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連携するまち、しないまち

まちの未来は、ここで決まる。パラダイムシフトを実感する

歴史を振り返ります。私たちの国はいまからは想像できないほど悲惨な戦後を迎えていました。財政状況が厳しく、人だけはたくさんいて、飢えと安心して住む環境がない状況からの再建を余儀なくされたのです。
そのころの人口、7199万人。戦後の焼け野原からの復活に戦後エリートたちは燃えていたことは想像に難くありません。

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さまざまな制度が焼け野原からの復興を目的につくられたといっても過言ではないでしょう。なにせなにもなかったんですから。ないところから必要なものをつくる。という意味でインフラ投資は積極的に行われていったのです。



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戦後は戦災復興のみならず、自然の脅威との戦いでもありました。昭和南海地震は昭和21年。カスリーン台風は昭和22年。伊勢湾台風は昭和34年と継続的に自然の脅威に晒され続け、戦後復興の足かせとなり続けたのです。

1947_カスリーン台風浸水図

カスリーン台風で浸水被害が起きた範囲(関東)縄文海進時代が蘇ったかのような範囲が被害の大きさを物語っています。

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https://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/h13/html/D0121110.html

自然災害による死者数が年間6000人クラスが頻発していたのだが、昭和40年代以降、急速に進んだ治水対策等で死者数は少なくなっていきます。

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社会資本の整備はどんどん進みました。つくることは達成しやすい目標として、整備はすすみましたが、とうとう時代は変わり、つくることが最大の目標の時代が終わった。

インフラの新設費用のピークは1995年。私が大学に入学した年だ。建設にかけられるコストがこれ以降減っていく中、私はのんきに大学で建築を学んだのです。

2004年12月にピークアウトした人口

つくることが目的だった時代は、人口が増え続けた時代でもありました。しかし2004年12月にはピークアウトし、以降、人口は減り続けています。
経済成長と人口増加には強い相関関係があるという、人口ボーナス説については、異論もありつつ、2004年以降の日本経済の状況を考えると、特に生産年齢人口の縮小が決定的に経済に悪影響を及ぼしてきたことは想像に難くありません。それでもよくやってきた、というべきなのかもしれないレベルなのかもしれません。

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いまは2020年です。この2020年という年にあらたなピークをつくろうとオリンピック開催が決まり、多くのインフラ整備が進みました。その結果はこのあとの歴史が雄弁に語るでしょう。

これまでのやりかた、とは?


前例主義や新しいやり方への抵抗は、水辺の利活用の分野に関わらず聞くところです。しかしながら、これまでのやりかたの多くは、人口増加がすすんでいた時代に、経済が成長している中でつくられたものにすぎません。
つくることが目的だった時代、いかにして効率よく、少ない目的(住宅供給や防災、経済成長)の達成のために投資を行うか、という視点でつくられた制度のなかに、これからの日本の未来を語る視点はあるのでしょうか?

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これまでのやり方は、成長を前提とした将来への投資が原則でした。しかし、成長が前提でない場合、投資の原則は変わるはずです。公共負担は減り続け、公共のレベルの維持、あるいは向上は別の方法を探さなければなりません。それが、官民連携の最大の理由であるはずです。

組織間で共通の課題を見出し、全体最適で効率的な投資を行う時代

地方交付金が頼りの自治体経営。地方公共団体からの補助金頼りの公共交通。金が余っていても新しい投資分野がみつからない民間企業。これらは根本は同じ課題です。いままでの分野、立場を維持したままでは、新しい価値をつくることができない、という課題です。もちろん人口減少や経済の縮小は地域経済や投資環境を悪化させていることは間違い無いでしょう。しかし、それよりも制度やマインドセットが以前の時代の様式に当てはめられたものだったとしたら、いまの時代にあわせたものに変えない限り、将来を見通せないのでは無いでしょうか?

そのダイナミックなパラダイムシフトを心の中にもつことからはじめて、能動的にやりかたを変える動機を自分のなかに見つけていきたい、と思ったのは、これらの統計資料と触れたことが大きなきっかけでした。ぜひみなさんもご参考に。また、ほかにもこれ見とけ、みたいな資料がありましたら、教えてください。

平成13年国土交通白書より

国土の長期展望中間とりまとめ概要(平成23年)



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