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【マッチプレビュー】2022明治安田生命J3リーグ第17節 いわきFC対アスルクラロ沼津

2022明治安田生命J3リーグ第17節。いわきFCは7月16日(土)、Jヴィレッジスタジアムにアスルクラロ沼津を迎える。

アスルクラロ沼津は、静岡県沼津市をホームタウンとするサッカークラブである。この試合の見どころについて、詳しく紹介しよう。

■静岡県東部初のJリーグクラブ。

名称の「アスルクラロ」とは、スペイン語の「azul(=青)と「claro(=明るい)」 が由来。1977年に「沼津アーセナル」として設立され、1980年に「沼津香陵クラブ」に名称を変更。2005年に静岡県2部で優勝。そして2006年、同クラブの運営を沼津セントラルスポーツクラブが引き継ぎ、名称を「アスルクラロ沼津」へと変更する。

2011年に東海社会人サッカーリーグ2部昇格、そして翌2012年に東海リーグ1部昇格。そして2013年、翌年に発足するJ3への参入を目指し、J3ライセンスの交付とJリーグ準加盟クラブとしての承認を受ける。だが東海リーグ1部で4位に終わり翌年のJ3参入はかなわず、2014年から戦いの舞台をJFLへと移す。

JFLでは2014年に8位、2015年に5位と徐々に順位を上げ、2016年に3位に入ってJ3昇格を果たし、静岡県東部で初のJリーグクラブとなった。
 
J3初年度の2017年は、第23節で暫定首位に浮上するなど健闘を見せて3位。2018年も昇格争いに絡んで4位に入った。だが2019年に順位を落とし12位。2020年も12位に終わり、2021年は7勝6分け15敗と、J3参入後ワーストの14位に終わっている。

■多様な展開を見せる難敵。

今井雅隆監督体制2年目となった今年は、第16節終了時点で7勝2分け7敗の勝ち点23で10位。ここ3試合は2勝1分けと好調。直近の第16節ではカマタマーレ讃岐を1対0で下している。

基本フォーメーションは4-1-2-3。DF陣の中心はCB藤嵜智貴。そして、ここ3試合で藤嵜のパートナーを務めているのは篠崎輝和。バックアップに回っているのは今年、JFLのF.C.大阪から獲得した附木雄也だ。附木は藤嵜の国士館大時代の同期に当たり、2019年にいわきFCに所属。東北社会人リーグでの戦いを支えた選手である。

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SBは左に大迫暁、右に安在達弥。大迫はロングスローが得意。安在はヴェルディユース出身でアタッカーもこなす攻撃的プレーヤーだ。
 
MF 3枚の構成は逆三角形。アンカーはDF登録の濱託巳。IHはここ3試合、キャプテン菅井拓也と徳永晃太郎が務めている。

FWは3トップ。ここまで15試合に出場して3得点を挙げていた渡邉りょうが先日、藤枝MYFCに移籍。この穴を埋めるのは誰か。そして左右のFWはここ3試合、右が佐藤尚輝、左が瓜生昴勢。そしてユーティリティの北龍磨、昨年に水戸ホーリーホックから加入したブラウン ノア賢信らが控える。

もともと高い位置からのショートカウンターを得意とするチームだが、今季は多様な展開を見せている。決して油断のできない相手であるのは間違いない。

■昇格争いのライバルを叩く。

第14節の松本山雅FC戦で2敗目を喫したものの、第15節にはホームでテゲバジャーロ宮崎に快勝。チームを立て直し、強敵・FC岐阜とのアウェー対決を迎えたいわきFC。

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暫定3位と暫定6位のマッチアップは序盤、互角の展開。山口大輝、岩渕弘人らが積極的に攻め上がれば、岐阜も宇賀神友弥とFW田中順也の元日本代表コンビがGK坂田大樹の守るゴールを脅かす。

ここから試合はいわきペースとなる。27分、ボックス手前左で獲得したFKをDF日高大が決めて先制。その後も積極的な攻守で、岐阜にチャンスを作らせない。そして70分。MF山下優人が蹴ったFKのクリアボールを日高が蹴り込み、この日2点目。いわきがリードを広げる。

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その後、89分にゴールを決められ1点差となり、アディショナルタイムは7分。藤枝MYFC戦、ギラヴァンツ北九州戦で2点差を追いつかれて引き分けるなど、試合の締め方に課題を残していたいわきFC。この日は反省を生かし、巧みなボール回しで逃げ切って2対1で勝利し、J2昇格を争うライバルを8位に叩き落とした。

■「気持ちで相手を上回る」村主博正監督

「FC岐阜戦は相手が5バックで堅い入りをしてきました。メンバーを見ても後半勝負を考えていると思われ、先制点がほしかった。実際にいい時間帯にセットプレーで1点取れたことが大きかったですね。ああいう堅い試合展開ではセットプレーがキーになるので、どんな形であれ、得点が取れたことでゲームを有利に進められました。

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 89分に失点して、2対1の嫌な状況になってしまった。そこでどうするかを選手達が自発的に考え、しっかりとゲームをクローズすることができたのは大きな収穫。実際、アディショナルタイムに入って1本もシュートを打たれませんでした。

 これは今までの試合で多くのことを学んだ結果ですし、選手達がこの試合の大切さを認識した上で意思を統一し、主体的に判断してくれたことが大きかったです。もちろん1点も失点しないに越したことはありませんし、ゲームの終わらせ方についてもまだまだやれることは多々あるとは思っています。

 アスルクラロ沼津さんはここ5試合で3勝1分け1敗と調子を上げており、侮れないチーム。真面目な選手が多く、決してサボらずにプレーしてきます。積極的に縦に攻めてくるし、つなぐ時はしっかりつないでくる。守備もしっかりやるチームという印象です。アウェーの戦績が芳しくないことから、おそらく強い思いで来る。それを気持ちで上回っていく必要があり、簡単な試合にはならないでしょう。

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 ここまで2つの負け試合や追いつかれて引き分けた試合などを通じて、選手達がみんなで考え、毎日のトレーニングの中で課題を克服してきました。シーズンを過ごす中でのチームの成長を実感しています。課題を克服できているということは、チーム自体にまだまだ伸びしろがあるということ。強みはフィジカルだけではありません。

 FC岐阜に勝っても、この試合に負けてしまったら意味がない。先日以上のパフォーマンスを、ホームでしっかり示したいと思います」

■つまらぬ取りこぼしは厳禁。

シーズン中盤に入り、チームに新たな風が吹き始めた。2017年からゴールマウスを守ってきたGK坂田が第15節より復帰。そして同じく負傷復帰のMF山口が徐々にプレー時間を増やし、左サイドが活性化されてきた。

DF日高&MF山口または永井颯太のコンビは、右のDF嵯峨理久&MF岩渕弘人の仙台大出身コンビと並ぶ大きな脅威となりつつある。ここ3試合で3ゴールを挙げたDF日高の好調ぶりは、山口がもたらした面も大きい。

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またCB陣では主軸の星キョーワァンと家泉怜依に加え、この6月にアルビレックス新潟から育成型期限付き移籍してきた遠藤凌が台頭。FC岐阜戦では星の欠場を見事にカバーしてみせた。

前線ではFW有馬幸太郎がここまでリーグ4位の7ゴールを挙げて存在感を示せば、ここまで全試合にスタメン出場して6ゴールを挙げているMF岩渕がJ3の月間MVPに初選出。他にも谷村海那、鈴木翔大、古川大悟、有田稜、永井颯太ら個性あふれるアタッカー陣が鎬を削る状況が続く。

チームは現在、10勝4分2敗の勝ち点34で2位。首位・鹿児島ユナイテッドFCとの勝ち点差はわずか1も、3位は松本山雅FCが同じ10勝4分2敗の勝ち点34。いわきFCが得失点差で7上回って2位、という状況に過ぎない。
 
続く4位、5位は、5月のホームゲームで引き分けた藤枝MYFCと、4月のホームゲームで引き分けたカターレ富山がともに勝ち点29で続く。そして6位、7位は、4月のホームゲームで敗れたFC今治、そして序盤戦の不調が嘘のような好調ぶりを示す愛媛FCの愛媛県勢2チームがともに勝ち点25、という状況だ。

J2昇格枠「2」を巡る激しい戦いが続く今年のJ3。この状況を作り出した立役者が「Jリーグ58番目のチーム」いわきFCであるのは間違いない。ただし、慢心はできない。この先さらに激化する昇格争いを制するために、つまらぬ取りこぼしは厳禁。難敵・アスルクラロ沼津を圧倒して次週、ホームでの松本山雅FCへのリベンジにつなげたい。

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明治安田生命J3リーグ第17節・アスルクラロ沼津戦は7月16日(土)16時30分より、Jヴィレッジスタジアムにてキックオフ。試合の模様はDAZNにてライブ配信される。

熱き戦いに、ぜひご注目を!

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