は変わらずとも、向かう方法は柔軟に変えていく必要があります。
あなたの考えていたプロダクトの価値が、世界情勢の変化で一気にひっくり返ってしまうこともあります。

そうした時に頼りになるCTOはきっと、目的に向かって諦めず、一つの方法に囚われず柔軟にHOWを変えて道を作っていける人です。

ただこの要素に関しては見極めというよりも、経営陣で肩を組んで一緒に育てていくような領域かもしれないですね。

まとめ的な何か

前回の記事はどんな人を、どう採用するべきかというテーマで書きました。今回はさらに狭い、CTO候補のエンジニアの見極めにフォーカスした内容を書きました。

僕たちの掲げる、志の高い目標への旅に苦難は必ずつきものです。
「人」を単なる目的達成の「材料」とせず、共に苦難を乗り越え、共に成長し、長く旅をする「仲間」を見つけていきたいですよね。

僕もまだまだ未熟ですが、皆さんと共に成長していきたく思っています。
僕はいつでもTwitterで絡まれる準備ができています!(直訳風)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?