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見えない世界を体験することで、見えてくる新しい世界。【ダイアログ・イン・ザ・ダーク】

私は心理学でいうとめっちゃV感覚が強い。ヴィジュアルを中心に世の中を見ているってこと。でも、人によって音感覚が強い人や体感覚が強い人もいるらしい。そんな視覚優位な私が、真っ暗闇で過ごすとどうなるのか? そんな体験ができるのが『ダイアログ・イン・ザ・ダーク』だ。

ダイアログ・イン・ザ・ダーク

↑行ったのは2020年9月。コロナ禍の影響で完全な暗闇ではなく、薄暗闇という世界。完全な暗闇空間で、再度行ってみたいと思っている。

ココは『対話の森』と言い、『ダイアログ・イン・ザ・ダーク』以外に『ダイアログ・イン・ザ・サイレンス』という無言の空間体験もできる。

つまり、視聴覚障害を持つ人たちが普段生きている世界を体感できる場所なんだ。さらに、この体験をアテンドしてくれるのは、ダークは視覚障害の方たちで、サイレンスは聴覚障害の方たちだ。

見えない人と対話をするとき、
どんな言葉をチョイスするのが正解なのか?

私が体験してきたのはダーク(当時は『ダイアログ・イン・ザ・ライト』という形で開催)だけだが、簡単に内容を紹介。
単なる暗闇空間を歩くだけでなく、ポイントポイントでミッションがあり、そこでアテンドしてくれる方たちとの対話やゲームを楽しむ。

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↑一緒に行った息子とアテンドしてくれた方たち。全盲の方、弱視の方、生まれつき、途中から視力が弱った方、さまざまな人がいる。

この対話をするときに、激しく困ってしまうのだ。自分の思い出話なんかをするときも、「綺麗な場所」と言うと「どんな風に綺麗なんですか?」と質問される。「緑が多くておしゃれなカフェもあって・・・」と説明しようとすると、ハッと気がつく。「おしゃれなカフェって想像できるかな?」「ってか、そもそも緑が多い場所とか色を言ってもわかんないじゃん!」と。

そうなると、どう表現したらいいのかわからなくなる。饒舌さは失われ、普段は決して使わないような、他の五感を意識した表現をたどたどしく使うことになる。「自然に囲まれて木々の音や木漏れ日を感じながら、ウッディで自然と調和するカフェで美味しいコーヒーを飲みました」

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伝え方がまるっきり変わってくることに驚く。最初に言った通り、私はめちゃくちゃ視覚優位だから、音や香り、体に感じる表現をうまく使えないことをあからさまに痛感する。

別の部屋では足音で誰なのかを当てるというゲームをやった。耳に全神経を集中させて、聞き分けようとするがなかなか判別できない。でも、きっと言葉がうまく出てこないのと同じで、慣れてくると聞き分けられるようになるのかもしれない。

私たちは普段使っていない能力がある
それに気づかせてくれる空間

自分が普段使っていない感覚や力をたくさん感じた。普段は使う機会が少ないために、鍛えられていない能力はきっとまだまだたくさんあるんだろう。

世界がこの先、真っ暗闇になることは考えられないが、電気がなかった時代、夜は曇っていれば暗闇だった。今でも田舎に行くと夜の暗さに驚く。そんな経験を知っているから、人間たちは光を希望だと言うんだろう。

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私たちは通常、視覚情報を90%くらいあてにして生きている。

見えている世界をあまりに当たり前だと思いすぎていないだろうか?
こんなに美しい世界を見ることができていることに、感謝することを忘れていないだろうか?

せっかく見えているのに、目の前のものをちゃんと見ていないのではないだろうか? 
見えている世界を過信してしまい、もっと本質的なものを見落としているのではないだろうか?

さまざまな感情が湧き出てきてしまった。大好きな『星の王子さま』も思い出した。「大切なものは心で見るんだよ」って。

ダイアログ・イン・ザ・ダーク (1)

自分にとっての非日常を体験することは
自分を知り、他の人を理解することにつながる

対話の森は、自分の当たり前から離れることで多くの気づきを得られる場所だ。
サイレンスでは、言葉を使わずに表情やジェスチャーでやりとりをする。海外で言葉が通じないときに似ているかもしれないw きっとノンバーバルでの不便さを感じるだけでなく、可能性も見つけられると思う。

『ダイアログ・イン・ザ・タイム』といって、世代や時代を超えた対話の場ももうすぐ開催予定だと言う。

SDGsが目指す「誰ひとり取り残さない」社会を実現するためには、私たちはもっともっと他人を理解する必要がある。それはお互いの違いを知ることから始まるはず。

ものすごい深い体験ができます! ぜひ行ってみてください🌟

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下町の2D&3D編集者。メディアと場作りのプロデューサーとして活動。ワークショップデザイナー&ファシリテーター。世界中の笑顔を増やして、ダイバーシティの実現を目指します!