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【マッチプレビュー】2022明治安田生命J3リーグ第10節 いわきFC対ガイナーレ鳥取

2022明治安田生命J3リーグ第10節。いわきFCは5月29日(日)、Jヴィレッジスタジアムにガイナーレ鳥取を迎える。
 
ガイナーレ鳥取は、鳥取市、米子市、倉吉市、境港市を中心に鳥取県全県をホームタウンとするサッカークラブ。この試合の見どころについて、詳しく紹介しよう。

■苦戦が続くも、上位カテゴリーで活躍する選手を輩出。

 チームの前身は、1983年に創設された鳥取教員団サッカー部。1989年にSC鳥取と名称を変更し、2001年にJFLへの昇格を果たす。
 
2006年12月に運営会社「株式会社SC鳥取」を設立し、チーム名を「ガイナーレ鳥取」へ改称した。「ガイナーレ(=GAINARE)」とは、島根県東部から鳥取県西部にかけての「がいな=大きい」という言葉と、大きく「なれ」という願いを込めたもの。「強小戦士ガイナマン」というユニークなマスコットを持つ。
 
運営会社設立とともにJリーグ準加盟クラブとして承認を受け、ホームタウンを米子市から鳥取市、米子市、倉吉市、境港市を中心とする鳥取県全県へと変更。チームは2010年、ホーム14連勝そしてJFL記録となるホーム17試合無敗(16勝1分)を達成して優勝。2011年からのJ2参入を決めた。
 
だがJ2ではなかなか力を発揮できない。2011年が19位、2012年が20位、2013年は最下位に沈んだ。そして翌年からのJ3発足を踏まえたJ2・JFL入替戦で敗れ、2014年よりJ3で戦うこととなる。
 
J3での最高位は2018年の3位。2020年は17勝6分け11敗で5位に入るも、2021年は9勝2分け17敗で12位と順位を下げている。
 
2022年は金鍾成監督体制2年目。今シーズンのスローガンは「走ぜる(はぜる)」。J2昇格に向けたフィジカルと走力の強化を目指す。
 
新加入選手は10名。大卒6人、高卒1人と若い選手を中心に補強した。前線に能力の高い選手をそろえているのが特徴だ。
 
特にMFは機動力の高いドリブラーがそろう。アルビレックス新潟シンガポールから知久航介、韓国2部のFC安養から田村亮介を"逆輸入"。中でも田村は2019~2020年に福島ユナイテッドFCでプレー。2年間で68試合に出場し、J3で計16ゴールを挙げている。そしてFWは昨シーズン6ゴール6アシストを挙げた石川大地と、9ゴールを挙げた田口裕也が残留。攻撃のポテンシャルは非常に高い。
 
2022年シーズンは苦戦が続いている。開幕戦で藤枝MYFCに0対3、第2節でカマタマーレ讃岐に1対4と連敗スタート。第3節でFC今治とホームで引き分け、第5節でY.S.C.C.横浜に3対0で今季初勝利。復調と思われたが、第6節で鹿児島ユナイテッドFCに0対1、第7節でカターレ富山に2対3と競り負けてしまう。
 
ここ4試合では福島ユナイテッドFCに0対4、FC岐阜に0対3、さらに天皇杯1回戦でJFLのヴェルスパ大分に0対4、5月25日の第8節・愛媛FC戦も1対2で敗戦。第9節を終え1勝1分け7敗。勝ち点4で17位と厳しい状況が続いており、早急な守備の立て直しと得点力アップが求められる。
 
ただしここ数年、毎年のように上位カテゴリーで活躍する選手を送り出していることも確か。浮上のきっかけを与えれば、厄介な相手となるのは間違いない。

■再び上昇するきっかけをつかめるか。

 いわきFCは5月15日の第9節、ホームのJヴィレッジスタジアムで藤枝MYFCと対決した。
 
前節、福島ユナイテッドFCとのダービーをFW有田稜のゴールで制し、今季初めて首位に立ったいわきFC。この試合もインテンシティの高いプレーを見せ、前半から多くのチャンスを作り出した。20分に相手のパスミスをさらったFW古川大悟が先制点を挙げ、59分にはFW有馬幸太郎がPKを決めて2対0。

しかし、そのまま試合をフィニッシュすることができない。66分にオウンゴールで失点。72分にはカウンターから同点とされ、試合は2対2で終了。2点差を追いつかれるのは今シーズン初。試合運びに大きな課題を残す結果となった。
 
天皇杯福島県代表決定戦で敗れ、今シーズンの戦う場はJ3のみとなったいわきFC。藤枝戦から試合のない1週を挟み、再びチーム力の底上げを図っている。リスタートの一戦となる今節、いわきFCはガイナーレ鳥取を撃破し、再び上昇気流に乗ることができるのか。村主博正監督のコメントを紹介しよう。

■「決して流れを作らせない」村主博正監督

「前節の藤枝さんは勢いのあるチームでした。劣勢から一気に3人を交代させて主導権を握りに来て、勢いにやられてしまった印象です。
 
開始からインテンシティの高いプレーをしたことで、2点を先制できたのは確か。2対0になった後も攻める姿勢を貫き、3点目を取りに行きました。
 
でも気温の高さもあり、前線の選手に疲れが見え始めた。先発の選手達が3点目を取ってくれると信じていましたが、上手くいかずに2点を返される結果になってしまった。この時すぐに交代のカードを切らなかったことはこちらの反省点です。
 
試合を通じてボールを奪うことはできていました。前半はそれをつなげていたのですが、後半に前線のプレー強度が落ち、奪ったボールをなかなか受けられかった。そのため陣地を挽回しようと単純に蹴っては回収され、という悪循環に陥ってしまった。結果的に守備の時間が長くなって消耗し、自分達でゲームをきつくしてしまった印象があります。前の選手がきっちりボールを受け、他の選手がボールホルダーを追い越していくことで攻撃の時間にでき、消耗を防げる。奪ったらしっかり攻撃をしようと選手達に言い聞かせました。

ガイナーレ鳥取さんはFW石川大地選手、澤上竜二選手など前線にパンチのある選手が多くいます。みんなミドルシュートも打てるので、一発を警戒する必要があります。
 
試合を見ると、攻撃の形はしっかり作れているものの、決定機をモノにできていない印象ですね。攻撃的なチームがゆえ、主体的に高い位置を取ったところをカウンターでやられている。福島ユナイテッドFC戦や天皇杯のヴェルスパ大分戦もそうでした。
 
おそらく今、セットプレーも含めて改善を試みていて、手探りの状態だと思います。何かが一つ上手くはまると、それが浮上のきっかけになる。こちらとしては、決して流れを作らせないゲーム展開をしたいと考えています。
 
天皇杯の敗戦によって日程の余裕ができたことで、基本的なスプリントのトレーニングや、上記の課題を克服するための意識づけを行ってきました。幸い感触はよく、この2週間は選手達との対話を深め合ういい時間になったと思います。ここから夏場にかけて暑くなりますから、あらためて負荷をかけることもできました。
 
攻撃力の高いガイナーレさんとの試合は、先ほど言った課題を克服できているかどうかを図るいい機会になる。今年はFC今治さんに負けたり、藤枝さんと引き分けたりしながら課題を修正し、チームが少しずつ成長している実感がある。選手同士もしっかりコミュニケーションが取れており、いい方向に進んでいると思っています」

■リーグ中盤戦に向け、再び勢いを出せるか。

藤枝戦の引き分けにより、第9節を終えて5勝3分け1敗。順位は首位から3位に後退した。試合のない1週を挟み、リーグ中盤戦に向けたリスタートとなるこの試合をいい形で終え、勢いを取り戻したい。

明治安田生命J3リーグ第10節・ガイナーレ鳥取戦は5月29日(日)13時より、Jヴィレッジスタジアムにてキックオフ。試合の模様はDAZNにてライブ配信される。
 
熱き戦いに、ぜひご注目を!

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