エンジニア採用の方法とか、技術組織の作り方とか

最近ほかの会社のCEOやCTOの人たちにエンジニア採用の方法や技術組織の作り方について相談をいただくことが増えてきました。
なので、相談いただいた際に自分が参照できるよう、殴り書きレベルでここに記しておこうと思います。

エンジニアの特異性について理解する

優秀な"非"エンジニア経営者は「再現性」や「予測可能性」を高く実現するのが得意なようです。高度にシステム化されていて、誰が入っても一定以上に活躍でき、人を増やせば増やすほど企業に利益をもたらす。彼ら彼女らは、そんな形の組織を作るのが得意なのです。

しかし僕たちエンジニアは知っています。
エンジニアは人によって10倍、100倍の生産性の違いを発揮するということ。また「人月」は神話であり、人数と生産量が比例することは決してなく、人を増やすことで成果が減ってしまうことすら珍しくないということ。
ここに、優秀なビジネスマン経営者こそ陥ってしまう、モノサシの違いによる罠があると思っています。

給料の高いエンジニアを採用する

あえて「能力の高いエンジニア」という表現を使わず「給料が高い」と表現しますが、言いたいことは同じです。
年収300万のエンジニアを5人採用するより、1000万のエンジニアを1人採用してください。まずはここの理解が最初の一歩だと個人的には思います。
もちろん1000万レベルのエンジニアが300万でも良いよ、と入社するケースもあるかもしれませんが、それはこの話のポイントではありません。

前述の通り、プロダクト開発ではチームに人が増えるほどコミュニケーションコスト、コードレビューコストなどの負担が増えていき効率が下がっていきます。
5人で100時間かけて作るプロダクトを2人が20時間で作ってしまうようなことが実際にある世界だと理解してください。
もちろん、そんなに技術力が要らないプロダクトを多数つくるようなビジネスモデルもあるでしょう。そういう場合、あなたが作っているのは技術組織ではなくビジネス組織でしょうから、この記事のスコープ外になります。
技術組織を作るなら、10年以上の経験を持つような(10という数字に別に意味はありませんが)ベテランを採用できるかどうかが非常に大事です。

給料の高いエンジニアは中々採用できない

あなたはきっと優秀でしょうから、一人目の優秀なエンジニアを採用するだけの予算を何とかして確保するはずです。
ここで以下の3つの問題にぶち当たるかもしれません。
1. 「候補者が技術面において優秀かどうか判別できない」こと
2. 「仮に判別する能力があってもそもそも優秀な人が見つからない」こと
3. 「仮に見つかっても入社してくれない」こと

一つ目の問題への対処法はいくつかあります。例えば書類選考や技術面接を信頼できるエンジニアにアウトソースすること。(もし全くツテがなければ僕に連絡くだされば微力ながらお手伝いできる範囲でお手伝いします。)
他にも、とりあえず副業として入社してもらって実際に一緒に働いてみるなどの方法も有効でしょう。僕も、インターンや業務委託を経て採用したことが何度かあります。

二つ目の問題にもいくつか対処法があります。フィーはかかりますが人材紹介エージェントを利用したり、広告を出したり、エンジニアが参加する勉強会などのイベントに積極的に登壇/スポンサーしたりといった方法です。

三つ目の問題がおそらく一番深刻です。安いエンジニアは世の中たくさんいますが、高いエンジニアはどこの会社からも引っ張りだこです。競合する会社も給料をたくさん払う優良な会社であり、グーグルやマイクロソフトといった巨大で、かつ人気な企業とも闘うことになります。
従って、こういった企業と闘うための採用戦略が必要になります。

採用戦略の要は、独自性

僕は2016年12月に今の会社にCTOとして入り、それから4年間で40名以上のエンジニアを採用してきました。
40名もの優秀なエンジニアが、何をやっているかも全く知られていないスタートアップに入社してくれたのは何故なのか。

これは自慢なんですけど、彼ら彼女らが口を揃えて言うのが「こんな会社は他には無い」ということです。
何を隠そう僕もそう思っている内の一人です。もし僕の作りたいような技術組織が他の会社にあったなら、僕は自分で会社を経営するなんて大変なことはせずにそっちに入ってただろうと思います。

グーグルにもマイクロソフトにもメルカリにも無い、あなたの会社ならではの独自性があること。そしてその独自性が魅力的であれば、そこに刺さる優秀なエンジニアが入社してくれます。例えば、料理が好きなエンジニアがクックパッドやクラシルに入社するように。

僕らの会社を例として挙げると、まず「日本にあって公用語が英語で、8割が外国人のスタートアップである」ことが一つ大きな独自性になっています。
経営陣にも外国人がいて、日本という素敵な国で、インターナショナルなカルチャーを持った会社で働ける。さらにここにスタートアップという条件が加わると、僕らの会社以外で見つけるのが大変です。
これだけでも採用で十分戦える武器になりますが、他にもあります。自己資本で会社を経営しており基盤が非常に安定している会社も、実は世の中に多くありません。また元々超優秀なビジネスマンたちが作った会社であり「技術以外が強い」というのも意外と技術組織には希少かもしれません。(他にも多々ありますが、別に会社の宣伝をしたいわけではないので省きます。)

とにかく、こういった独自性を持つことで同時に採用したいエンジニアのペルソナも明確になり(どちらが先でも構いませんけど)優秀なエンジニアの採用に大きく近づくはずです。もし独自性を見つけるのに苦労しているならば、相談にのるので是非連絡してください。

これが技術組織を作るための、二歩目です。

エンジニアは「課題」で口説く

あなたの会社に素晴らしい独自性があるのであれば、それがあなたの大きな武器になります。
その武器とともに、エンジニアを見極め、そして口説きましょう。

エンジニアを口説く時に僕が大事にしているのが「課題」で口説くことです。

「自分たちは(上述の独自性を武器にしつつ)希少性の高い会社ではあるものの、まだまだ程度は低い会社である。理想からは程遠く、課題が山盛りである。中でもこうした課題には非常に苦しんでいる。」

面接であなたの前に座っている優秀な候補者であるエンジニアは、あなたから課題を聞いたらきっと、すぐさま解決策を考え始めると思います。ひょっとしたら、次のように話し始めるかもしれません。

「なるほど、あなたは複雑な問題を抱えているようです。どうでしょう。一緒にイベントストーミングをしてみませんか。どこが最も大きなペインポイントになっているのか一緒に見極めませんか」

こうなってしまえば、もう入社したも同然です。何しろ目の前の候補者は既に「問題解決」というエンジニアの専門性を活かした仕事を始めているわけですから。
入社したあとも経営陣とこうした距離感でディスカッションしながら顧客の問題解決にフォーカスできるに違いない。素晴らしい環境だ。
きっとそう思ってもらえます。

別の記事でも書いたんですけど「自分たちの会社は素晴らしい会社だから入社してくれ」というのはこれとは真逆のアプローチであり、僕は嫌いです。

ここまで書いたものの

毎度のことながら、記事を書き始めて、1時間ぐらい書いて、終わりがないことに気が付く罠に今回も陥ってしまいました。けど元々書こうと思ってたことの7割ぐらいは書けたと思います。続きはまた、もう少し自分も組織も成長してきたら書こうと思います。

もし面白いな、って思ってくれた人はTwitterとかで是非絡んでください。この記事を1つのネタに、色々と議論のうえ学ばせていただければ幸いです。

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