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【マッチプレビュー】2022明治安田生命J3リーグ第6節 いわきFC対FC今治

2022明治安田生命J3リーグ第6節。いわきFCは4月17日(日)、いわきグリーンフィールドにFC今治を迎える。

FC今治は、愛媛県今治市をホームタウンとするクラブ。この試合の見どころについて、詳しく紹介していこう。

■岡田武史氏の代表就任により、生まれ変わる。

FC今治のオリジンは、1976年に創設された大西町(現・今治市)を拠点とする大西サッカークラブ。その後改称を重ね、2009年に愛媛FCのアマチーム「愛媛FCしまなみ」となり、2011年に四国リーグ優勝。2012年に愛媛FCから独立し、チーム名を「FC今治」に変更した。

大変革が始まったのが2014年11月。元日本代表監督・岡田武史氏が運営会社の株式51%を取得し代表就任。これによりクラブは生まれ変わり、地域を巻き込み、大きな成長を示していく。

2015年に再び四国リーグ優勝。JFL参戦を目指して第39回全国地域サッカーリーグ決勝大会に初参戦するも、グループリーグ敗退。捲土重来を期した2016年、Jリーグ百年構想クラブとして承認され、全国地域サッカーチャンピオンズリーグ2016で優勝し、JFL昇格を果たした。

JFLでは2017年に6位、2018年は5位と順位を上げていった。JFL 2年目の2018年、FC今治は当時東北社会人リーグ2部にいたいわきFCと初対戦している。試合はともに早稲田大学ア式蹴球部出身の岡田武史代表といわきFC代表・大倉智の縁により実現したもの。いわきグリーンフィールドで行われた「WALK TO THE DREAM チャリティーマッチ 2018」にて両チームは激突。試合は格上の今治が、当時2年目のGK坂田大樹や3年目のFW吉田知樹を擁するいわきFCに1対0で勝利している。

FC今治は2019年、JFLで3位に入りJ3昇格。J3初年度の2020年はコロナ禍により開幕が延期される中、中位にとどまるも終盤戦で奮起。順位を6位まで上げたものの勝ち切れず、昇格戦線から後退。勝ち点55の7位でJ3最初のシーズンを終えた。

2021年シーズンは前年に続き、リュイス・プラナグマ・ラモス監督体制でスタートするも解任。橋川和晃暫定監督を経て布啓一郎氏を新監督として招聘するも、成績不振から退任。再び橋川氏が監督に就任するなど混乱が続いた。結果、7勝9分け12敗の勝ち点30で11位となっている。

■ボールポゼッションを重視し、技術とコンビネーションを前面に出した攻撃サッカーを展開。

FC今治の運営母体「株式会社今治.夢スポーツ」は「次世代のため、物の豊かさより心の豊かさを大切にする社会創りに貢献する」という企業理念を掲げ、フットボール事業を核としてさまざまなプロジェクトに取り組む。

フットボール事業で掲げるコンセプトは「岡田メソッド」。16歳までにプレーモデル、すなわち日本人が世界で勝つためのサッカースタイルを実現するための原則の浸透を重視した上での、トップチームから育成まで一貫した「型」を作ることを目指す。このプレーモデルこそが、FC今治が目指すサッカーのスタイルだ。

今季は外国人3名を含む11名が新たに加入した。DFはJ2経験豊富な細川淳矢、MFは主力級が移籍するもFC琉球時代の2018年にJ3で16ゴール10アシストの活躍を見せた中川風希を補強。中川は大黒柱としての活躍が期待される。FWは多くの退団者を出したが、若手外国人選手を積極的に補強している。

ここまでの戦いは2勝1分け2敗の勝ち点7で9位。ホームでの開幕戦で福島ユナイテッドFCに0対1で敗れたが、翌週にカターレ富山に勝利してホーム初白星。4月に入ってギラヴァンツ北九州に0対3の大敗を喫するも、直近の第5節ではホームでヴァンラーレ八戸に1対0で勝利。立て直しに成功している。

FC今治が目指すのは、ボールポゼッションを重視し、技術とコンビネーションを前面に出した攻撃的サッカー。フィジカルを前面に押し出し、前線からの積極的なプレスから縦に速い攻撃を仕掛けるいわきFCのプレースタイルとは逆。近年Jリーグ昇格を果たした新興クラブ同士の激突は、互いの個性を存分にぶつけ合う展開となるか。村主博正監督のコメントを紹介しよう。

 ■「緩急をつけてくるチーム。戦い方はメンバー次第」村主博正監督

 「FC今治さんは第4節にギラヴァンツ北九州に大敗したものの、直近の第5節でヴァンラーレ八戸に勝利し、すぐさま勢いを取り戻しました。この試合に勝つと負けるでは立ち位置がまったく変わるので、気持ちの入った姿勢で来るでしょう。だから、受けないことが大事。順位や今後のことを意識することなく、この1試合にしっかりと懸けたい。

今治さんはポゼッションサッカーを続けていますが、必ずしもそればかりではありません。カウンターが脅威になる面もあり、つなぐ時はつなぐ、前に行く所は行く、というように、緩急をつけてくる。いわきFCとスタイルの違いはありますが、それはテンポだけ。ゴールに向かう姿勢はよく似ています。

どういう戦い方をしてくるかはメンバー次第でやや未知数です。攻撃の軸になるのは中川風希選手、マルコス・インディオ選手、そして新加入のラルフ・セウントイェンス選手といった"個"をもつプレイヤー達。特に警戒しているのは、ここまで3得点の中川選手。フィニッシュワークもいい選手なので。彼に仕事をさせないこと。前節ワントップで出ていましたが、前に外国人が入ったらシャドーに下がるかもない。ワントップが誰になるか次第で、戦い方の色が変わってくる。中でもラルフ選手は身長194㎝のポストプレイヤー。メンバー入りすれば、おそらく彼にどんどん当ててくるでしょう。

前節はGKに田中謙吾、CBに江川慶城が入りました。田中はずっと調子がよかったものの、なかなかチャンスを与えることができなかった。アクシデントによる先発出場でしたが、準備はしっかり出来ていました。彼はベテランとして、常にチームにプラスとなる言葉を発し続けてきた。松本山雅FC時代から見ていますが、試合に出ていようとなかろうと、常にいい準備をしてチームのパワーになってくれます。そんな彼だからこそ、急遽出場することになった時、他のメンバーがしっかりサポートしてくれる。

それは江川も同じ。チームのためにいつも声を出し、勝つために全力で仕事をしてくれているからこそ、周囲が彼をちゃんと助ける。それが、前節にいい結果を出せた理由だったと思います。今は選手全員がしっかりと同じ方向を向き、いいコミュニケーションが取れている手応えがあります。

カターレ富山戦に続き、今回もいわきグリーンフィールドでのホームゲームです。カターレ戦のグリーンフィールドは、芝の感触もスタンドの雰囲気も本当に素晴らしかった。ここでJ3を戦うのは今年最後なので、地元ファンの皆さんにしっかりと感謝の気持ちを伝えたいと思います」

■上位を争うチームに4ゴールで完勝。

 いわきFCは第5節、アウェーでAC長野パルセイロと対戦。長野はここまで2勝2分けの勝ち点8。上位を争うライバルとの直接対決を前に、チームはアクシデントに見舞われた。

まず、試合5日前に村主監督と選手2名、スタッフ1名の新型コロナウィルス感染が発覚。指揮官不在の中、チームは中島俊一コーチが指揮をとり長野に遠征するも、開幕からゴールマウスを守ってきたGK鹿野修平が、試合前のウォームアップで負傷してしまう。

そんな中でも選手達は自分を見失うことなく自らのプレースタイルを貫き、試合はいわきが圧倒する展開。前半45分にSB嵯峨理久の右サイドからのクロスをFW古川大悟が頭で合わせ、今季初得点。後半立ち上がり早々には、交代出場したFW有田稜が左サイドから今季2得点目となる追加点を挙げた。

56分にはFW有馬幸太郎がゴールを挙げ、ダメ押しの3点目。69分には今季初先発のDF江川慶城のヘディングシュートがオウンゴールとなって4点目。鹿野に代わって今季初先発したGK田中謙吾も古巣・長野の攻撃をシャットアウト。いわきFCがここまで無敗の長野に完勝し、3勝2分けの勝ち点11で2位に入った。

混沌としつつあるJ3リーグ。第5節終了時点で首位を走るのは同県のライバル・福島ユナイテッドFC。いわきと福島は現在、3勝2分けの勝ち点11で並び、福島が得失点差で上回って1位、という状況。両チームが激突する福島ダービーは5月4日(水)にとうほう・みんなのスタジアムで行われる。果たしてダービーまで、いわきFCは無敗を保てるのか。ここにも注目したい。

明治安田生命J3リーグ第6節・FC今治戦は4月17日(日)13時より、いわきグリーンフィールドにてキックオフ。試合の模様はDAZNにてライブ配信される。

熱き戦いを、ぜひお楽しみに!

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