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I.G.U.P 検討委員会レポート vol.3 多様な声を集めていくために

スタジアム検討委員会「IWAKI GROWING UP PROJECT」(I.G.U.P)の第2回委員会が7月29日、いわきFCパーク内の「ドームいわきベース」で開かれました。今回は、国内外のスタジアムに関する知識やスタジアムとまちづくりのあり方などについて、基礎的な知識共有を目的とする「インプット」となる2回目の委員会となります。第2回委員会の様子を前後半の2回に分けて、委員の北澤卓がリポートします。
 
前半では
・ユースプロジェクトについての説明
・座長の上林先生による委員会の進め方及び講話
の様子について、主観を交えながらリポートいたします!

新しく発足された「ユースプロジェクト」の説明では、子どもや若い世代に参加してもらうことの意図について、いわきFCを運営するいわきスポーツクラブ代表の大倉さんから説明があったのに続き、ユースプロジェクトを担当する委員の南郷さん、横山さん、菅波さんがそれぞれユースプロジェクトにかける思いや方向性について意見を述べました。

的確な意見をいくつも出してくださった菅波さんと南郷先生

まず感じたのは「義務教育学校・認定こども園 福島県大熊町立学び舎ゆめの森 校長・園長」(南郷さん)、「認定特定非営利活動法人(認定NPO法人)カタリバ、コラボ・スクール 双葉みらいラボ 拠点長」(横山さん)、「未来会議・はまどおり大学・弁護士」(菅波さん)という、それぞれが子どもや若者に向き合いながら地域で活動されているスペシャリストの方々が持つ自信あふれる言葉の数々でした。子どもや若者、その世代が持つ力を信じる強さがひしひしと伝わってきたように思いました。

このうち南郷さんは、ユースプロジェクトの立ち上げについて「これは10 年後、20 年後 100 年後に続いていくプロジェクトだと思ってます。未来の主役である彼らの声をしっかりと見ていきたい」と話し「若者が声を上げ、社会にインパクトを与えるということはグローバルでは当たり前。このプロジェクトはグローバルな流れの中ではど真ん中」と、その意義について力強く話して下さいました。

個人的には、子どもや若者たちの「声を聞く」ではなく、「参画してもらう」ということが非常に嬉しいです。若い世代が「自分ごと」としてスタジアムやまちづくりについて意見を表明し、協働で作り上げていく。まさに未来に繋がるプロジェクトだと思います。

普段から高校生たちと密に接している横山さん

ユースプロジェクトではこの日行われたジュビロ磐田戦の会場で「スタジアムボイスの募集」を実施したほか、8月18日に実施する「ユースフォーラム」、「オンライン意見募集」、「ユース委員のIGUP参加」などを柱に様々な取り組みを展開していく予定となっています。こちらの動きにもどうぞご期待下さい。

キーワードを出していくことの重要性を語る上林さん

続いて座長の上林さんが今後の流れについて説明した他、これまでに紹介してきた様々くなスタジアムについて話をされ、初参加となる委員とも意識の共有を図りました。

上林さんの話を何回か聞いている中で感じるのは「より多くの人たちが意見を出し合うこと」の重要性についてです。多くの人々から様々なワード・キーワードを出してもらい、それをしっかりと落とし込むこと、その過程こそが大事であるという考え方は、不勉強ながらこれまでのスタジアム建設においてはあまりなかった考え方かもしれません。スタジアムや地域課題を「自分ごと」として捉える人がより多く参画することが、結果として素晴らしいスタジアムに繋がっていく、そんなことを感じながら拝聴していました。

上林さんは「小説に出てくる架空のスタジアムを実際に設計してほしい」という依頼を受けたことや、今年供用開始されたFC今治の「里山スタジアム」建設に向けた議論の過程について話をしました。

架空のスタジアムについては「西日がまぶしい」や「声が上から降ってくる」のような小説に記載されている建物に関わるキーワードを抜き出して設計を行ったとし「まずはワード、キーワードです」と続けます。

「白紙に、ここは更衣室、ここはワクワクする場所などのワードを書き込んでいき、それがなんとなく形になっていて、最終的に建築のその建物っぽくなっていく」と「ワーディング」の手法についても解説してくださいました。この日試合会場でも行われた「スタジアムボイス」も、8月18日に実施される「ユースプロジェクト」も検討会で行われている様々な議論も、多くのワードを集めるひとつの手法なのです。

この日初参加という委員も、意識の共有を図りました

その上で今後の展開について「色々なワードが集まってきて、さらに上位の『概念』に集約されていく。それを基にさらにワードを出していくことで、(建築の)ダイアグラムが出来上がっていくと考えている」と説明。設計というと線と面によって出来る設計図を想像してしまいますが、ワード=言葉の積み上げによって「出来上がっていくもの」という感覚をなんとなく理解出来た気がします。

FC今治の「里山スタジアム」の部分では、その検討過程においてファンや子どもたちに、サッカーコートのみが描かれた絵を提示し、理想のスタジアムの絵を書いてもらったという事例が紹介されました。様々な人が里山の風景の中でスタジアムなのか、公園なのかよくわからない中、みんな楽しんでいる1枚のスケッチが大元のコンセプトになったと聞き、少しだけいわきに置き換えてワクワクしている自分がいました。

上林さんのお話には、毎回ワクワクさせられます

上林さんがこのあとに続けた「できれば皆さんの要望やワードが、そのままいわきの風景やいわきの町、いわきの港みたいなところにうまくなじむような形でイメージ化できればいい」という言葉や「誰か一人の建築が出せば、カッチリしたものになるが、いろんな人たちのいろんな意見を交えて、下手したら端っこの方が(建築的に)成立してないくらいのものでよいので、みんなの共通するイメージを出して、それに向かって進めていきたい」という言葉、とても印象的でした。

その為の手法としてメタバースやマインクラフトなどが出てきたのは驚かされましたが、いずれにしても多くの人たちの思いや理想を言語化し、集約していくことの必要性と、その手法で進めるということを強く認識させられた時間でした。

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