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【マッチプレビュー】2022明治安田生命J3リーグ第4節 いわきFC対カターレ富山

2022明治安田生命J3リーグ第4節。いわきFCは4月3日(日)、いわきグリーンフィールドにカターレ富山を迎える。

カターレ富山は、富山市を中心とする富山県全域をホームタウンとするクラブ。対戦相手と試合の見どころなどについて、詳しく紹介していこう。

■起源は富山県内の二つの実業団クラブ。

富山県唯一のJクラブ・カターレ富山の運営法人は、株式会社カターレ富山。チーム名称の「カターレ(=kataller)」とは、富山の言葉「勝たれ(=勝て)」、「歌う」という意味のイタリア語「カンターレ(=cantare)」、頂点を目指して県民と「肩(Kata)」を組んで「行く(フランス語の「アレ(=aller)」というチームの姿勢など、いくつかの語呂合わせが由来となっている。エンブレムにあしらわれているのは立山連峰と富山湾、そして県花のチューリップ。

オリジンは、北陸電力サッカー部「アローズ北陸」とYKK APサッカー部。県内にあった二つの実業団クラブが、富山県サッカー協会の構想に賛同する形で統合されて生まれた。

アローズ北陸は1990年に創部。1999年の全国地域リーグ決勝大会(地決)で優勝してJFLに参戦している。一方YKK APサッカー部はYKKのサッカー部として1962年に創部され、2000年の地決で準優勝しJFL参戦。2005年には2位に入り、2006年には天皇杯3回戦でヴィッセル神戸に勝利を収めたことも。

2000年代前半、富山県にJリーグクラブはなかった。そこで「Jリーグ百年構想」のもと検討されたのが「富山県民クラブチーム構想」。富山県にJリーグチームを誕生させ、地域社会のシンボルとする。それは富山県民、そして県サッカー協会の悲願だった。

「県内にある二つのJFLクラブを母体とした新チームをJリーグに昇格させ、県全体で盛り上げていこう」

そんな思いのもと2007年、両チームは合併を発表。Jリーグ参入を目指し、カターレ富山として2008年よりJFLに参戦することを宣言した。
 
2008年2月にはJリーグ準加盟クラブとして承認。JFLでは順調に勝ち点を積み上げて3位に入り、Jリーグ加盟条件のJFL 4位以内、観客動員平均3000名以上をクリアしてJ2昇格が決定。

こうして、北信越地方ではアルビレックス新潟に次ぐ2チーム目、北陸三県では初のJクラブが誕生した。

■高い位置からのアグレッシブなプレッシングサッカーを得意とする同士。

チームは2009年からJ2に参戦。2013年には「北陸新幹線が開業する2015年にJ1昇格プレーオフ進出」という中間目標を掲げるものの、2014年シーズンに低迷。J3に降格し、中間目標も見直しに。チームは捲土重来を期し、2015年からJ3で力を蓄えていく。

2021年には横浜F・マリノス代表取締役社長、湘南ベルマーレ専務取締役、清水エスパルス代表取締役を歴任した左伴繁雄氏が社長就任。J2復帰に向け全力を挙げて取り組み、経営面でもJ2レベルの体制強化を図ると宣言。監督にはJリーグ最多試合記録を持ち、モンテディオ山形や柏レイソルなどでJ1昇格を経験した昇格請負人・石﨑信弘氏を招聘した。

昨年は13勝7分け8敗の勝ち点46でリーグ4位に入る奮闘。経営面でも基盤の強化が進み、この年の収益はJ3降格後最高の6億円を突破。スポンサー収入と物販収入も大きく数字を伸ばすなど、経営状態も充実ぶりを示している。

2022年は石﨑体制2年目。クラブはビジョンや事業方針をまとめた「カターレ富山VISION2022」を発表し、選手補強費や勝利給の増額、新幹線・飛行機移動の増加などを宣言。そしてチームスローガン「Back To J2! / RISING TOYAMA」のもと、積極的な補強を行った。

フォーメーションは昨年から引き続き3-3-2-2か。目玉は攻撃力。FWはFC岐阜から昨年のJ3得点王・川西翔太を補強。そしてチーム得点王の大野耀平、昨年夏に加入したマテウス・レイリアら、昨シーズンの躍進を支えたメンバーが残留している。中盤はFC東京からアルトゥール・シルバ、湘南ベルマーレから柴田壮介を補強し、デプスは厚い。高い位置からのアグレッシブなプレッシングサッカーを得意とするだけに、いわきFCとの戦いは間違いなく激しい展開となるだろう。

今シーズン開幕戦はアウェーで愛媛FCに逆転勝利。第2節もアウェーでFC今治と対戦。0対1で迎えた後半に同点に追いつくも失点し、2対1で黒星。ホーム開幕戦となった第3節はギラヴァンツ北九州を迎え、FWマテウスのゴールで先制するも1対2で逆転負けしている。第3節終了時点で1勝2敗の勝ち点3、得失点差-1で13位となっている。

そんなカターレ富山を、いわきFCはいかに攻略するのか。村主博正監督のコメントを紹介しよう。

■「決して飲まれることなく、どれだけスタイルを貫けるか」村主博正監督

「カターレ富山さんは現状1勝2敗。ただし試合を見る限り、負けた試合も内容は悪くありません。連敗していますから、必死で勝ちにくるはず。難しい状況に追い込まれたチームを倒すことができるのか。決して飲まれることなく、どれだけ自分達のスタイルを貫けるのか。ポイントはそこです。

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高い位置から積極的にプレスをかけるアグレッシブなプレースタイルは我々とよく似ており、長所をぶつけ合う展開になるでしょう。攻守の切り替えや球際の攻防は、おそらく今まで対戦したどのチームよりも激しくなる。その中でJ3経験豊富なFW川西翔太選手は要注意。そして今年加入したMFアルトゥール・シルバ選手はまだ試合に出ていませんが、もともとJ1でプレーしていた選手なので警戒しています。

ここまで3試合戦い、ポジションの確認など、選手達がスムーズにコミュニケーションを取れるようになってきました。そしてランニングした選手についていく動きなどを、みんながさぼらず、積極的にやってくれている。また前節では、交代出場した二人の選手が短い出場時間の中でいいプレーを見せてくれました。

チームの雰囲気は非常にいいですが、若い選手が多いチームだけに、結果次第で浮き沈みが出てきます。我々スタッフが謙虚で貪欲な気持ちと言葉を持っていれば、選手達もおのずとそうなっていく。まずはコーチ陣が気を緩めないことです。

全選手に期待していますが、特に注目しているのはアタッカー陣。前節の愛媛FC戦では先制したものの、いくつかの決定機を逃して2点目が取れず、結果的にギリギリの展開になってしまった。個人名を挙げずともわかっていると思いますので、前節にチャンスで決められなかった選手達の奮起に期待します。

メンバーはまだ決めていませんが、選定については自分の中に基準があります。試合前のトレーニングでしっかりファイティングポーズを取れている選手、今やるべきことをちゃんとやって、みんなが納得できるプレーをしている選手を選ぶつもりです」

■新戦力二人によるゴールで勝利。

前節はJ2から降格チームである愛媛FCと、アウェーで対戦。連敗で勢いのない愛媛を、いわきは序盤から激しく攻め立てた。29分にFW有馬幸太郎の今季初ゴールで先制し、後半も圧倒。だが、後半アディショナルタイム2分に同点ゴールを許してしまう。

シュート数はいわき17本、愛媛2本と圧倒するも、試合終了直前のまさかの失点。動揺が走ったこのタイミングでチームを救ったのが今季。国士館大から加入した二人のルーキーだった。

MF岩渕弘人と交代で入った伊藤稜馬、そしてFW鈴木翔大との交代で入ったFW有田稜。失点直後の後半アディショナルタイム4分、伊藤が蹴ったFKを有田がヘッドで叩き込み決勝ゴール。いわきが2対1で見事な勝利を挙げた。

早くも混戦が予想される2022年のJ3リーグ。第3節終了時点で、いわきFCは2勝1分けの勝ち点7で4位。J2から降格した松本山雅、SC相模原、愛媛FC、ギラヴァンツ北九州の4チーム、そして戦力の充実がささやかれるFC岐阜にすでに黒星がついており、無敗は福島ユナイテッドFC、AC長野パルセイロ、鹿児島ユナイテッドFCそしていわきFCの4チーム。3戦全勝の勝ち点9で同県のライバル福島が首位を走り、2勝1分けの長野、鹿児島そしていわきが勝ち点7で追いかける展開となっている。

とはいえ、シーズンは序盤。優勝そして昇格争いの行方はまだまだ見えない。そんな中でも、短い出場時間で優れたポテンシャルを示した新戦力二人は今後の起爆剤となるのか。大いに注目したい。

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明治安田生命J3リーグ第4節・カターレ富山戦は4月3日(日)13時より、いわきグリーンフィールドにてキックオフ。試合の模様はDAZNにてライブ配信される。

昨シーズン最終戦以来の、いわきグリーンフィールドでの開催。熱き戦いにご注目を!


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