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登山の話

ぼくはどちらかと言えば多趣味な方で、登山もその一つだ。

役員をやってる会社には社内外のメンバー10名程からなる登山部があって、そんなに活発ではないが、年に二回程度、都合の良いメンバーが集まって登山に出かけている。春は日帰り登山で軽くならして、秋は北アルプスや南アルプスで山小屋泊の縦走。体力に自信のあるメンバーばかりではないので、ゆとりをもった行程が基本で無理はしない。沢山歩いた後の山小屋でのビールを目当てに。そして、最終日は早々に下山してきて、温泉につかり、やはり、一杯やるというのがお決まりのパターンなのである。

ぼくの初登山は2011年の北アルプス奥穂高岳登頂だった。会社の山岳部発足前で、社内メンバーはいまより少なかったが、ウチの山岳部顧問であり、会社に出資してくれている小説家の作家先生の古くからの仲間の一団と一緒に登った。新宿から深夜バスで上高地まで行き、朝からのぼって初日は柄沢小屋泊。二日目は早朝から動き出し奥穂高岳まで一気にのぼった。ついでに、荷物をデポジットして柄沢岳にも登った。そして、そのまま上高地まで降りて来るというコース。

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柄沢岳では崖の下を覗いたところで、超レアなブロッケン現象を見ることができた。

その後、槍ヶ岳、立山、白馬、燕岳、常念岳、蝶ヶ岳などなど登っている。去年はコロナや業務の忙しさなどで高地登山は行かなかったが、秋口に奥多摩で御前山に登った。(生憎の天気だったので、頂上手前で迂回路に逃れることにしたのだが・・)山はともかく、今回駅のすぐそばに宿を取ったが、その宿と駅前のブリューワリーには大満足であった。

御前山で思ったのは、10年前はまだ元気だったなぁということで、メンバーもそれなりに年齢を重ねて、日頃、運動不足なこともあるし、山登りの前は少し真面目に体力作りしないとならないかなぁ、と思い始めている。作家先生だが同じく歳をとる。もう、齢70歳を超えたと思う。この作家先生のかつての山はまさに破天荒で、現代の常識では収まりが効かないことばかり。一緒に山に登って、山小屋の長い夜にそんな昔を聞くのも楽しい。最近は一緒に頂上を目指すというよりは、途中まで一緒に登ってあとは小屋で待っていてもらうとか、麓の温泉宿とか適当なところで合流して一緒に温泉に入って一杯やるというのが定着してきた。いつまで一緒に登れるかわからないが、こうして貴重な時間を一緒に過ごせることが嬉しい。

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うちの家族は登山にはなかなか興味をもってくれない。息子はかつて一緒に大山(神奈川県で一番高い山)に登ったのだが、そのくらいで、それ以外の家族は登山経験ゼロだ。あ、鎌倉でハイキングコースを歩いたことはあるか。あの手この手で登山に興味を持ってもらおうとしているのだが、どうやら、ぼくの登山の話を聞いたり写真を見るほど、とんでもない崖をよじ登っているような、そういう印象を持つようで「怖い」と言うのだ。実際はそんなことはなく、整備された登山道しか登らないし、ましてや、崖上りなどはやっていない。もちろん、ちょっとした岩場はあるし、鎖場とかハシゴとか、高度が高いところでは足下の細いところも通るから、ダイナミックなアングルで写真を撮ることはするが、それだって、安全を確保しているからそういう余計なことができるというもので、危ないということは(もちろん、登山なので全く安全というわけではないが、、)ない。少し演出が過ぎたかと、後悔している。

最近の話だが、そんな家族の中で、娘だけはまったく興味がないということでもなくなってきたらしい。これはまたとないチャンスなので、雲の上の世界の静けさとか、澄んだ空気の整った感じとか、ゆったりとした時間の流れとか、下界にはない素晴らしい世界が広がっているのだということを、なるべく控えめに話すようにしている。(あまり、熱っぽく話すのは良くないのだ、ウザがられてはまずい。)

中学校にあがったら、折を見て誘ってみようかと思う。


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