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文化人物録44(辻本玲)

辻本玲(NHK交響楽団首席チェロ奏者、元日本フィルソロ・チェロ奏者、2018年)
→国内オーケストラのチェロ奏者としては国内屈指の存在である。僕がお会いしたのは日本フィルの時。辻本さんは当時まだ30歳代半ば過ぎくらいだったが、すでに存在感は絶大。正直、いずれもっと水準が高いとされるオケに移るだろうなという気はしていた。オケの他にソロや室内楽などでの活躍も目覚ましく、”辻本時代”は当面続きそうだ。

・ソロ・チェロ奏者になったのは2年くらい前。日フィルの団員と少し違うのは、乗る回数が少なめなことです。オーケストラ曲というのはいろいろ面白いですが、慣れるのは大変。

・僕はいわゆる松坂世代ですが、少し下には宮田大さんや横坂源さんがいます。この数年、チェロアンサンブルの仕事が多かったです。需要が多いんでしょうね。ツーチェロズの影響が大きいと思います。

・クラシックのファン層拡大については、ファン層はたくさんいますが固定化している印象が強い。チェロといえば昔からヨーヨーマでCMではリベルタンゴを弾いていた。私もリサイタルではピアソラのオブリビオンをやります。ポップスまではいきませんが、クラシック寄りのタンゴはどんどんやっていく

・小6の頃にアメリカから帰国しました。はじめは姉がアメリカに行き、姉の高校卒業によって帰ってきました。私はその後山崎伸子先生についてチェロを学びましたが、「優秀な奏者が固まっている世代」といっていただきました。山崎先生にはおんがくのおもさをおしえていただきました。例えば室内楽の大切さ、ソナタを弾く時のピアノの意味合いなどです伴奏のかたちでなく、他の楽器の音をよく聴くべきだということも言っていました。

・指揮者との交流も多いです。サイトウキネンオーケストラでの演奏では沼尻竜典さんがバルトークを指揮したのですが、最初は全然わからなかった。室内楽は「点」で合わせるということを学びました。日本フィルではラザレフが個性派です。リハ時間が長く大変な面もありますが、ラザレフとともに曲に接することで引き出しが増えます。僕の特徴は音色と歌心。チェロのソロなども含めて気持ち良く弾くことだと思っています。

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