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【葬送のフリーレン】魔法について:魔法を理解するための概念①

漫画「葬送のフリーレン」の世界では、魔法を実際に経験したり解析したりして、そのメカニズムなどを理解しようとする描写が度々登場します。

本記事では、作中に登場する記述や描写を元に、魔法を理解する上で必要な概念について整理・考察したいと思います。

なお本記事は分析的な視点から魔法の理解を目指したものですが、構築的な視点で魔法を整理した記事は、以下にまとめています。


対象は単行本全11巻107話までですので、ネタバレを避けたい方は読むのを止めて下さい。



魔法の分析的な理解のプロセス

葬送のフリーレンの世界において、魔法使いが魔法を理解する分析的なプロセスは、主に以下の3つがあると考えています。

1.魔法現象の認識・理解
2.魔法術式の認識・理解
3.魔法原理の認識・理解

魔法現象の認識・理解

上記3つの中で最も基本的なプロセスは、魔法現象の認識です。

作中の例で言うと、以下のヴィアベルとユーベルが戦闘している場面で、魔法の詳細までは理解していませんが、その魔法により起こっている現象を見て、ヴィアベルが物体を切り裂く魔法だと推定していることです。

魔法現象を見て魔法の種類を推定するヴィアベル 第5巻61ページ

このように、魔法使いが未知の魔法を見た際には、まずその魔法によって起こる現象を認識することから出発し、ソリテールはその行為のことを「観測」と呼んでいます。

過程がわからなくとも、原理がわからなくとも、対処することだけはできる。
~~中略~~
人類は古来より未知を未知のまま扱う能力を持っている。そしてそれは、最も原始的で論理的な行為の積み重ねによって生み出される。”観測”だよ。

ソリテール、第10巻188~189ページ

この「観測」は強力で、人類が魔法として認識できない「呪い」でさえも、起こった現象を「観測」することで、なんとなくどのような魔法なのかが推察できます。

以下は一例で、「呪い」は認識できないにもかかわらず、その現象を「観測」することで、なんとなくの魔法の種類を推察しています。

魔法現象を見て魔法の種類を推定するザインとフリーレン 第4巻63ページ

また「観測」によって、魔法の詳細に立ち入らずに、「対処」することも可能です。

以下は一例で、ヴィアベルはユーベルの使う魔法の詳細はわからないままですが、「観測」を続けることで魔法の射程を推察し、相手から距離を取ることで「対処」しています。

魔法現象を認識・理解して対処するヴィアベル 第5巻62ページ

以上をまとめると、魔法現象の認識(または「観測」)は、魔法を理解するための最も基本的なプロセスで、魔法の詳細に立ち入ることなく、なんとなくの魔法の種類を推定し、場合によっては魔法に対処することも可能になります。


魔法術式の認識・理解

もう少し詳細に踏み込んだプロセスは、魔法術式の認識・理解です。

以下の例では、クヴァールは人を殺す魔法を防いだ防御魔法に対して、その防いだ現象を「観測」しただけではなく、その防御魔法の術式を認識し理解しています。

魔法術式まで認識・理解しているクヴァール 第1巻140ページ

この魔法術式の認識と理解は強力で、「観測」では魔法によって起こる現象に対して対処していましたが、術式まで理解すると、その魔法の仕組みの弱点を突くことが可能です。

以下は一例で、クヴァールは防御術式の複雑性を理解し、その魔法の消費魔力という、仕組みの弱点を突くことに成功しています。

術式を理解することで仕組みの弱点を突くクヴァール第1巻142ページ

また魔法術式は、実際に術者がその魔法を使えなくても、ある程度は理解でき、場合によっては術式を修復できたりします。

以下は一例で、支配の石環に刻まれた術式は、魔族の心を操るもので、実際にその術式を用いて、エーデルが魔族の心を操ることはできませんが、専門知識を駆使すれば、ある程度術式の理解は可能です。

さらにその理解を元に、術式の修復も可能です。

実際に魔法は使えなくても術式は理解・修復可能 第9巻107ページ

さらに魔法術式を認識し転用することで、限定的ではありますが、魔法を実行することができます。

以下は一例で、人類は魔族の飛行魔法の術式を認識するところまではできていて、その術式を転用することで飛行魔法を実行することが可能になっています。

ただし、飛行の原理がわかっていないため、人より大きなものは僅かな時間しか飛ばせないなど、応用範囲が限定的になっています。

術式の転用によって飛行魔法は実行可能 第4巻45ページ

以上をまとめると、魔法術式の認識は、魔法の仕組みの理解に繋がるプロセスで、実際にその魔法が使えなくても、仕組み上の弱点を突いたり、術式を修復したりできます。

また認識した魔法術式は転用することも可能で、限定的ではありますが、その魔法を実行できます。


魔法原理の認識・理解

魔法を理解する上で最も根本的なプロセスは、魔法原理の認識・理解です。

魔法原理の認識・理解は、魔法術式よりももっと難易度が高く、特に種族が異なると、身体や脳の構造の違いにより、ほぼ不可能になります。

種族が違うと魔法原理の理解は難しくなる 第10巻187ページ

魔法を実行するための手順(術式)は理解していても、それが魔法現象としてどう具現化するのかは、原理を理解していないと想像するのが難しいため、一般的に魔族の魔法を人類が扱うのは難しいのだと推察しています。

魔法原理を認識・理解することのメリットは、応用性が広がることです。

明確には言及されていませんが、以下の一般攻撃魔法(または人を殺す魔法)はおそらく、魔法原理まで理解された魔法だと考えています。

一般攻撃魔法は魔法原理まで理解された魔法だと考えられる 第1巻141ページ

一般攻撃魔法の応用性は広く、魔族に特化したものや、速射に特化したものなど、状況に応じて様々な形で実行することができます。

魔族に特化した一般攻撃魔法 第3巻56ページ
速射に特化した一般攻撃魔法 第10巻177ページ

上記のようなメリットもありますが、一応魔法の原理を理解しなくても魔法を使用することはできます。

上述した飛行魔法も一例ですが、以下のように魔法を感覚で実行することも一応可能で、ユーベルはそのタイプです。

ただ原理がわからず魔法を使っていると、メガネを掛けた人にバカにされます。

原理を理解せずに魔法を使っているとバカにされる 第5巻161ページ


長くなりましたので、魔族の魔法や女神様の魔法との関係性などについては、別記事にてまとめたいと思います。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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