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第3回:#カーリング沼 へようこそ!(北京オリンピックでの #カーリング沼 マーケティングを振り返る)

(タイトル画像の出典:Japan Curling Association)

第1回、第2回の投稿で書いた通り、北京オリンピックに向けてマーケティング活動を行う上でのポイントについて以下の2点にたどり着きました。

  • オリンピックで増える「ライトファン」に、いかに「カーリング」を深く好きになってもらうか(「コア化」)が大事

  • アスリートの人柄や背負っているものなど、「ストーリー」を感じてもらえるようにする

今回は、実際にYouTube配信の「#カーリング沼 へようこそ!」をどのように準備し、進めていったかという部分について書いていこうと思います。

配信機材、環境の準備

YouTube配信をしてみようと思ったものの、全くノウハウ、設備がなく、ゼロからのスタート。
ところが、今の時代、便利なもので、大抵のことはYouTubeを見れば分かるようになっています。
IKEAに机を買いに行って(そして組み立て)、Best Buy(アメリカのヤマダ電機)で27インチのPCモニターゲットして、キャプチャボード(iPhone、iPadの映像をPCに取り込むのに必要)やケーブル類を買い、子供部屋の一角を占拠。
BGMなしも寂しいので、YouTubeライブラリで使用可能な音源の中から100曲以上を聞き比べます。(最初はオシャレで落ち着いた音楽にしていたのですが、オリンピックが始まるくらいのタイミングから、少しポップで明るいものに変えていますね)
iPadとApple Pencilは持っていたので、サムネイルはフリーのお絵かきソフトで作成。資料はパワーポイントで作ります。
本気を出せば、1-2週間でYouTuberになれるということが分かりました。

志を共にするメンバーとの手作り作業

SC軽井沢クラブの山口剛史選手は、北京オリンピックの人気をしっかりとその後のカーリングの発展、特に男子チームや将来のジュニアの活躍につながるようなものにしたいという強い気持ちがあり、2021年の年末から一緒に考えてくれた仲間。
フォルティウスの近江谷杏菜選手も、12月の「緊急作戦会議」を中心になって進めてくれていて、その他も色々なことにチャレンジして可能性を広げている、抜群の行動力の持ち主。北海道銀行から飛び出して、ゼロからフォルティウスをどうしていくか、なかなか先が見えないタイミングで、日本国内でカーリングアスリートを続けていくことの難しさを肌で感じている瞬間だったと思います。
私の古巣、I.C.E.(チーム東京)の橋本祥太朗選手も、アスリート委員長として、他のアスリートとの間に立ってのコミュニケーションを買ってくれました。

そんな豪華すぎるメンバーと意気投合し、辿り着いた第1回の配信がこちら。2022年1月16日ですね。

配信が上手くいくかテストをしながら、配信企画のアイデアを議論するという盛沢山かつ自由なライブ配信。視聴者の方々と、チャットを通じて対話をしながら、アイデアを出し合ったりする時間を共有するっていうのがとても楽しかったですね。
「日本カーリング協会」(国の中でその競技をまとめる存在)のソーシャルメディアの取り組みとしては非常に挑戦的というか枠にとらわれないところがあったなと思いますが、それが可能だったのはカーリングを取り巻く人たちの素晴らしさ、ファン・アスリートへの信頼があったからこそだなと、今振り返って思います。ある意味、カーリングならではの強みを生かしたやり方かもしれません。
制作過程を見せながら、視聴者と一緒に作り上げていくようなやり方が、「プロセスエコノミー」といった言葉で取り上げられるのも最近目にしますが、そういった要素も多分にあって、親しみを持って受け止めてもらえたところもあると感じます。

過去のオリンピックを振り返る

配信テストも無事に完了し、以降の本シリーズをどのように進めていくかということについて。

カーリングは「4年に1度」のブームと言われることも多いですが、それが逆に「平昌組」、「トリノ組」といった、いつからカーリングを好きになったのかをざっくり分けるような、ある意味の連帯感(同級生感?)を生んでいるのが面白いところです。
これから生まれるであろう「北京組」も、ずっとカーリングを応援してくれていたファンの方々と同じくらい、北京オリンピックに至るまでの背景を理解してもらえたら嬉しいなと思い、オリンピックごとの4年サイクルを振り返るような復習企画がやりたい!というのがアイデアでした。
実際のオリンピックを体験した選手に話を聞くことができたら、知っている人が見ても懐かしくて楽しいものになるなと思いました。
「4年に1度」に懸けてきたアスリートだからこそのリアリティがあって、だからこそ伝わるものがありますよね。

ファンの方々から寄せられた質問に、まっすぐ向き合って、オリンピアンが直接答えてくれる、とっても貴重な機会だったと思います。

マニアックなポジション特集

北京オリンピックに向けての予習ということでは、やはり出場する選手のこと、それぞれのポジションのことをよく知ってもらうのが大事だと思い、「ポジション特集」を5回分やることになりました。
当初、「ポジション特集」ではなく、例えば「吉田知那美特集」のように、北京オリンピック日本代表チーム(ロコ・ソラーレ)の人気に乗っかった企画にしようとも考えていたのですが、直前で軌道修正をしました。その方が、再生数は稼げたかもしれないのですが、「本人たちがそのような取り上げられ方をすることを望んでいるか」、「長い目で見たときに、カーリング競技の魅力が伝わることが大事なのではないか」という思いが頭をよぎりました。
結局、ゲストの方々にスポットを当てる時間をしっかり取り、そのうえでポジションのことを深く語ってもらう構成になりました。その結果、実際に北京オリンピックに出場する代表チームの5人の凄さにあらためて気づかされる、そんな番組構成にできたように思います。
視聴者に合わせに行くと、どうしてもメッセージがブレてくるので、ゲストが素直に語れる・語りたい部分の中から、視聴者に響くであろう部分をしっかり汲み取って、視聴者に分かるように伝えていく、そんなことをずっと意識しています。視聴者に向き合いながらも、振り回されすぎないことで、リアリティがあるものになるように感じています。(それが客観的に正しいのかはわからないのですが、私自身にできるのはそれが限界でもあります)

そして、今振り返ると、ゲストの豪華さたるや、ものすごいですね。オリンピアン、日本代表クラスの選手が目白押しで、伸び伸びとポジションのことを話してくれます。
ポジションのことも、選手の人柄も凄く伝わって、私もゲストアスリートのことが、もっと好きになりました。
視聴者の方にとって、カーリング選手を身近に感じながら、カーリングへの知識を、グンと高めていただけるような配信になっていたら良いなと思います。

名物コーナー?「Curl To Win」を楽しみにされていた方もいらっしゃるかもしれません(笑)


北京オリンピックの予習という位置づけで届けた7回(オリンピック復習回+ポジション回)の配信でしたが、「北京組」がオリンピックの最中や後から振り返って観ても、アーカイブとして価値があるものにしようという思いがありました。なので、サムネイルや資料も、時間がないながらも、自分にできる範囲で作りこんでいます。
実際に、「北京組」の方々に視聴いただいた、お気に入りの回を繰り返し観ていただいたようなコメントもたくさんいただき、嬉しかったです。
1時間半程度のかなりの長尺のライブ配信動画にもかかわらず、配信終了後もジワジワと再生数が伸び続けています。(アーカイブ視聴のほうが圧倒的に多いです)

(第4回へつづく)


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