見出し画像

I.G.U.P 検討委員会レポートvol.13 理想の未来を実現するためのアイディアって?

2024年2月23日(金)に開幕した今季のJリーグ。開幕期の入場者数は歴代最多の68万人超を記録し、今年も各地で熱戦が繰り広げられています。開幕の約1週間前となる2月17日(土)に、いわきFCの新しいスタジアムについて考えるIGUPの第9回目の検討会が開催されました。

冒頭、大倉代表から挨拶がありました

今回は、前回発表されたユース委員からの報告書について、ユースチームと大人チーム(検討委員)が意見交換を行うワークショップを行いました。

「『こんなのあったらいいな』をいわきFCと創る」というテーマを掲げ、ユースフォーラムで対話を重ねてきたユースチーム。ユース委員が作成した報告書は、これまでの対話や議論をもとにまとめた「7つの提言」が示されています。

【7つの提言】
1、地域の資源を「借景」としてシェアすることで魅力がふくらむ新しいシンボル
2、いつでもだれでも楽しめる
3、だれにも我慢させない居心地が良い優しい空間
4、未来につながるおもてなし
5、近い距離
6、だれもが思い立ってすぐ行ける
7、子ども・若者も含めみんなで参画して創る未来

実は第5回の検討委員会で、ユースのみなさんと同様に、大人チーム(検討委員)も「いわき・双葉郡にこんなのあったらいいな」というテーマで意見を出し合い、出た意見を4つのキーワードにまとめていました。

【4つのキーワード】
1、まちの構造を変えるスタジアム
2、常に時代の先をゆく可変的スタジアム
3、教育・学びを支えるスタジアム
4、人が集い「偶然の出会い」が生まれるスタジアム

この7つの提言と4つのキーワードを分類して4つのグループに分け、大人もユースもごちゃまぜになった状態でワークショップを行いました。

ユースチーム・大人チームから出たキーワード、そしてスタジアムボイスで集まった意見をもとに、IGUPとしてどんなビジョンを示していくのか。また、これまでの取り組みや議論を市民に伝えるために、どんなビジョンブックをつくるのか。I.G.U.Pメンバーの前野が、ワークショップで出た意見をレポートします。

IGUPの座長を務める上林功先生

まず、はじめに座長の上林先生より、今回のワークショップの趣旨説明がありました。「こんなんあったらいいな」という「未来思考」で話し合いを進めてきたユースチームのアイディアに、「地域課題」や理想の未来を達成するための「必要な取り組み」という視点で深掘りしてほしいと語る上林先生。

ユースチームが提案した7つのアイディアは、利害関係や現場の課題に囚われすぎていない意見が多く、このアイディアを具現化していくためには、目標とする未来像を描き、未来を実現するための道筋を考える「バックキャスティング思考」がぴったりだと感じました。将来の姿、必要な取り組み、地域課題が書かれた模造紙が各グループに配られ、さっそくグループワークがスタート。出た意見やアイディアを付箋に書き込んでいきます。

アイディアや具体化された言葉がならんでいきます

私が参加した班では、ユース委員3名と大人チーム5名の計8名で、人が集い「偶然の出会い」が生まれるスタジアム/いつでも、誰でも楽しめる/近い距離の3つのキーワードを細分化していきました。

まず、ユース委員が出した「もっと明るいまちにしたい」という意見について、大人チームからは「何があれば明るいまちになりそうか」という問いが投げかけられました。「夜間でも安心して歩けるような街灯」という意見が出るのかと思いきや、ユース委員からは「気軽に人がたまれる場所が必要だ」という意見が共有されました。

未来を深掘りしていきます

「同級生には、アニメのキャラクターやアーティストグループといった、なにかしらの『推し』がいる人が多く、自分らしくいられる場所はライブ会場だと捉えている人もいます」と発言したのは、いわき市出身で現在関東の大学に通うユース委員。その後、必要な取り組みとしてあがったのは、試合がない日はライブ会場として使えるスタジアムです。

これは、若者の転出率が高いという地域課題を、「推し活の応援」という観点で解決するアイディアとも言い換えることができます。実現可能性を吟味していくことはもちろんですが、当事者目線でまちの未来を語ることが、必要な取り組みや地域課題を多世代で捉えるきっかけになると感じました。

多世代で考える「理想のまち」

ワークショップで印象的だったのは、世代によってキーワードに対して抱くイメージが異なるということです。「明るいまち」から連想されるものが違ったように、対人関係やコミュニケーションにおいても、世代間のギャップが明らかになりました。

今回のワークショップでは、自分の意見を提案するだけでなく、「深掘り」を通じて他者の背景に耳を傾ける時間が多くとられていました。IGUPやユースフォーラムでも大切にされてきた「対話」は、一見すると時間がかかるプロセスのように思います。しかし、異なる意見を無理にまとめようとせず、こぼれおちてしまう「声」をひとつずつあつめていくことで、新スタジアムを起点にしながら、自分ごととしてまちの未来を考える機運が醸成されるのではないかと感じました。
 
グループでのディスカッションが終わり、グループごとに話し合った内容を発表し合いました。
 
【まちの構造を考えるスタジアム】

→地域の資源を「借景」としてシェアすることで、魅力がふくらむ新しいシンボル、だれもが思い立ってすぐ行ける便利なアクセス

①発信力が不足しているため、スタジアムに来たお客さんに魅力が伝わる仕掛けが必要
②自分たちから積極的に情報発信をしない市民が多い。スタジアムを「できないを可能にする場」と打ち出し、市民のマインドを改革していくことが必要
③負の遺産を子どもたちに残さない

【常に時代の先をゆく可変的スタジアム】

→未来につながるおもてなし、その他(テクノロジー・経済効果)

①飲食ブースやトイレの利用など、スタジアム内での混雑状況がわかるアプリを導入する
②初めて試合を見にきた人でも楽しめるように、選手の個人情報やこれまでのプレー時間や得点数がひとめでわかる仕掛け
③いわきを体感してもらえるような飲食ブース(屋台村のようなイメージ)

【教育・学びを支えるスタジアム】

→だれにも我慢させない居心地が良い優しい空間、子ども・若者含めみんなで参画して創る未来

①現状、大人の人たちと対話できる場所が少ない。若者の役割や出番がある場所、「わたし」の声を聞いてくれる場所が必要

【「偶然の出会い」が生まれるスタジアム】

→いつでも、誰でも楽しめる/近い距離

①お金をかけずとも、若者がいられる居場所を増やす
②サポーター同士で会話する機会を増やすために、心理的距離の近さが感じられるスタジアムがよい

以上、4つのグループからどんな言葉が出てきたのかを整理しました。

どのグループも、理想の未来に向けて必要な取り組みや地域課題が反映され、ユース報告書で示されたアイディアがより具体的になりました。しかし、時間の制約で自分の意見をあまり述べられなかったという委員も。そのため、会の終わりには「自分たち(大人チーム)の視点もいれこめるのではないか」「もっと対話を重ねて深めていきたい」という声があがりました。

いわきFCの新スタジアムから、まちのスタジアム、そして「わたしのため」のスタジアムへ。ひとりひとりが当事者となり、残りの検討委員会に望んでいきたいと思います。次回のレポートも、お楽しみに!!

「サポートをする」ボタンから、いわきFCを応援することができます。