フリクリ プログレ 第1話-3
イラスト/吉成鋼
【学校内、別の部屋。(面接室?)】
ノートパソコンのキーボード。
スペースキーを押す、ヒドミの指先。
ちょっとだけ見えてるモニターの映像が切り替わり、音声が聞こえる。
画面を見ているヒドミの冷たい目。
モニター越しにヒドミの表情をジーと見ているハル子。
パソコン音声(女子生徒の声):先生、、
パソコン音声(男性教諭の声):まずいよ君
パソコン音声(女子生徒の声):先生、、あっ
パソコン音声(男性教諭の声):まずいよ君
パソコン音声(女子生徒の声):先生ああっ
変化のないヒドミの表情。
部屋のすみには並んで座らされている生徒たちの姿。井手、森、マルコ。井手、森は明らかに興奮している。マルコもじもじ。
森:一体何を見せているんだ、、
井手:(興奮)音声から察するに、けしからん、けしからんよ
井出の目線、ハル子のスカート。腰、胸。アダルトな音声。
ハル子:次。
ヒドミ、キーを押す。
パソコン音声:(アダルトビデオな音声)
変化のないヒドミ。
ハル子:次。
ヒドミ、スペースキーを押す。
パソコン音声:(アラビア語で何やら)
パソコン音声:(叫び声)
ヒドミ、目の奥が少し開く。
ハル子、それには気付かず、退屈そうに
ハル子:ちょっとは動揺してよね~折角の思春期でしょ~?じゃあもうあんたいいわ。
ヒドミ、立ち上がる。
パソコンから引き続き聞こえる叫び声の音声。
ヒドミの無表情な横顔。
ハル子:次の人、あんた。
部屋の隅に並んで座らされている生徒たちの中から、井手が立ち上がる。
井手:へい!
と、遠くからM.Mのサイレンが聞こえる。
ヒドミ、変わらず無表情。
ハル子:(ヒドミに)ちょっとあんたストップだね。
ヒドミ:…
ハル子:もう一回それ、見てもらっていい?
ヒドミ立ち止まり、その場からパソコンを見る。
ヒドミの目の奥が開く。
遠くのサイレンが、少し大きくなる。
ハル子:…みちけちった。
ヒドミ:…なんですか、、
ハル子:(みんなに)じゃこれで終わりにするわ~大体分かったから
森:え?終わり?
井手:ちょっと待ってください!
ハル子:は?なんなの?
井出が机の上に立ち、
井手:先生!こんな短い時間で僕たちのことを分かった気にならないでください!
ハル子:こういうめんどーなのが必ずいるんだよね…ん?
ハル子の目線、興奮して何やら叫んでいる井手。
ヒドミは部屋の隅の椅子に座ってジッとしている。
そしてまだ聞こえている、MMのサイレン。
(ヒドミがN.Oだと思ったが、パソコンの音声を聞いて興奮した井手こそがN.Oだ、というハル子の読み。)
ハル子:あれ?そういう感じ?
井手:(大興奮)我々には知る権利があるんです!
森:一体何を見せているんだ~!
井手:先生、僕のことを知ってください!
ハル子:分かったから、じゃああんた(井手)そこ座ってみて
井手:座ります…分かりますよ、いきなり個人同士がそのままで話し、知り合うよりもこうやってお互いの間に何か一つ
ハル子:黙ってもらえる?
井手:黙りましょう
ハル子:黙ったらそれ見て
井手:黙ったらそれを見ましょう。これを見ましょう。こう、目を飛び出させて、しっかり見つめま…(目を飛び出させてみて、止まる)
パソコンからは、さきほどの喘ぎ声。
井手、食い入る様に見る。
ハル子、それをジーと見てる。
離れたところからそれを見るヒドミの片目が潤んだような。
画面を食い入る様に見る井手に、朝の陽が差す。
× × ×
丘の上のMM施設から煙がプシュー。
× × ×
再びサイレンが響いて来る。さきほどより大きな音。ハル子が微笑む。
井手:むぅぅ、、
森:井手ぇ!何が見える!
井手:何が見えると言われて答えられるものがこの画面内に見当たらないのが
バキン!と豪快に閉じられるノートパソコン。ついでにぶっ壊れる。
井手:ノー!
井手、顔を上げると、目の前にそびえ立つ、ハル子。
ハル子:間違えちゃった。ごめんね。
井手:いえいえ、、なんのことですか、、
ハル子:あんたじゃなかったわ!ごめんしてね!
と言われたヒドミ、無表情のまま。
森の声:先生!僕にも見せてください!
ハル子の声:もーほんとに終わり。ほんといらないわあんたたち
もめているハル子、森、井手を背にするヒドミ。
ヒドミ(オフ):分かってる…わたしじゃないってことは。
【どこかから、校舎を見る目線】
校舎の窓ガラスごしに、教室内でハル子、井手、森がごちゃごちゃやってる。
電柱の上に腰掛けるジンユ。
ジンユの声:確かにややこしいけどね…
目線はそこから丘の上のアイロンへと移る。
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