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文化人物録38(松浦弥太郎)

松浦弥太郎(エッセイスト・文筆家、暮しの手帖元編集長)
→書き手としても編集者としても常に引っ張りだこ。出版業界で広く知られるだけでなく、柔らかさのあるあたたかい文章は多くの人にとっても読みやすくかつ魅力的だ。僕がお会いした時はまだ暮しの手帖の編集長在任中だったが、歴史あるこの雑誌をうまく牽引していたように思う。暮しの手帖は最近編集長が女性に代わって新時代の鮮烈なスタイルが注目されているが、松浦さんはまさに、花森安治が生んだ名物雑誌の伝統を受け継ぎ、次代に継承する重要な役割を担ったのだろう。

*暮しの手帖、花森安治さんと雑誌を共同で創刊した大橋鎮子さんについて
・2002年2月、世田谷文学館で開催していた「花森安治と暮しの手帖展」を手伝ってほしいと依頼されたことが初めの接点だった。それ以前の僕についてそれほど知っていたわけではなかったと思うが、暮しの手帖は当時、若い読者を獲得できずに部数が落ち、うまくいっていなかったようだ。花森さんと共同で雑誌を創刊した大橋鎮子さんは当時すでに80歳代後半だったが、若い人に読んでもらえるような新しい雑誌に刷新したいと考えていたようだ。そこで私が2006年に編集長として入ることになった。
・大橋さんはすでに編集の第一線は退いていて、僕への指示などは何もなかった。外部から来た僕が仕事しやすいよう、自由にやらせてもらっていたと思う。僕には何かを否定して新しいものを加える発想は全くなく、雑誌のいいところを磨いて伸ばそうと思った。大橋さんは皆さんが働きやすい環境にして励ましてくれました。雑誌が大好きで、暮しの手帖への愛が最後まで強かった人でした。
・暮しの手帖をリニューアル後は30~40歳代の読者が増えた。これまでは50~60歳代が中心だった。これは編集部のメンバーが30~40歳代中心ということがあると思います。料理や手芸、家事全般の記事が支持を集めている。また商品テストをやろうとすると今はすぐにモデルができる。昭和の時代に比べ電化製品の質が上がっているのでしょうけど、テストの意味合いが変わってきた気がする。雑誌としては今後、目に見えない大事なものが求められていくと思う。地道にコツコツとやっていきたいです。

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